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306話

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にこやかな笑顔を向けてくる2人だったが、その目の奥は笑っていない。
獰猛な肉食獣なのだ。
「キスして」
自分から寝台に座り、2人を見上げる。
リルとレヴィは互いに顔を見合わせてから、リルが先に寝台に膝を突いた。
手首を掴まれ仰向けに押し倒されるとリルの唇が迫ってくる。
触れる乾いた唇と、それを追うように来た舌を受け入れる。
「んっ……ぁ」
鼻にかかる甘い声は何度聞いても自分の声ではなく。
押し倒されてリルの体温を感じながら、ちらりと横を見るとレヴィが腕を組んで立っていた。
「は……ぁ……リル……ンッ」
唇が離れると、銀糸が落ちる。
これだけでもう意識が持っていかれそうになる。
「ん?気持ち良かったか?」
「ん」
「じゃあレヴィにもな?」
掴まれていた腕が解かれると、今度はレヴィがリルと場所を代わる。
「レヴィ……キスして」
「リクト、その顔は反則だ」
髪を撫でられてされるキスはリルと違い優しいキスだ。
どちらのキスも俺を蕩けさせる。
「ん……ふぁ……」
ヂュッと舌を吸われてちゅぷっと水音がして離れていく。
頭の奥がジンと痺れて俺は眼を伏せた。
「リクト、まだぐったりすんな?これからだろ?」
リルに上半身を起こされてこくりと頷いた。
けれど、身体に力が入らない。
「リル、レヴィどうしたんだろ……今日……力が入らなくて……でも、2人にされたい……」
「昼間の疲れか?」
レヴィの気遣うような声に俺は違うと頭を振った。
「違うと思う。怖かったけど2人がいたから……大丈夫。今日は全身が……敏感になってるみたいなんだ。見て……」
触ってもいないのに、キスだけで前も後ろも蕩けてしまっている。
恥ずかしいのだけれど、俺はそっと足を開いて見せる。
そうすると、2人の喉が鳴った。
「欲しい……」
下腹部がひくりと反応する。
これからの事を想像するだけで、とろりと蜜が滴った。
ねだっている自分が恥ずかしい。
口許に手当て2人から視線を逸らすと、レヴィが俺の膝を掴み大きく開かせる。
「本当だ」
2人の視線を肌で感じて更に身体が反応していく。
「あまり、見ないで……恥ずかしいから」
俺は空いた手で枕を掴む。
次の瞬間、自身が包まれ濡れた感触。
「あんっ……」
視線だけ動かすと、自分の下肢は茶色で包まれている。
「レヴィ」
舐められている。
ゆっくりと動くレヴィの頭。
生暖かい感触に腰が跳ねた。
「じゃあ、俺はこっちだな」
リルが俺の胸の突起をちろりと舌で舐めた。
2人のイケメンの視線が俺を見ながら、肌の上を指先で撫でる。
いつものぞわりとする感覚が背骨を駆け上がった。
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