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401話
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「わぁ、大きいね」
ルスが聖樹の前で足を止めた。
「うん、ルスとライもあの樹から生まれたんだよ?」
走り出そうとするルスを慌てて抱き上げ、できるだけ近くまで寄ってやる。
「ママも、あの樹から生まれたの?」
「ママは違うんだよ」
もう少し双子が大きくなったら、その辺のことも話して聞かせなければならないかなと思いながら、曖昧に誤魔化してしまう。
「ルス、パパの方に来ような?」
リルが俺の腕からルスを抱き上げ、ひょいと軽々肩車をしてやる。
視線の高さが変わってルスはご満悦だ。
少し冷たい空気の流れを感じながら俺は聖樹を見上げた。
沢山の実が成っている。
その中に宿る命。
「皆、元気に育つといいね……生まれてくるだけでいいんだよ」
こちらの世界では子供は望まれないと生まれない。
望んでも生まれないことは多々あり、だから育児放棄など考えられないのだ。
欲しくて欲しくて、その親がしっかりと育てることができるから実が成るのだと。
そんな幸せな世界が愛おしい。
「誰でも望まれて生まれてきて欲しい……頑張れ」
まだ、月の満ち欠けには早いし昼間だから子供が生まれることは少ないが、実を見に来る親たちはちらほらといた。
「いつ、結びに来ようか……ミトさんたちが戻ってきてからにするって言ったけど、春に生まれたら嬉しいな……リルもレヴィも、次は女の子?リルやレヴィに似た美人の子がいいね……どっちに似るかなぁ?」
また、双子だったりして?
俺は無意識に小さな枝に触れた。
実も何も付いていないただの枝だ。
その先にぽちりと新芽が芽吹く。
その芽が葉になり、ぴょこんと開く。
「えっ?」
ぴこぴこと葉っぱが揺れるのを俺は見ていた。
最近来なかったね?と、ばかりに枝を揺らす聖樹の根っこに近い部分が盛り上がったかと思うと、ポンと音を立てて触れた枝と似たような枝が生えた。
そして、その部分がころりと土の上に落ちる。
「え?枝分かれ?」
成長とは少し違うそれ。
「リル、レヴィ……これ、枝じゃなくて……王宮の聖樹とも違うけど……これ、どうしよう」
俺が屈んで拾った枝には短いけれどしっかりとした根が張っていた。
「は?聖樹の枝分かれなんて聞いた事ねぇぞ?」
俺は、ごめんなさいと謝りながら聖樹の柵を超えて中に入り転がっている若木を手にした。
五枚の葉が付いた木。
「どうしよう……これ。とりあえず鉢植えにでもする?ウチの庭に植えたら手狭になっちゃうし……でも、植えてあげる所はすぐには見付からないだろうし……困ったなぁ」
俺は柵から出ると、手の中の聖樹を見下ろした。
ルスが聖樹の前で足を止めた。
「うん、ルスとライもあの樹から生まれたんだよ?」
走り出そうとするルスを慌てて抱き上げ、できるだけ近くまで寄ってやる。
「ママも、あの樹から生まれたの?」
「ママは違うんだよ」
もう少し双子が大きくなったら、その辺のことも話して聞かせなければならないかなと思いながら、曖昧に誤魔化してしまう。
「ルス、パパの方に来ような?」
リルが俺の腕からルスを抱き上げ、ひょいと軽々肩車をしてやる。
視線の高さが変わってルスはご満悦だ。
少し冷たい空気の流れを感じながら俺は聖樹を見上げた。
沢山の実が成っている。
その中に宿る命。
「皆、元気に育つといいね……生まれてくるだけでいいんだよ」
こちらの世界では子供は望まれないと生まれない。
望んでも生まれないことは多々あり、だから育児放棄など考えられないのだ。
欲しくて欲しくて、その親がしっかりと育てることができるから実が成るのだと。
そんな幸せな世界が愛おしい。
「誰でも望まれて生まれてきて欲しい……頑張れ」
まだ、月の満ち欠けには早いし昼間だから子供が生まれることは少ないが、実を見に来る親たちはちらほらといた。
「いつ、結びに来ようか……ミトさんたちが戻ってきてからにするって言ったけど、春に生まれたら嬉しいな……リルもレヴィも、次は女の子?リルやレヴィに似た美人の子がいいね……どっちに似るかなぁ?」
また、双子だったりして?
俺は無意識に小さな枝に触れた。
実も何も付いていないただの枝だ。
その先にぽちりと新芽が芽吹く。
その芽が葉になり、ぴょこんと開く。
「えっ?」
ぴこぴこと葉っぱが揺れるのを俺は見ていた。
最近来なかったね?と、ばかりに枝を揺らす聖樹の根っこに近い部分が盛り上がったかと思うと、ポンと音を立てて触れた枝と似たような枝が生えた。
そして、その部分がころりと土の上に落ちる。
「え?枝分かれ?」
成長とは少し違うそれ。
「リル、レヴィ……これ、枝じゃなくて……王宮の聖樹とも違うけど……これ、どうしよう」
俺が屈んで拾った枝には短いけれどしっかりとした根が張っていた。
「は?聖樹の枝分かれなんて聞いた事ねぇぞ?」
俺は、ごめんなさいと謝りながら聖樹の柵を超えて中に入り転がっている若木を手にした。
五枚の葉が付いた木。
「どうしよう……これ。とりあえず鉢植えにでもする?ウチの庭に植えたら手狭になっちゃうし……でも、植えてあげる所はすぐには見付からないだろうし……困ったなぁ」
俺は柵から出ると、手の中の聖樹を見下ろした。
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