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358話

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「コーヒーできてるよ?何を入れる?」
「俺はブラックでいい。レヴィは?」
「ミルク……何か焼いたか?良い匂いがする」
甘いもの好きなレヴィがスコーンの匂いに気付く。
「クッキーをスコーンに作り直してみたんだけど、食べる?焼きたてだから美味しいかはわからないけど。待って、コーヒー用意するね」
用意していたカップにはお湯を入れて冷めないようにしておいたから、そのお湯を捨ててコーヒーを注ぐ。
レヴィのには、少しミルクと砂糖は好みで添えるだけ。
「お待たせ、リルのとこっちはレヴィ。スコーンは丸がナッツ、三角がハチミツが入ってるから食べてみて?」
取り出したばかりのスコーンを皿に並べて差し出した。
「まだ熱いから割ってから口に入れて?」
気をつけてねと、パクつこうとしたリルに注意する。
口を開いたままで固まったリルは、そーっと口を閉じてスコーンを手で半分に割っている。
近くでミルクを飲んでいた双子が、飲み終わったのか寄ってきた。
「おぅ、ルスもライもママにミルク貰ったか?」
リルの言葉に俺は一瞬たじろぐが、リルにもレヴィにもわからないだろう。
自分で言う時は気にならないが、邪な言葉に聞こえてしまって俺は咳払いをすると、一人がけのソファーに座る。
普段はリルやレヴィの隣か膝の上だったりするのだけれど。
「リクト、こっち来いよ……?」
「膝でもいいぞ?」
二人に言われてどうしようかと悩むが、それよりも双子がそれぞれの膝の上によじ登った。
食べているスコーンに興味を示しているのか、前脚を出して引き寄せる真似をするが届かないため可愛らしい仕草にしか見えない。
「ルスもライも少しならパパに貰うといいよ?」
「やっても大丈夫か?」
「少しならね」
多分、獣化しているし良く噛めばナッツでも大丈夫だろうけれど。
「念の為、ハチミツの方にしてあげて」
「わかった、ルスもライも少しづつな?」
レヴィがハチミツのスコーンを半分に割ると双子の口に入れてやる。
カリカリサクサク可愛らしい音をたてながら食べる双子がごくんとスコーンを飲み込むと、花が綻ぶように笑った。
「二人とも美味しかった?残りはパパたちのだからもうダメだよ?食べたいならまた明日ね?」
オヤツでお腹がいっぱいになってしまうと困るからと俺は止める。
双子はもっと欲しそうな顔をしたが、ダメだと諦めたようだった。
「それで、リルとレヴィは出掛けてどうだった?」
俺はそう問い掛けたのだった。
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