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第2章 退魔
25話
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まずは1人目。
先程から俺が振っている帯は、中に板鉛が仕込んである。
切る等の殺傷能力はないが、当たれば痛い。
なおかつ遠心力で回転させているから当たればかなりの痛みを伴う筈だ。
当たり所が悪ければ骨折くらいはするかもしれない。
その手から匕首を叩き落とす。
先ずは武器を奪取する。
叩き落とした匕首を蹴って遠ざけ、帯を相手の顔に叩き込む。
痛みで蹲った男をそのままにもう1人。
流石に3人目になると、警戒もされるし、1人目も復活する。
匕首を持つ男達は間合いを詰めて来なくなった。
逃げられるかなと思った瞬間、男達は纏めて飛びかかってくる。
互いに傷つけ合わないように匕首を捨てて。
広範囲には使えない武器の為、殴られると思った瞬間、目の前の男がどうと倒れた。
俺は動きを止めて振り向くと、其処に立っていたのは白銀だった。
「貴方か」
短く呟いた白銀は爽やかな笑みを残して他の男達を切り伏せていく。
出血がないため、恐らく峰打ちなのだろうけれど。
俺はぽかんとしながら白銀の背中を見ていた。
そして次第に怒りが込み上げてくる。
全員が倒れたのを見計らい何やら手を挙げると、昼間の男どもがぞろぞろと現れ、倒れた男達を縄で縛って引き連れて行った。
「大丈夫か?怪我は?」
「怪我はじゃねぇよ!助けて貰ったのはありがたいけどな?御前らがしっかりしねぇからあんな奴等がいるんだろうが」
役に立たないとは言わなかったが。
しっかり用心棒なら警備をしてくれ!
「わ、悪い…」
「ま、いいや…途中で女の子と擦れ違わなかった?」
蓮が蜜柑のところに走ってくれているだろうけれど…向かう途中の蓮になにかがあっても困る。
「あぁ、助けを求められて私たちが来た。彼女は他に仲間がいてそれを呼びに行くと言っていたが…」
「そうか、それなら良かった…」
その言葉にホッとしながらも、未だに橋の向こうの嫌な感じが消えない。
次の瞬間、夜空をつんざくような女性の悲鳴が聞こえた。
聞こえたのは橋の向こう。
それを聞いて俺は走り出した。
「悪い、此処にさっきの女の子と、男が来る。橋の向こうにいると伝言してくれ。
それと、できるだけ橋を越える人がいないように止めてくれ」
叫ぶように白銀に伝えると、白銀は部下だろう男にそれを指示する。
俺は帯を畳んで袖に入れると懐の中から匕首を取り出す。
人が切れない匕首だ。
使うことが無ければと思っていたが、そうは問屋が卸さないようで。
俺は橋を渡りきる。
其処にいたのは紛れもなく異形のものだった。
先程から俺が振っている帯は、中に板鉛が仕込んである。
切る等の殺傷能力はないが、当たれば痛い。
なおかつ遠心力で回転させているから当たればかなりの痛みを伴う筈だ。
当たり所が悪ければ骨折くらいはするかもしれない。
その手から匕首を叩き落とす。
先ずは武器を奪取する。
叩き落とした匕首を蹴って遠ざけ、帯を相手の顔に叩き込む。
痛みで蹲った男をそのままにもう1人。
流石に3人目になると、警戒もされるし、1人目も復活する。
匕首を持つ男達は間合いを詰めて来なくなった。
逃げられるかなと思った瞬間、男達は纏めて飛びかかってくる。
互いに傷つけ合わないように匕首を捨てて。
広範囲には使えない武器の為、殴られると思った瞬間、目の前の男がどうと倒れた。
俺は動きを止めて振り向くと、其処に立っていたのは白銀だった。
「貴方か」
短く呟いた白銀は爽やかな笑みを残して他の男達を切り伏せていく。
出血がないため、恐らく峰打ちなのだろうけれど。
俺はぽかんとしながら白銀の背中を見ていた。
そして次第に怒りが込み上げてくる。
全員が倒れたのを見計らい何やら手を挙げると、昼間の男どもがぞろぞろと現れ、倒れた男達を縄で縛って引き連れて行った。
「大丈夫か?怪我は?」
「怪我はじゃねぇよ!助けて貰ったのはありがたいけどな?御前らがしっかりしねぇからあんな奴等がいるんだろうが」
役に立たないとは言わなかったが。
しっかり用心棒なら警備をしてくれ!
「わ、悪い…」
「ま、いいや…途中で女の子と擦れ違わなかった?」
蓮が蜜柑のところに走ってくれているだろうけれど…向かう途中の蓮になにかがあっても困る。
「あぁ、助けを求められて私たちが来た。彼女は他に仲間がいてそれを呼びに行くと言っていたが…」
「そうか、それなら良かった…」
その言葉にホッとしながらも、未だに橋の向こうの嫌な感じが消えない。
次の瞬間、夜空をつんざくような女性の悲鳴が聞こえた。
聞こえたのは橋の向こう。
それを聞いて俺は走り出した。
「悪い、此処にさっきの女の子と、男が来る。橋の向こうにいると伝言してくれ。
それと、できるだけ橋を越える人がいないように止めてくれ」
叫ぶように白銀に伝えると、白銀は部下だろう男にそれを指示する。
俺は帯を畳んで袖に入れると懐の中から匕首を取り出す。
人が切れない匕首だ。
使うことが無ければと思っていたが、そうは問屋が卸さないようで。
俺は橋を渡りきる。
其処にいたのは紛れもなく異形のものだった。
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