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369話

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「レヴィが熱なんて、幼い頃に出して以来じゃないか?」
クスクスっとルーファスさんは笑い、おいでと俺を手招きすると、部屋の奥にあるクローゼットを開けた。
そこには服ではなく、小さな引き出しの並んだ箪笥みたいな物がある。
その引き出しの中からルーファスさんは徐に何かを取り出した。
……草?
草のようでもあり、葉っぱの用でもあるそれら。
「とりあえずミトに渡してくれれば後は何とかしてくれる、薬草だ」
ルーファスさんから受け取ると、俺はありがとうございますと頭を下げてから部屋を出た。
後ろからトコトコとミラが着いてくる。
「なぁに、レヴィおじちゃん具合悪い?」
俺の手に乗る薬草を見ながら、首を傾げるミラに大丈夫だよと笑う。
「その薬、すっごく苦いの」
ミラが嫌そうに顔を顰めるのを見て、それだけ効くのだろうと少し安心した。
「そっか、じゃあ口直しに甘い物を作らないとね?ミラ、プリンはどうかなぁ?レヴィのだからハチミツプリンとか。余ったらミラも食べる?」
「食べる!レヴィおじちゃんも、食べたら元気になるよ!」
ぴょんぴょん跳ねるミラと、キッチンに入るとミトさんがルンルンしている。
「ハチミツプリンですって?アタシも……」
「はい、みんなで食べましょう?玉子があったかな……少し足りないかも……買いに行ってきますね?」
玉子の在庫を確認すると、少し足りない。
俺の分はいいとしても、沢山食べたい獣人が何人もいるのだ。
「あら、ダーリン~」
「ん?玉子だな?ミラ散歩がてら買い物に行こうか。沢山あれば沢山食べられるぞ?」
いつの間にか後ろにいたルーファスさんも、プリンが食べたいのだろう。
「すみませんお父さん、お願いします。今あるだけで先にプリンを作っておきますから」
「任せてくれ」
「ダーリンもミラも、お願いね?」
はいっと手を上げて見せたミラが可愛くて、俺はつい頭を撫でてしまう。
「お使い立てしてすみません」
ルーファスさんに頭を下げると、美味しいものを食べられるのだから気にするなと笑われ、ミラと手を繋いで買い物に行ってくれる。
「さぁて、アタシはレヴィの呑み薬作るから、リクトちゃんはプリンをお願いね?たくさん作ることになるだろうけど、アタシも手伝うから」
「ありがとうございます」
あれだけの玉子を混ぜるのも大変だから、いつかは電動ミキサーが欲しいなぁ……なんて俺は思うのだった。
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