281 / 407
287話
しおりを挟む
「わ、ライ?」
レヴィと珈琲を飲んでいると、寝転がっていたライが起き上がりハイハイをしながらシートの外に出ようとしていた。
それを慌てて止めると、ライはぷくっと頬を膨らませた。
「ライ危ないよ。パパとママだけお茶をしてるのが嫌だったかな?ライもミルクにする?」
ピコピコと小さな丸い耳が動き、膨らんでいた頬が今度はえくぼで凹んだ。
俺はカップを置くと、レヴィがいつの間にかミルクを取り出してくれていた。
これは、いつでも直ぐに飲めるようにと作ってマジックボックスに入れてあった。
それを受け取ってライに飲ませると、やはりルスの飲んでいた半分ほどまででケプッとしてしまった。
「やっぱり飲むのは少ないね……」
「でも、ちゃんと育っている心配するな」
レヴィの言葉に頷いて、ライの唇を拭ってやる。
抱き上げて背中をトントンすると、ケプリと息を吐いた。
「病気じゃ無ければいいや」
元気に育ってくれればそれでいい。
眠そうに欠伸をしたライを下ろしてやると、パチパチと瞬きをしてから眠いとばかりに欠伸をひとつ。
「寝るのがお仕事だもんね?たくさん寝るんだよ?」
ライの頭を撫でてやると、そのまま目蓋が落ちていく。
「レヴィの小さな頃もこうだったのかなぁ。いつかきっとルスもライも俺より大きくなるんだろうね……楽しみでもあるし、親離れしたら寂しくなるかも」
「なら、もっと家族を作ればいい。勿論俺達もずっと一緒だが」
「うん」
差し出されたカップを受け取り、甘めにした珈琲を口にする。
優しいレヴィの気持ちが嬉しかった。
「レヴィ、リルもだけど……ふたりの伴侶にしてくれて幸せだよ?」
珈琲の香りがするキスをして、ライを撫でながらゆっくりとした時間を過ごした。
「そろそろお昼かな」
時間の感覚がわからないとレヴィに聞くと、そろそろだろうとレヴィも頷く。
「リルに連絡するのはどうしたらいいのかな。先にお昼を食べたら怒られそう?」
「あぁ、呼ぶから待ってくれ」
そう言いながらレヴィは服を脱ぎ始め全裸になると獣化した。
もふもふの可愛い姿で四つん這いになると、喉を逸らし空に向かって吠えた。
肉食獣の咆哮は大気を揺らす。
「うわっ!」
ビリビリと空気が振動するのを肌で感じて目を閉じた。
すると、遠くて俺にもわかるくらいの大きさで返事が返ってくる。
「リルかな?戻ってくるかなぁ?」
『グルゥ……直ぐに戻ると。準備して待とう?』
レヴィにそう言われると俺は頷いてボックスから昼食を取り出していく。
その間にレヴィは獣化を解いて服を着るのだった。
レヴィと珈琲を飲んでいると、寝転がっていたライが起き上がりハイハイをしながらシートの外に出ようとしていた。
それを慌てて止めると、ライはぷくっと頬を膨らませた。
「ライ危ないよ。パパとママだけお茶をしてるのが嫌だったかな?ライもミルクにする?」
ピコピコと小さな丸い耳が動き、膨らんでいた頬が今度はえくぼで凹んだ。
俺はカップを置くと、レヴィがいつの間にかミルクを取り出してくれていた。
これは、いつでも直ぐに飲めるようにと作ってマジックボックスに入れてあった。
それを受け取ってライに飲ませると、やはりルスの飲んでいた半分ほどまででケプッとしてしまった。
「やっぱり飲むのは少ないね……」
「でも、ちゃんと育っている心配するな」
レヴィの言葉に頷いて、ライの唇を拭ってやる。
抱き上げて背中をトントンすると、ケプリと息を吐いた。
「病気じゃ無ければいいや」
元気に育ってくれればそれでいい。
眠そうに欠伸をしたライを下ろしてやると、パチパチと瞬きをしてから眠いとばかりに欠伸をひとつ。
「寝るのがお仕事だもんね?たくさん寝るんだよ?」
ライの頭を撫でてやると、そのまま目蓋が落ちていく。
「レヴィの小さな頃もこうだったのかなぁ。いつかきっとルスもライも俺より大きくなるんだろうね……楽しみでもあるし、親離れしたら寂しくなるかも」
「なら、もっと家族を作ればいい。勿論俺達もずっと一緒だが」
「うん」
差し出されたカップを受け取り、甘めにした珈琲を口にする。
優しいレヴィの気持ちが嬉しかった。
「レヴィ、リルもだけど……ふたりの伴侶にしてくれて幸せだよ?」
珈琲の香りがするキスをして、ライを撫でながらゆっくりとした時間を過ごした。
「そろそろお昼かな」
時間の感覚がわからないとレヴィに聞くと、そろそろだろうとレヴィも頷く。
「リルに連絡するのはどうしたらいいのかな。先にお昼を食べたら怒られそう?」
「あぁ、呼ぶから待ってくれ」
そう言いながらレヴィは服を脱ぎ始め全裸になると獣化した。
もふもふの可愛い姿で四つん這いになると、喉を逸らし空に向かって吠えた。
肉食獣の咆哮は大気を揺らす。
「うわっ!」
ビリビリと空気が振動するのを肌で感じて目を閉じた。
すると、遠くて俺にもわかるくらいの大きさで返事が返ってくる。
「リルかな?戻ってくるかなぁ?」
『グルゥ……直ぐに戻ると。準備して待とう?』
レヴィにそう言われると俺は頷いてボックスから昼食を取り出していく。
その間にレヴィは獣化を解いて服を着るのだった。
136
お気に入りに追加
5,257
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる