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11話

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「ミゲル様、騎士団で下働きを募集していらっしゃると聞きましたが」
あれから何日か経った。数日に1度こうして顔を出してくれるミゲル様と俺はゆっくり中庭を散歩していた。
まだ、屋敷の敷地からは出られず、時折家主の目を盗んで侵入してくる輩もいるらしいため、外からは絶対に入ることができない中庭や温室を散歩する。
「えぇ、数名だけですが……賄い方と、雑務をこなせる身元のしっかりした者を」
こくりと頷いたミゲル様は俺を気遣いながらゆっくりとした早さで歩いてくれる。
これから火の季節に向かって気温が上がってくる頃なのに、いつもきちんと喉元まで釦を留めて気崩す事がない。
俺はと言うと、少年が着るような簡単な服に身を包んでいた。
あのあと、マーサが手配してくれていた髪切りに短くして貰った髪は肩よりも上で揺れている。
また、俺が切り落とした髪は鬘にしてあるらしい。
「選考はありますか?」
「……いえ、ですが……」
まさかと足を止めたミゲル様に笑みを向ける。
伯爵様の後ろ楯で応募するつもりだが、騎士団にとってはこれ以上無いほど信用された後継者だろう。
「サシャ様、なりません。騎士団は男所帯です。それに下働きは個室ではなく複数と同室なのですから……何かあってからでは取り返しが…」
「何もせずに自国や他国の王子に売り飛ばされると思えば……マシだと思いますよ?」
俺はきっぱりと言い放った。
それはそうですかと珍しく言い淀んだミゲル様の顔を俺は下から見上げるのだった。
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