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冒頭

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ある日、テトが死んだと告げられた。
数日前に、水脈の探査だと供を二人連れて出ていったのは知っている。


手違いで足を滑らせて水源に落ちた。
水源を探したが、遺体すら上がってこず水源は一気に枯渇した。
草木だけでなく、人の飲む水すら確保できていないため、大至急他の水属性をもつ者を派遣してくれ。

依頼文を読んだ王は玉座から立ち上がる。

「ここにあることは…本当か?」

数段下で平伏する騎士に声をかけた。
王のその声は震えている。

「はい…足を滑らせて落ちた…と、思われます」
「思われるというのはどういう事だ…」
「私ともう1人の騎士、そして神殿長の3人が大きな水音を聞いており、振り替えったらそのお姿はありません…でした。
水源は深くありませんので、探しましたがテト様は見つかりませんでした」
「くまなく探したのか!」
「はいっ!神殿の外に出た気配はございませんし、水源を確認しても…その…ご遺体は…見つかりませんでした。私どもも何があったのか…ですが、神殿長からは死活問題のため、早々に誰か派遣をして欲しいとの養成が…」

しどろもどろに説明をする騎士に、王は王妃と息子達を呼べと宰相に伝える。
これが本当ならば由々しき事態。

「死んだのは見ていないのだな?ならば、何処かで生きていると信じねばなるまい」

王はそう言い放つと、騎士をそのままに王座を辞した。
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