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342話

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「リクト、昨日の今日で怖いかもしれないが、そろそろレオンの所に行くか」
「うん、そうだね」
目が覚めて、服を着ながらリルに声を掛けられた。
「馬車を用意して置くから、大丈夫だからな」
後ろから抱き締められるようにしてレヴィにも囁かれる。
「そんなに、気を使わなくて大丈夫だよ……馬車は嬉しいけど……だって、お城まではちょっと遠いから」
歩くには遠い距離だからとお願いをすると、任せろとレヴィが先に立ち上がった。
あの、筋肉質の太腿が実は好きだったりする。
「リクト、レヴィの太腿好きだよなぁ」
リルに言われてドキッとした。
「えっ!」
「良く撫でてんぞ?無意識か?」
意地悪く笑うリルを、ペちりと軽く叩いた。
「レヴィの身体は俺でも惚れ惚れするしな……いいと思うぜ?でも、俺の足も悪くねぇと思うけど?」
そう言いながら、笑うリル。
確かに二人の足は凄く長いし筋肉質なのだけれど。
「俺はリクトのこの腰とか好きなんだよなぁ……曲線っつーか」
するりとリルが腰を撫でると、ゾクゾクっと電気が走る。
「……っ!!」
「悪ィ、リクト弱いんだったな」
わかってやるのが恨めしく、リルを睨むとその向こうからリルの脳天にレヴィのゲンコツが落ちた。
「いってぇ!にすんだレヴィ」
「何となく」
しれっと言い放ったレヴィに仕方ないと頭を撫でながらリルも漸く起き出した。
何だかんだで仲の良い二人を見てほっこりとした朝がはじまるのだった。

☆☆☆

「ちょっとだけ、遠くからでもいいから、聖樹見れないかな……本当は俺だけでも見たいんだけど……駄目?」
「んじゃあ、ギリギリまで馬車で行ってから、レヴィと二人で見てこいよ、双子は俺が見てるから」
馬車に乗り込む前に俺が聞くと、リルがそう返してくれた。
「いいの?」
「レヴィがいいって言えばな」
レヴィは先に馬車を借りに行ってくれた。ガタンと門の前で馬車が止まる音がして、レヴィが戻ってくるとお帰りなさいのキスをした。
「レヴィ……」
「いいぞ?」
「まだ、何も言ってないんだけど」
俺は名前を呼んだだけだ。首を傾げてレヴィを見上げる。
にこりと笑うレヴィに少し驚くと、レヴィの大きな手が俺の頭を撫でる。
「リルに何か相談したんだろ?リルが止めてないなら大丈夫だ」
ちらりとレヴィがリルを見ると、リルは軽く肩を竦めて見せる。
「聖樹に行きたいっつーから、近くまで行ったらレヴィと一緒に見て来いって言っただけだ」
「リルがそれでいいなら、そうするか……じゃあ行くぞ」
阿吽の呼吸と言うかなんと言うか。
決断の早い二人に頼りっきりの自分でごめんなさいと心の中で二人に謝りながら、子供たちを抱き上げた二人の後を追うのだった。
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