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339話
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「美味しかったわぁ、リクトちゃん」
ミトさんが皿を持って立ち上がる。
「お母さん、デザートにプリンありますよ?」
「あら、嬉しいわ」
プリンと言う単語にミトさんが腰を浮かす。
「普通のプリンと蕩けるプリンがありますが」
「それは悩むわねぇ......」
「全員分ありますから、良かったらどちらもどうぞ?」
そう言うと、ミトさんの目が輝いた。本当に皆プリンが好きなんだよね。
俺が作る素朴なぷりんより、買った方が美味しいと思うけれど、機嫌良く食べてくれるのは嬉しい。
唐揚げ、ナポリタン、プリンはある意味三種の神器なんだよね。それを出しておけば大概が大丈夫。
「ダーリンどっちにする?」
「どっちも美味そうだ」
ミトさんがルーファスさんに問い掛けると、どちらでもと言うルーファスさんのしっぽがユラユラと揺れるのが見える。
「あまり大きくはありませんから。ミラも食べられる?」
食事前に少し食べたからとは言わないで、お腹いっぱいでは無いかと聞くと、ミラからはやわらかいの!と言う回答。
さっき食べたのと違うやつね。
「レヴィは?」
「勿論」
はいはい、両方用意しますね。
「リルは?」
「どっちも食いてぇけど、ライとルスも食うならやわらかい方かなぁ」
「はーい。丸い方が普通の。四角がなめらかなので、レヴィ悪いけどスプーンと一緒に運んでくれる?」
「あら、アタシがやるわよぉ?リクトちゃんは食べないの?」
ミトさんが立ち上がってこっちに来てくれる。
「俺、お腹いっぱいで......残ったら明日食べますけと、もし食べられるならおかわりしてください」
甘い物は好きだけれど、別腹なんて言える程食欲魔神では無い。
「なら、アタシが洗い物するわよ?」
「大丈夫です、このくらいやらないと、食べた物を消化出来ないので。お母さんこそ、色々ありがとうございました、食べたらゆっくり休んでくださいね?」
そう言うと、ギュッと抱き締められた。
今日、これで何回目だろうか。リルとレヴィなら俺を抱き締めたがるのがわかるけれど、今日はやたらミトさんやルーファスさんに抱き締められているのだから。
「お母さん......?」
「えぇ、いいのよアタシがリクトちゃんをギュッてしたいだけだもの」
そう言って笑ったミトさんの優しさに胸がギュッとなった。
「アタシたちも、リクトちゃんに甘えちゃったけど、早く親子水入らずで過ごしたいわよね?プリンの器はアタシが洗うから、早く五人で部屋に行きなさいな」
「はい、でもお母さんゆっくり食べてくださいね?」
「えぇ、いただくわね?あらやだ!アンタたち食べるの早いわよ!」
ダイニングに戻ったミトさんの叫びに笑いが込み上げてくる。
「リクト、チビ共おねむだってよ、そっち終わったら部屋に行こうな」
ダイニングからリルの声が聞こえた。
「シチューの鍋は明日にしようかな」
水を口まで入れてキッチンに置く。
「じゃあ部屋に行こう」
リルとレヴィがそれぞれ子供たちを抱き上げた。
ミトさんが皿を持って立ち上がる。
「お母さん、デザートにプリンありますよ?」
「あら、嬉しいわ」
プリンと言う単語にミトさんが腰を浮かす。
「普通のプリンと蕩けるプリンがありますが」
「それは悩むわねぇ......」
「全員分ありますから、良かったらどちらもどうぞ?」
そう言うと、ミトさんの目が輝いた。本当に皆プリンが好きなんだよね。
俺が作る素朴なぷりんより、買った方が美味しいと思うけれど、機嫌良く食べてくれるのは嬉しい。
唐揚げ、ナポリタン、プリンはある意味三種の神器なんだよね。それを出しておけば大概が大丈夫。
「ダーリンどっちにする?」
「どっちも美味そうだ」
ミトさんがルーファスさんに問い掛けると、どちらでもと言うルーファスさんのしっぽがユラユラと揺れるのが見える。
「あまり大きくはありませんから。ミラも食べられる?」
食事前に少し食べたからとは言わないで、お腹いっぱいでは無いかと聞くと、ミラからはやわらかいの!と言う回答。
さっき食べたのと違うやつね。
「レヴィは?」
「勿論」
はいはい、両方用意しますね。
「リルは?」
「どっちも食いてぇけど、ライとルスも食うならやわらかい方かなぁ」
「はーい。丸い方が普通の。四角がなめらかなので、レヴィ悪いけどスプーンと一緒に運んでくれる?」
「あら、アタシがやるわよぉ?リクトちゃんは食べないの?」
ミトさんが立ち上がってこっちに来てくれる。
「俺、お腹いっぱいで......残ったら明日食べますけと、もし食べられるならおかわりしてください」
甘い物は好きだけれど、別腹なんて言える程食欲魔神では無い。
「なら、アタシが洗い物するわよ?」
「大丈夫です、このくらいやらないと、食べた物を消化出来ないので。お母さんこそ、色々ありがとうございました、食べたらゆっくり休んでくださいね?」
そう言うと、ギュッと抱き締められた。
今日、これで何回目だろうか。リルとレヴィなら俺を抱き締めたがるのがわかるけれど、今日はやたらミトさんやルーファスさんに抱き締められているのだから。
「お母さん......?」
「えぇ、いいのよアタシがリクトちゃんをギュッてしたいだけだもの」
そう言って笑ったミトさんの優しさに胸がギュッとなった。
「アタシたちも、リクトちゃんに甘えちゃったけど、早く親子水入らずで過ごしたいわよね?プリンの器はアタシが洗うから、早く五人で部屋に行きなさいな」
「はい、でもお母さんゆっくり食べてくださいね?」
「えぇ、いただくわね?あらやだ!アンタたち食べるの早いわよ!」
ダイニングに戻ったミトさんの叫びに笑いが込み上げてくる。
「リクト、チビ共おねむだってよ、そっち終わったら部屋に行こうな」
ダイニングからリルの声が聞こえた。
「シチューの鍋は明日にしようかな」
水を口まで入れてキッチンに置く。
「じゃあ部屋に行こう」
リルとレヴィがそれぞれ子供たちを抱き上げた。
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