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275話

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手早くラザニアを作り、コンロに入れて火にかける。
大きめの容器で作ったから間に合うだろうと、思っているが食事をするのは肉食獣たち。
多目に作っておいて間違いは無いだろう。
コンロを使っているから、他でできるものをと思いながらパエリアでも炊こうかなとお米や具材を用意した。
炭水化物に炭水化物とは思ったが、どうだろうか。
とりあえずと、土鍋で炊く準備をしながら、きっと肉も食べたいと言う皆にサイコロステーキとしょうが焼きを作る。
しょうが焼きはきっと白いご飯が欲しくなるかなと思いながら、余れば焼おにぎりにでもすれば良いかともう1つ土鍋を用意して米を炊く。
最近は定期的にルーファスさんが米や醤油を輸入してくれているから、在庫を心配しなくていい。
「いい匂いだな」
レヴィがやってきた。
「うん、今日はしょうが焼きにしちゃった。サイコロステーキならルスも軟らかくて食べられそうだし……ダメだったかなぁ」
「小さくしてやれば大丈夫だろ」
「そっか。もっと、わかっていればしっかりと支度したんだけどね?」
「こればっかりはタイミングだしな……リクト、魚も食べたいんだが……」
レヴィのリクエストにお魚もいいなと冷凍庫を探ると、サーモンに似た魚がある。
熊に鮭と言って思い出すのは、北の国でお土産物になっていた熊が口に鮭を咥えた木彫りの置物。
一瞬微笑ましくなってくすりと笑ってしまうと、レヴィは不思議そうに首を傾げた。
「レヴィ、コンロで焼くからスープ鍋を退かしてくれる?」
大型の寸胴鍋はスープがたっぷり入っていると俺には動かせないし、他の二口は土鍋が乗っているのだ。
「任せろ」
太い腕でひょいと鍋をずらしてくれたレヴィにありがとうとキスをしてから蓋のある大きめな鍋にバターを溶かしてから大きなサーモンをそのままと周囲にはたっぷりの野菜、臭い消しに白ワインを振り入れてから塩コショウをして弱火でじっくり焼くのだが、野菜から出た水分と旨味をサーモンが吸って、俺はポン酢で食べるのが好きだけれど、今日は子供たちも食べるだろうからと、マヨネーズにコーンを混ぜてから野菜やサーモンの上に乗せて焼くマヨネーズ焼きにした。
これならパンでも美味しい。
「焼き上がったら食事にしようか」
「テーブルセッティングしてくる」
「ありがとう」
こうして自然に手伝ってくれるレヴィの優しさは嬉しい。
火加減を見ているとするりと足元になにかがすり寄ってきた感触にそちらを見ると、ミラだった。
「ミラ、ルスと遊んでくれてありがとうね、もうちょっとしたら食事にしようね?」
『なーぅ』
すりすりっと頭を擦りつけてくる仕草は可愛らしい。
後で何か甘いものをつくってあげなきゃならないかなとミラの頭を撫でるのだった。
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