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313話

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「美味しかった、ご馳走さま」

朝食を食べ終わると、片付けくらいはと立ち上がったが、いいとレヴィに制されてリルとレヴィが二人で洗い物をしてくれる。
本当に甘やかされまくりで申し訳無いなと思う。

「ありがとう」

ライを抱きながらコーヒーを飲む。
テレビとかがあれば、1日のニュースや天気予報を見て出勤するのだが、テレビは無いし俺は無職のニートなのだ。
働かなくていいと言われてはいるが、やはり何かしたいが育休中だと思えばそれでいいか。
世界の育休取得者に聞かれたら怒られそうだが仕方ないとライを撫でる。
小さな手をこちらに向けてくる指を差し出すと、きゅっと握ってくるその姿が可愛くてつい微笑んでしまうのだ。

「なーぅ」

ぴょんとソファーに乗ってきたのはルス。
すりすりっと頬を寄せてくる姿が可愛くてルスを膝に乗せる。
すると、両脇にリルとレヴィが座りキツキツになってしまうのはデフォルト。

「このあと出掛ける?」
「そうだな、天気も悪くならなそうだし」
「……いや、山に雲がかかってるから一雨あるかもだなぁ」

窓の外、遠くに見える山の向こうに雲が見える。
この世界に気象予報は無いらしい。

「濡れたら困るから双子はどうする?」
「ミトさん達に頼むのも悪いし俺がみていてもいい」

申し出てくれたのはレヴィ。

「ミラも一緒に預かってもいいから、たまには2人で出掛けて来いよ、リル……昨日無理をさせたから、リクトを頼むぞ?」
「おう、任せておけ。抱いて連れていってやるからな?」
「えっ、リル大丈夫歩いて行けるよ?」
「いつも抱っこはレヴィの専売特許だろ?たまには俺にも抱っこさせろって、レヴィ程じゃねぇけど俺だって力あるし落とさねぇよ」

力こぶを見せてくれたリルに、それは心配していないけどとリルの力こぶを手で撫でる。
レヴィの力こぶは鋼だけど、リルの力こぶはやわらかいなと触りながら思ってしまう。

「俺だって重いのわかってるから、ずっと抱っこされるの申し訳ないし、見られるのちょっと恥ずかしいんだよ……大人なのに」
「大人だから抱っこ駄目なのか?親父だってお袋抱っこしてるしな……」

その言葉にぎょっとしてしまう。
逆だと思っていた。

「え、じゃあリルはレヴィを抱っこできる?」

俺の問い掛けにリルが悩んだ表情を見せる。

「やって、やれなくはねぇだろうけど、レヴィやってみるか?」
「いや、いい」

面白いものが見られるかと思ったのにと、俺は残念になってしまった。
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