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3話

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全く…何をしてくれたの。

王妃は一人ごちた。

足早にだが、決して走ることはせず、端から見れば優雅に歩いているように見せながら皇后宮に着くと、侍女長を呼ぶ。
テトの行った神殿は馬で5日。
馬車だともう少しかかる。
出来事が出来事だけに侍女を複数連れていく訳にもいかないし、仰々しく出立する訳にもいかない。
王妃と周囲にばれてもいけないだろう。
馬車の中ならば簡素な衣装で構わないが、王妃として出なければならない場合はそれ相応の衣装が必要なのだ。
それに、侍女もいれば、馭者もいる。
通常ならば馬車を連ねていく行幸なのだ。
だが、そうは言っていられない。

「流石に乗馬での移動は避けた方がいいかしらね」

貴族の嗜みとして多少の乗馬はできるが、長距離の移動はしたことがない。できるかどうかわからないことをするよりは、確実にできることをしていった方がいいだろう。
王妃はジュエリーケースからいくつかの貴金属を袋に詰めた。旅の途中で何かあったときに軍資金にする場合もあるからだ。

「急なことだけれど、明日所用で城を出なければならないの。目的地は西の神殿よ。支度を頼むわ。最小限の物を用意して」

それだけ言うと、侍女長は全てを理解したのか頭を下げて部屋を出ていく。
察しが良くて助かるわと、王妃は息を吐いた。
きっと道程と宿泊場所の手配などに行ったのだ。

本当に面倒事しかおこさないわね。

それにしても…頭痛がするわと、頭を押さえる。
明日は早朝に起たなければならない。
1日でも早く到着せねば。
夜の間も眠れるかわからない王妃は無意識にソファーで足を組んだ。
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