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402話
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「ねぇ、聖樹の管轄って何処になる?」
俺は困りながらリルに聞いた。
「王宮だろ?レオンに聞いてみるか……このまま王宮に行っちまうか。悪ぃなレヴィちょっと馬車拾ってくるな?」
「おぅリクトまたお前は」
離れて行ったリルとルス。
仕方ないなと笑うレヴィに、俺は苗木を持ってわたわたしてしまう。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ」
レヴィに抱き寄せられて額に唇が触れる。
「聖樹だってお前を困らせるつもりは無いだろうし無理に折った訳じゃない折ったなら根が生えているわけが無いからな」
確かにそうだ。
腕の半分くらいの太さの枝に見えるが、枝ではなく苗木なのだ。
「う、うん……聖樹の枝をおったら罰せられるとか、無いの?」
「いや、警備に捕まることはあるが、ここの警備には知り合い多いしな。前に会ったことあるだろう?セトとか……な?」
以前にもやらかしてしまったことのある俺は、セトさん達にお世話になったのだ。
「あの時の子供たちは元気に育っているのかなぁ」
「その後に生まれたルスとライがここまで大きくなっているからな……」
抱き上げているライを撫でてやる。
生まれた時は本当に小さかったけれど、あっと言う間に立って歩き喋るようになっている。
何度も服を買い換えながらも、双子にはそれぞれ好みが出てきているのだ。
色だったり柄だったり。
最近はボタンを留める事もできるようになり、素立つのは早いかもしれない。
「そのうち、ママ嫌いとか言われちゃうのかなぁ……あ、リルの方に歩いた方がいいかな。レヴィ歩こうか」
ルスが居ないためライだけだと行動は簡単なのだ。
ライはそれほど歩き回らない大人しい子なのだ。
少し心配をしていたが、ミトさんたちに言わせればレヴィそっくりなのだと。
やっぱり親子なんだなと可笑しくなる。
そう言えば、種族は違うし実子でも無いのにルーファスさんとレヴィは何となく似ていたりする。
「行こうレヴィ、馬車止めまだでもね?ライ、ママとも手を繋ごうか」
抱き上げられているライに手を差し出すと、小さな手が俺の手を掴む。
少し前は指を握れるくらいの大きさの手だったのに、今は俺の手のひらより少し小さいくらいの可愛い手をしている。
「可愛いなぁ」
キュッと握り締めた手がほんのりとあたたかい。
「じゃあ、あっちだったよね」
ライと手を繋ぎもう片方には聖樹の苗木。
「ああ行こうか」
レヴィの手が所在なげに動き、俺の腰を抱く。
こんな距離も好きだなと思いつつ俺は馬車止めへと向かうのだった。
俺は困りながらリルに聞いた。
「王宮だろ?レオンに聞いてみるか……このまま王宮に行っちまうか。悪ぃなレヴィちょっと馬車拾ってくるな?」
「おぅリクトまたお前は」
離れて行ったリルとルス。
仕方ないなと笑うレヴィに、俺は苗木を持ってわたわたしてしまう。
「そんなに心配しなくても大丈夫だ」
レヴィに抱き寄せられて額に唇が触れる。
「聖樹だってお前を困らせるつもりは無いだろうし無理に折った訳じゃない折ったなら根が生えているわけが無いからな」
確かにそうだ。
腕の半分くらいの太さの枝に見えるが、枝ではなく苗木なのだ。
「う、うん……聖樹の枝をおったら罰せられるとか、無いの?」
「いや、警備に捕まることはあるが、ここの警備には知り合い多いしな。前に会ったことあるだろう?セトとか……な?」
以前にもやらかしてしまったことのある俺は、セトさん達にお世話になったのだ。
「あの時の子供たちは元気に育っているのかなぁ」
「その後に生まれたルスとライがここまで大きくなっているからな……」
抱き上げているライを撫でてやる。
生まれた時は本当に小さかったけれど、あっと言う間に立って歩き喋るようになっている。
何度も服を買い換えながらも、双子にはそれぞれ好みが出てきているのだ。
色だったり柄だったり。
最近はボタンを留める事もできるようになり、素立つのは早いかもしれない。
「そのうち、ママ嫌いとか言われちゃうのかなぁ……あ、リルの方に歩いた方がいいかな。レヴィ歩こうか」
ルスが居ないためライだけだと行動は簡単なのだ。
ライはそれほど歩き回らない大人しい子なのだ。
少し心配をしていたが、ミトさんたちに言わせればレヴィそっくりなのだと。
やっぱり親子なんだなと可笑しくなる。
そう言えば、種族は違うし実子でも無いのにルーファスさんとレヴィは何となく似ていたりする。
「行こうレヴィ、馬車止めまだでもね?ライ、ママとも手を繋ごうか」
抱き上げられているライに手を差し出すと、小さな手が俺の手を掴む。
少し前は指を握れるくらいの大きさの手だったのに、今は俺の手のひらより少し小さいくらいの可愛い手をしている。
「可愛いなぁ」
キュッと握り締めた手がほんのりとあたたかい。
「じゃあ、あっちだったよね」
ライと手を繋ぎもう片方には聖樹の苗木。
「ああ行こうか」
レヴィの手が所在なげに動き、俺の腰を抱く。
こんな距離も好きだなと思いつつ俺は馬車止めへと向かうのだった。
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