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253話

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「リクトちゃんのプリンのレシピを使って作っているお店なんですって。他のお店は色々と手を加えているみたいだからちょっとずつ違っているみたいなんだけどね」

ミトさんに案内された小さなスイーツのお店のショーケースには様々なスイーツか並べられていた。
だけど、やっぱり洋菓子が中心で和菓子は無い。
ミトさんにも聞いたが大概はこんな菓子だという。
そうなると、欲しくなるのは和菓子だ。
甘めの小豆。
どら焼きとか食べたくなるけれど、自分が作るのはやはり素人の作なのだ。
でも、いつかお汁粉が飲みたいと使えそうな豆を探すことを決めた。
ショップではミラが可愛らしいゼリーや小さめなケーキを選んで購入し、俺は少しゼラチンを分けて貰った。
ゼラチンの購入方法も聞き、後は天草があるか聞いてみたらそれは知らないと言われてルーファスさんが今度海辺へ仕事に行くときに聞いてみてくれるとのこと。
天草があれはレパートリーも増えるけれど、無理はしないでくださいねとお願いした。
ミラがもう少し大きくなるまでは離れたくないのだと。
その気持ちは良くわかるし、俺も皆で一緒に暮らせたらいいなと思う。

「帰りますか?ミラはもっと出掛けたいのかな?」
「たべう~」
「ふふ、早く帰って食べたいみたいだから帰りましょう?息子たちも帰ってきてるでしょ」

そう言われると、ミラがルーファスさんに抱かれたままでこくこくと頷いている。
ミラも女の子だから、可愛い物とかが大好きなのだ。
綺麗に飾り付けられたケーキ、そう言えばこちらの世界にはあまり誕生日を祝う風習が無いらしい。
記念日自体も祝うことはあまり無いと言っていた気がするから、せめて俺はリルとレヴィに結婚記念日くらいは祝いたいとお願いしたし、できれば子供たちの誕生日だって祝いたい。
リルとレヴィの誕生日だって祝いたいのだけれど、正確な誕生日はわからないらしい。
それなら仕方無いかなぁと、初めて出会った日を記念日にしたいとお願いをした。

四人で歩いていると、道の向こうにリルたちの姿が見える。

「あっ、リルレヴィ!」

手を上げると、あちらも気づいたようで大股で近付いてきた。
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