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255話

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リルとレヴィが作ってくれたのは、大量のナポリタン。
この世界にナポリタンという味は無く。そもそも、地球でも日本にしか無いメニューだけど。
たくさんのベーコンと、ちょっとの玉ねぎニンジン、ピーマンなのが二人らしくて笑ってしまう。
「美味しい」
出会った頃に比べると、格段に料理の腕が上がっていると思う。
確か、料理なんて夜営の時にしかやらないと言っていた。
「そうか?良かった」
「リルもレヴィもありがとう」
くるくるとフォークにパスタを巻き付けて食べる。
ミラもフォークにチャレンジしながら口回りを赤くしている。
さっき、ケーキを食べていたとは思えない食欲だ。
って、もしかして俺が一番少食?なんて思いながら、盛られたパスタを口に運ぶが美味しくても入る量は限られている。
ごめんねと謝りながら手を止めるも、取り分ける前のパスタは無くなってはいるが、リルとレヴィの眉間には皺が寄っている。
「ふたりともどうかした?」
「リクトが作った方が美味い」
「あぁ」
「そう?俺には凄く美味しいけど……」
ふたりは納得いかないようで。
「あ、それは愛情だよ?リルもレヴィも美味しくなれって作った愛情は俺には最上級のスパイスだけど、それはふたりにはスパイスにならないからね?」
クスクス笑ってしまうと、ふたりは納得したと目を見開いた。
「だからリクトの飯は美味いのか!」
言っていて恥ずかしくなったけれど俺はそうだと思うから仕方ない。それに、味覚は皆違うから。
「俺の愛情が込められているから、次の俺が作った食事はゆっくり沢山食べてね?」
軽く口の回りを拭きながら立ち上がる。
「食後の飲み物はどうする?お父さんもお母さんもいかがですか?」
「俺は酒がいいから自分で用意する」
「俺もだ」
「アタシはコーヒーがいいわダーリンは?」
「同じでいい」
「ミラは甘いミルクにしようか」
「はい!」
それぞれに飲むもののオーダーを貰うと俺はキッチンに立った。
コーヒーをドリップしながらミルクを温める。
俺はカフェオレにしよう。
そうしながら少しだけリルたちの洗い物をする。
片付けはしっかりするけれど、洗い物は苦手らしい。
完璧そうに見える二人にも苦手はあるのだ。
つい、洗い物をしていると、ふんふんと鼻唄が出てしまう。
それに、気付いたミラが近寄ってきて一緒に歌い出した。
いつの間にか覚えてしまった俺の世界の曲。きっと意味はわからないだろうけれど。
一曲歌い終わる頃にドリップが終わり、温めたミルクとコーヒーをカップに入れて、砂糖を添えると俺は運んで行った。
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