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第2章 退魔
19話
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「とても綺麗にできていますよ?」
琥珀が我に帰って言葉を紡ぐ。
それにハッとしてから他の四人が頷いた。
違うだろ、自分達が女装したくねぇんだろ?
俺は盛大に溜め息を吐いてみせ。
5人を睨むとそれぞれが気まずげに視線を逸らす。
「蜜柑、お前俺の隣を歩くんだぞ?歩けるのかよ」
嫌がらせで顔を覗き込んでやると、何故か蜜柑の顔が耳まで赤くなった。
「まぁいいや、恥をかくのは蜜柑だしな?蓮も大丈夫なのか?」
「私は気にしないし、鴇、一緒に女湯入ろうね?」
能天気な蓮の言葉に俺はぶほっと盛大に吹き出した。
流石にそれは無理だろう。
「蓮、流石に俺も貧乳と言っても無理だろ。化粧落としたら男湯入るから大丈夫だって…さてと、出掛ける支度しねえと日があるうちにつけねぇぜ?」
蓮もいるし、徒歩での移動だ。
野宿だけは蓮の為にも避けてやりたい。
女装は辟易するが、こうなってしまったら仕方ないから諦めるとして、さっさと出発だ。
俺が立ち上がると、翆が3人分の旅支度を出してくれた。
いつものごとくお握りと水筒も。
有り難く受け取ってそれらを一纏めに身に付けると玄関に向かう。
「行ってきます」
俺達は挨拶をして屋敷を出た。
それから昼近くまで歩き続けると目的地の近くまで歩くと蓮がぽつりと溢す。
嫌な気配がすると。
浄化の力を持つ蓮にはわかるのだろう。
蓮の気配探知の方向に俺の鑑定眼を向ける。
あった。
地中に埋まった石から、嫌な気配は出てきているようで、俺の鑑定眼もそれを捕らえた。
「とりあえず近くの宿が取れてからだな、行こうか」
「あ、あぁ…」
蜜柑の様子がおかしい。
屋敷を出てからずっと上の空というか、挙動不審というか。
そりゃそうだろうな。
本来なら今回は話を進めるためのイベント発生条件が揃うのだ。
「とりあえず二人部屋と一人部屋だな?
借りるときは俺と蓮、蜜柑でわかれるけれど、後で俺と蜜柑、蓮に入れ替わるか」
うら若き男女が一部屋はまずいだろう。
提案をしながら宿に向かうと何とか部屋の空きがあった。
「そうね、じゃあそれで。とりあえず場所がわかったから食事までゆっくりしましょ?鴇と蜜柑はこれからどうする?」
「うーん、俺はちょっと情報収集。深追いはしないからさ?」
「自分は…たのまれものがあるので」
「じゃあ、夕方食事をしながら打ち合わせをしましょ?解散!」
じゃあと荷物を置いて必要なものを持ち、着替えたかったが俺はそのまま宿を出る。
此処で買わなきゃいけないものがあるんだ。
琥珀が我に帰って言葉を紡ぐ。
それにハッとしてから他の四人が頷いた。
違うだろ、自分達が女装したくねぇんだろ?
俺は盛大に溜め息を吐いてみせ。
5人を睨むとそれぞれが気まずげに視線を逸らす。
「蜜柑、お前俺の隣を歩くんだぞ?歩けるのかよ」
嫌がらせで顔を覗き込んでやると、何故か蜜柑の顔が耳まで赤くなった。
「まぁいいや、恥をかくのは蜜柑だしな?蓮も大丈夫なのか?」
「私は気にしないし、鴇、一緒に女湯入ろうね?」
能天気な蓮の言葉に俺はぶほっと盛大に吹き出した。
流石にそれは無理だろう。
「蓮、流石に俺も貧乳と言っても無理だろ。化粧落としたら男湯入るから大丈夫だって…さてと、出掛ける支度しねえと日があるうちにつけねぇぜ?」
蓮もいるし、徒歩での移動だ。
野宿だけは蓮の為にも避けてやりたい。
女装は辟易するが、こうなってしまったら仕方ないから諦めるとして、さっさと出発だ。
俺が立ち上がると、翆が3人分の旅支度を出してくれた。
いつものごとくお握りと水筒も。
有り難く受け取ってそれらを一纏めに身に付けると玄関に向かう。
「行ってきます」
俺達は挨拶をして屋敷を出た。
それから昼近くまで歩き続けると目的地の近くまで歩くと蓮がぽつりと溢す。
嫌な気配がすると。
浄化の力を持つ蓮にはわかるのだろう。
蓮の気配探知の方向に俺の鑑定眼を向ける。
あった。
地中に埋まった石から、嫌な気配は出てきているようで、俺の鑑定眼もそれを捕らえた。
「とりあえず近くの宿が取れてからだな、行こうか」
「あ、あぁ…」
蜜柑の様子がおかしい。
屋敷を出てからずっと上の空というか、挙動不審というか。
そりゃそうだろうな。
本来なら今回は話を進めるためのイベント発生条件が揃うのだ。
「とりあえず二人部屋と一人部屋だな?
借りるときは俺と蓮、蜜柑でわかれるけれど、後で俺と蜜柑、蓮に入れ替わるか」
うら若き男女が一部屋はまずいだろう。
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「そうね、じゃあそれで。とりあえず場所がわかったから食事までゆっくりしましょ?鴇と蜜柑はこれからどうする?」
「うーん、俺はちょっと情報収集。深追いはしないからさ?」
「自分は…たのまれものがあるので」
「じゃあ、夕方食事をしながら打ち合わせをしましょ?解散!」
じゃあと荷物を置いて必要なものを持ち、着替えたかったが俺はそのまま宿を出る。
此処で買わなきゃいけないものがあるんだ。
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