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335話
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「リル、先にご飯食べる?たくさん作っちゃったから」
「いや、リクトが皆で食べるのに作ってくれたんだろ?だったら皆で食べようぜ?」
リビングに入ると、ミラが起きてベビーベッドから降りてきた。
「ミラ、ルスを見ててくれてありがとう。お腹すいてない?」
『ンー......ちょっとおなかすいた』
可愛らしい子虎の姿でスリっと足元に擦り寄ってくる。
「リルのお腹には足りないかもしれないけど、プリン作ってあるんだ......そのくらいなら大丈夫じゃない?ミラも......きっと、ルスとライもお腹は空いてると思うし」
「リクトがいいなら」
「うん、ルスも連れてくるね?」
リルにライを渡して、ミラにリルについて行くようにお願いすると、俺はベビーベッドに向かう。
そこではルスがベビーベッドの縁に前足を掛けてこちらを向いていた。
「ルス、おっきした?皆でプリン食べようか」
そう伝えると、早くとばかりに前足を動かすルス。
重くなってきたルスを抱き上げてチュッと鼻先にキスをしてから落とさないようにダイニングに向かう。
ソファに座りながらライを抱いていたリルに、ルスも任せるとミラが手伝うとばかりに人型になり服を着ていた。
「ミラありがとう、プリン出すからスプーンを3つお願い」
「みっつ?たりなくない?」
数を数えられるようになったミラは、首を傾げる。
「ルスはスプーンを使わないし、ライには俺が一緒に食べさせるから、俺とリルとミラの分で3個、大丈夫でしょ?」
指を折って数えると、ミラはうん!と、頷いた。
引き出しの手前に踏み台を運び、中身を取るのを教えたのはミトさんだろう。
お手伝いをしたいときにさせないと、何もやらない子になっちゃうのよと笑ったミトさんにそんなものかと思ってしまったが、何でも先回りしてやるのも良くないのだろうと思い直す。
本当に子育ては大変だなぁ......そう思いながら冷えたプリンを取り出す。
冷たすぎるのは良くないかもしれないけれど......リルに聞いてみようと。
「リクト、スプーンみっつ」
ミラが出してくれたスプーンは3つ。
「ありがとう。向こうまで運んでくれるかな?」
「はぁい」
可愛らしいミラに顔が綻んでしまう。
取り出すことに夢中で、引き出しを閉めるのを忘れるのも子供あるある。
ミラに気付かれないように引き出しを閉めて、俺はプリンをトレーに乗せて運ぶ。
ルス用の平皿も忘れない。
「お待たせ、ミラ座って食べれるね?」
「うん!」
「ルスはこっちで食べる?」
丸い皿にプリンを崩さずに出してやると、ルスの目が嬉しそうに光る。
崩してあげようかと思ったけれど、少しそのままで見守ろうと思った。
「リル、お疲れさま......色々ありがとう」
「おぅ、リクトもな?美味そうな匂いがする......」
「沢山作ったから、味見くらいなら大丈夫だと思う......プリン食べちゃったらあたためようか。ライ......プリンだよ、あーん」
リルからライを受け取り抱きながらプリンを食べさせる。
甘さ控えめなカラメル無し。
口を開けたライ。そこに小さな白い歯が見えた。
つるんとプリンを食べてもぐもぐごくん。意識しないでできるのって、凄いなと思ってしまう。
そして、もっと欲しいとばかりに口を開ける姿に、次のプリンを食べさせてやる。
「良いなぁライ、ママのあーん。俺もして貰いてぇ」
ボソッと隣で呟いたリルに吹き出してしまうところだった。
隣をみたら、しょんぼりと耳としっぽが垂れているリル。
どっちが子供なのかわからない。
すると、向かい側から可愛らしいあーんが聞こえた。
「リルにー、リクトはいそがしいから、ほらあーん」
ミラのませた言葉。
それにリルも驚きながら、差し出されたスプーンをパクリと口にする。
すると、ミラもパカッと口を開けた。
ミラも食べさせて欲しいのだろう。今度はリルがミラに食べさせてやるのを見ながらほっこりとする。
クスクスと笑うと、ライの手がもっと欲しいと強請るように動き、俺は慌てて次の一口を入れてやる。
あまり食べさせすぎてもいけないだろうと、ミラの半分位で止めてからライの口元を拭いてやる。
『グルゥ......』
足元で小さな声がして、ルスを見ると少し食べづらそうにしている。
「ルス、ちょっとプリンを崩してもいい?」
まだ固形の残るプリンに少しスプーンを入れてやると、ルスは少し大きめの塊を食べられ、皿の上は綺麗に無くなる。せっかくだからと、ライの残したプリンもルスの皿に乗せてやると、それもあっという間に無くなった。
いい食べっぷりだなと思うと、ミラが狡いとばっかりに俺を見ていた。
「ミラももっと食べたかった?」
「うん!」
「じゃあ、俺のをあげるよ?」
「それはリクトの......」
「なら、俺のを半分あげる。半分は俺が食べるから大丈夫だよ?」
ミラは食べたいけれど、俺の分だと理解していて食べてしまったら俺の分がないからと我慢出来る子だ。
「今日、ルスの面倒もみてくれたし、ミトママには内緒だよ?」
「うんっ!」
器から器にプリンを移し、ミラは美味しそうに食べている。
これで食事の時に食べられなかったらどうしようかと不安にはなったけれど、その時は仕方ないかなと諦めた。
