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315話

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開いた扉から入ると、そこに居たのは以前に会ったギルドマスターさん。

「リル下ろして?」

抱かれたままじゃ挨拶も出来ないと行ってリルを見るが、慣れたようでリルは俺を抱いたまま部屋の中に入る。
そして、そのままソファーに座ってしまった。
ちょっとリルさん?後でお説教かなぁ?
ちらりとリルを見ても全く気にしていないらしくにこりと微笑まれた。
ちくしょう。無駄にイケメンなんだ。

「マスターさん、すみません」

ペコリとギルドマスターに頭を下げると、気にしなくていいですよと微笑まれた。
ギルド職員さんが三人分のお茶を置いてから去っていくのを見てギルドマスターが口を開いた。

「ケツアルコアトルの件と、採取した植物の件、穿っていますので良かったら物を見せていただきたいのですが……」
「リクト、バッグから昨日の花を出してやれよ、全部な?」

リルにいわれると、下げたバッグから露草に似たあの植物を両手いっぱいに取り出した。
もっとあるのだけど。

「こ、こんなにですか?」
「あぁ、たぶんもっとあるぜ?なぁリクト」
「うん、たぶんもう後二掴みくらいは」

手を入れて取り出すと、ギルドマスターは困った顔をする。

「リル、悪いがこれだけあると国家予算を動かさなきゃならなくなるから、とりあえずまだ持っていてくれないか?」

もう一掴みを取り出そうとして止められた。
別にただ摘んだだけだからそんなに高いものだと思っていなかったため、俺は国家予算と聞いてリルを見上げる。

「滅多に出回らない植物で、エリクサーに使うって言っただろ?しかも、こんな泥付の新鮮なヤツなんて本当に出回らないんだ、その根っこに付いた玉で何本のエリクサーができるかなぁ?」

リルの言葉にこくこくと頷いたギルドマスター。

「え、バッグの中に転がってるのがあるから、後で捨てようと……」
「とんでもない!」

立ち上がったギルドマスターに、びっくりして俺は彼を見上げた。

「リクトが驚いてるから座ってくれ。それと、ケツアルコアトルも入ってるんだが流石にこの部屋じゃ出せねぇからな……とりあえず討伐証明だけ出せばいいか?」

リルがバッグに手を突っ込むと何やら取り出したのは、大きな曲がった角のようなものに見えた。

「とりあえず爪だな、後は細かくして入れてある。嘴や爪、羽毛もあるから買い取ってくれ」
「どのくらいだ?」
「2羽」
「……それならなんとか」

あれ、爪なんだ。
本当にあのときはそれどころではなくてまじまじとは見ることができなかったが、その爪の大きさでケツアルコアトルのサイズが想像できた。

「契約書を作るから時間をくれ」
「あぁ、ケツアルコアトルは俺で半分は俺からレヴィに渡すか、直接ギルドから振り込んでくれ」
「なら、レヴィのサインが必要だが」
「面倒くせぇな。じゃあ全部俺の所で、支払い金額の証明をしてくれ俺からレヴィに渡す」
「わかりました、植物は……」
「全部リクトでな?リクトタグを出しておいてくれ」
「リル、待って俺はお金いらないんだけど」

何で俺が貰わなきゃいけないのだろうかと、俺はリルに抗議の声をあげた。
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