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262話

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「ルス、ライ~」

昨夜はミトさんがみていてくれたのだが、1日ぶりの我が子の愛らしさは格段だった。
足腰がたたないから、今日は双子と一緒にお昼寝していろと伴侶達に言われて大人しくしている。
広い部屋にベビーベッドのような柵を作り、子供達が身体をぶつけないように角がある物は外へと出した。

「おいで?」

そう呼ぶと、とことこと双子が近寄ってきたかと思うと、ラグの上でこてんと転がった。
ころころと転がる様子は愛らしい。
それにとても動けるようになるのが早い。やはり獣人だなと思いながらぽこんと丸いお腹を撫でた。
ルスもライも元気に動くが、好奇心が旺盛なルスに慎重もののライ。
性格の違いが面白い。

「あーぅ」
「ぅ」

何か一生懸命喋ろうとする二人を撫でてやりながら、ゆっくりと話しかけたり歌ったりしてやる。子供が喜びそうな歌なんてあまり知らないから、俺が幼いときに歌っていたりした歌を口ずさむと楽しそうに手足をばたばたさせた。

「ママだよ?言ってみて?」
「まぁ?」
「まぁ」

ぱちぱちと大きな目を瞬きさせる様子は可愛らしい。

「うん、うん。ママね」

近い内に喋り始めるかもしれないなと笑いなが、俺は二人を抱き締めた。
暖かい子供の高い体温に、眠くなってしまう。
今日は何もしなくていいことに、背徳感かあるけれど……。
リルとレヴィには申し訳ないけれど、こんな幸せもいいかなぁと思っていると、部屋の扉が開いてのそっと大きな虎が姿を現した。

『リクト、大丈夫か?』
「リル、大丈夫だよ?ありがとう……ごめんね、色々と任せちゃって」

柵をひょいと乗り越えて入ってきたリルは、ぺろりと大きな舌で俺の顔を舐めると、ちょんちょんと鼻先で双子の頬をつつく。
ライは嬉しそうに笑うが、ルスには嫌だと手で顔を押し返されている。
虎の顔なのに少し悲しそうな表情になったのがわかり、笑ってしまうとリルにちらりと見られてしまった。

『レヴィも後で来る』
「そっか。双子のミルクはそろそろ卒業かなぁ」

もう、やわらかいものなら食べられる双子はそれでもミルクが好きなようで。

『ま、自然に飲まなくなるだろうから飲みたがるまでは飲ましてやりゃあいいだろ』

聞いたところによると、ミルク等は種族に寄っても飲まなくなる期間はまちまちらしいため、早い遅いの概念は無いとのこと。
リルはごろんと俺の頭の辺りで横になる。
これは、もふもふしていいと言うことだよね?
ちらりとリルを見ると、来いよとばかりに顎を上げたリル。
もう、イケメンだなぁと笑いながら遠慮なく俺は抱きついた。
白くてふわふわした腹部の毛が柔らかくて気持ちいい。
爽やかな匂いを吸い込むと、幸せになる。

「幸せ~」
「何がだ?」

俺が言うのと同時にレヴィの声が降ってきた。
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