全員のカップが空になった頃、ピンポンと玄関のチャイムが鳴った。
「いや、リクトが皆で食べるのに作ってくれたんだろ?だったら皆で食べようぜ?」
リビングに入ると、ミラが起きてベビーベッドから降りてきた。
「ミラ、ルスを見ててくれてありがとう。お腹すいてない?」
『ンー......ちょっとおなかすいた』
可愛らしい子虎の姿でスリっと足元に擦り寄ってくる。
「リルのお腹には足りないかもしれないけど、プリン作ってあるんだ......そのくらいなら大丈夫じゃない?ミラも......きっと、ルスとライもお腹は空いてると思うし」
「リクトがいいなら」
「うん、ルスも連れてくるね?」
リルにライを渡して、ミラにリルについて行くようにお願いすると、俺はベビーベッドに向かう。
そこではルスがベビーベッドの縁に前足を掛けてこちらを向いていた。
「ルス、おっきした?皆でプリン食べようか」
そう伝えると、早くとばかりに前足を動かすルス。
重くなってきたルスを抱き上げてチュッと鼻先にキスをしてから落とさないようにダイニングに向かう。
ソファに座りながらライを抱いていたリルに、ルスも任せるとミラが手伝うとばかりに人型になり服を着ていた。
「ミラありがとう、プリン出すからスプーンを3つお願い」
「みっつ?たりなくない?」
数を数えられるようになったミラは、首を傾げる。
「ルスはスプーンを使わないし、ライには俺が一緒に食べさせるから、俺とリルとミラの分で3個、大丈夫でしょ?」
指を折って数えると、ミラはうん!と、頷いた。
引き出しの手前に踏み台を運び、中身を取るのを教えたのはミトさんだろう。
お手伝いをしたいときにさせないと、何もやらない子になっちゃうのよと笑ったミトさんにそんなものかと思ってしまったが、何でも先回りしてやるのも良くないのだろうと思い直す。
本当に子育ては大変だなぁ......そう思いながら冷えたプリンを取り出す。
冷たすぎるのは良くないかもしれないけれど......リルに聞いてみようと。
「リクト、スプーンみっつ」
ミラが出してくれたスプーンは3つ。
「ありがとう。向こうまで運んでくれるかな?」
「はぁい」
可愛らしいミラに顔が綻んでしまう。
取り出すことに夢中で、引き出しを閉めるのを忘れるのも子供あるある。
ミラに気付かれないように引き出しを閉めて、俺はプリンをトレーに乗せて運ぶ。
ルス用の平皿も忘れない。
「お待たせ、ミラ座って食べれるね?」
「うん!」
「ルスはこっちで食べる?」
丸い皿にプリンを崩さずに出してやると、ルスの目が嬉しそうに光る。
崩してあげようかと思ったけれど、少しそのままで見守ろうと思った。
「リル、お疲れさま......色々ありがとう」
「おぅ、リクトもな?美味そうな匂いがする......」
「沢山作ったから、味見くらいなら大丈夫だと思う......プリン食べちゃったらあたためようか。ライ......プリンだよ、あーん」
リルからライを受け取り抱きながらプリンを食べさせる。
甘さ控えめなカラメル無し。
口を開けたライ。そこに小さな白い歯が見えた。
つるんとプリンを食べてもぐもぐごくん。意識しないでできるのって、凄いなと思ってしまう。
そして、もっと欲しいとばかりに口を開ける姿に、次のプリンを食べさせてやる。
「良いなぁライ、ママのあーん。俺もして貰いてぇ」
ボソッと隣で呟いたリルに吹き出してしまうところだった。
隣をみたら、しょんぼりと耳としっぽが垂れているリル。
どっちが子供なのかわからない。
すると、向かい側から可愛らしいあーんが聞こえた。
「リルにー、リクトはいそがしいから、ほらあーん」
ミラのませた言葉。
それにリルも驚きながら、差し出されたスプーンをパクリと口にする。
すると、ミラもパカッと口を開けた。
ミラも食べさせて欲しいのだろう。今度はリルがミラに食べさせてやるのを見ながらほっこりとする。
クスクスと笑うと、ライの手がもっと欲しいと強請るように動き、俺は慌てて次の一口を入れてやる。
あまり食べさせすぎてもいけないだろうと、ミラの半分位で止めてからライの口元を拭いてやる。
『グルゥ......』
足元で小さな声がして、ルスを見ると少し食べづらそうにしている。
「ルス、ちょっとプリンを崩してもいい?」
まだ固形の残るプリンに少しスプーンを入れてやると、ルスは少し大きめの塊を食べられ、皿の上は綺麗に無くなる。せっかくだからと、ライの残したプリンもルスの皿に乗せてやると、それもあっという間に無くなった。
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「ミラももっと食べたかった?」
「うん!」
「じゃあ、俺のをあげるよ?」
「それはリクトの......」
「なら、俺のを半分あげる。半分は俺が食べるから大丈夫だよ?」
ミラは食べたいけれど、俺の分だと理解していて食べてしまったら俺の分がないからと我慢出来る子だ。
「今日、ルスの面倒もみてくれたし、ミトママには内緒だよ?」
「うんっ!」
器から器にプリンを移し、ミラは美味しそうに食べている。
これで食事の時に食べられなかったらどうしようかと不安にはなったけれど、その時は仕方ないかなと諦めた。
全員のカップが空になった頃、ピンポンと玄関のチャイムが鳴った。
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