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266話
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リルが裸体のまま部屋をうろうろして、服を着始めるとレヴィは俺をそっと抱き上げた。
自分で歩けるのにと、レヴィを見ても意見は聞かないぞとばかりにこちらを見ないレヴィの頬にそっとキスをした。
そうして初めて視線を合わせてくれたレヴィに下ろしてと頼んだけれど聞き入れられなかった。
「動けないだろう?王宮までは抱いて運んでやるから心配しなくていい……リルが双子を連れてきてくれる」
そう言いながらレヴィはすたすたと玄関に向かう。
ミトさん達には王宮へ行くと伝えてくれているらしく、玄関を出ると馬車が待機していた。
「悪いな」
どうやら、伝令に来てくれた人が手配をしたのだろう。
借り上げ馬車のようだった。
レヴィが声を掛けたのは馬車に乗り込む際に扉を開いてくれた男性へ。
三角の耳と長い尻尾、綺麗なグレーの毛色はロシアンブルーかな?
本当に俺は自分が猫科が好きだなと思う。
犬だってもちろん好きだけど、猫はあのふにゃんと柔らかいところが大好きで、ツンデレな所もいい。
熊だって仕草とか円らな瞳も可愛い。
「リルも来るんだよね?」
「あぁ、双子を連れてくるんだと」
大丈夫かと不安になったところで片手で器用に扉を開けたレヴィに馬車に乗るように促されてレヴィごと座席に座る。
俺はレヴィの膝の上だ。
座席に座るとレヴィに向かって言ったところで再び開いたドアからリルが乗り込んできた。
左右に双子を抱いている。
ルスを片手でレヴィが受け取ってから俺に渡してくれ、ライも続いて受けとるとレヴィが座席に座る。
「双子は大丈夫そうか?」
「あぁ、起きてはいるみたいだけどな」
ルスは大人しく腕の中にいるが、ライもなのだろう。
「レヴィずりぃぞ、双子もリクトもなんて、俺が寂しいだろうが」
後から乗り込んだリルは扉を閉めると双子のどちらかを抱きたいと手を出してくる。
すると、レヴィが抱いていたライを差し出した。
ルスに比べて人見知りをするライ。
だが、さすがに父親に抱かれるのは好きなようで。
静かに手をのぱしてリルの顔に小さな手で触れていた。
「やっぱ、もう1人くらい子供欲しいよな……」
リルの呟きにレヴィが頷く。
「もう少ししたらね?ルスとライをまずは育てられるか……俺、小さい子供と触れ合った事がないからやっぱり不安でさ……家族が増えるのは嬉しいけれど。でも、俺の体力が持たないかなぁ……リルとレヴィに助けてもらっているからやれてるけど、子供の体力半端無いもん……大きくなって走るようになったら……ちょっと」
30歳にはまだもうちょっとあるけれど、基本もやしっこなのだ。
こちらに来てから身体を鍛えたりもしていない。
だから、少し運動しなきゃダメかなと二人を見た。
「毎日、少しずつお散歩とか行こうかな……」
双子の行動範囲が広がるのに合わせてやろうかなと言った瞬間、外から動きますよと声がかかり、ガタンと車輪が動き出す音がした。
自分で歩けるのにと、レヴィを見ても意見は聞かないぞとばかりにこちらを見ないレヴィの頬にそっとキスをした。
そうして初めて視線を合わせてくれたレヴィに下ろしてと頼んだけれど聞き入れられなかった。
「動けないだろう?王宮までは抱いて運んでやるから心配しなくていい……リルが双子を連れてきてくれる」
そう言いながらレヴィはすたすたと玄関に向かう。
ミトさん達には王宮へ行くと伝えてくれているらしく、玄関を出ると馬車が待機していた。
「悪いな」
どうやら、伝令に来てくれた人が手配をしたのだろう。
借り上げ馬車のようだった。
レヴィが声を掛けたのは馬車に乗り込む際に扉を開いてくれた男性へ。
三角の耳と長い尻尾、綺麗なグレーの毛色はロシアンブルーかな?
本当に俺は自分が猫科が好きだなと思う。
犬だってもちろん好きだけど、猫はあのふにゃんと柔らかいところが大好きで、ツンデレな所もいい。
熊だって仕草とか円らな瞳も可愛い。
「リルも来るんだよね?」
「あぁ、双子を連れてくるんだと」
大丈夫かと不安になったところで片手で器用に扉を開けたレヴィに馬車に乗るように促されてレヴィごと座席に座る。
俺はレヴィの膝の上だ。
座席に座るとレヴィに向かって言ったところで再び開いたドアからリルが乗り込んできた。
左右に双子を抱いている。
ルスを片手でレヴィが受け取ってから俺に渡してくれ、ライも続いて受けとるとレヴィが座席に座る。
「双子は大丈夫そうか?」
「あぁ、起きてはいるみたいだけどな」
ルスは大人しく腕の中にいるが、ライもなのだろう。
「レヴィずりぃぞ、双子もリクトもなんて、俺が寂しいだろうが」
後から乗り込んだリルは扉を閉めると双子のどちらかを抱きたいと手を出してくる。
すると、レヴィが抱いていたライを差し出した。
ルスに比べて人見知りをするライ。
だが、さすがに父親に抱かれるのは好きなようで。
静かに手をのぱしてリルの顔に小さな手で触れていた。
「やっぱ、もう1人くらい子供欲しいよな……」
リルの呟きにレヴィが頷く。
「もう少ししたらね?ルスとライをまずは育てられるか……俺、小さい子供と触れ合った事がないからやっぱり不安でさ……家族が増えるのは嬉しいけれど。でも、俺の体力が持たないかなぁ……リルとレヴィに助けてもらっているからやれてるけど、子供の体力半端無いもん……大きくなって走るようになったら……ちょっと」
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こちらに来てから身体を鍛えたりもしていない。
だから、少し運動しなきゃダメかなと二人を見た。
「毎日、少しずつお散歩とか行こうかな……」
双子の行動範囲が広がるのに合わせてやろうかなと言った瞬間、外から動きますよと声がかかり、ガタンと車輪が動き出す音がした。
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