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245話
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「王様も、触れてみていただけますか?できれば手が空いている人がいればその人たちとかもいたらいいなぁ。この国の王様になるのだから、この国の人たちの力や愛情も貰ってはいけなくないと思うのですが……?」
王妃様に笑いかけると、王妃様もにこりと笑ってくれる。
あの、萎んだ実と今の状態を知っている王妃様は早くと王様を手招いた。
「レオン、貴方の子になるのよ、来て頂戴」
もうすぐだろう。
夜の月明かりで開く実ではなく、明るい陽の光に輝く子供がきっと生まれる。
「ほら、リルも来て?」
リルを呼ぶと、俺が抱いていたルスをひょいと抱き上げて、ルスと一緒に幹に触れた。
王様も柵を越えて、王妃様の腰を抱くように寄り添いながら触れると、ざわざわと揺れていた聖樹の枝が薄く発光する。
太陽の光に掻き消されてしまいそうなくらい弱い光だが、確かに光っている。
「王妃様、大きくなってきましたね、きっと生まれますよ?」
頑張れと心の中で応援すると、大きくなった実に亀裂が入り、花が開くようにその亀裂が開いていく。
その中にはルスやライと同じような大きさのライオンの子供が姿を見せた。
「レオン、ほら生まれたぞ!」
リルの言葉にハッとした王様は慌てたようにその子を手で受け取った。
「あぁ……」
ほっとしたのだろう、泣き崩れてしまいそうな王妃様を支えながらも王様は嬉しそうに笑っている。
「王妃様、ミルクを」
声を掛けてきたのは侍従長だろうか、年配の獣人で、その手には小さな金のスプーンを持っている。
「おい、誰か鋏で果実を落としてやれよ、大丈夫だろ?」
リルの声に侍従長が更に金の鋏までどこからともなく取り出してくる。
「レオン、その子をお預かりいたしますから」
王妃様がスプーンを戻すとライオンの子を受け取り、王様が実を落とした。
そして、再び子供を王様が抱きその中の液体を王妃が掬って飲ませると、こくこくと嚥下した次代の王は目を開けると晴れやかに笑った。
「王様、王妃様おめでとうございます」
待望の子供なのだ。
「レオン、今日くらい仕事休んで三人で過ごせよ、家臣も文句言わねぇだろな?」
ちらりとリルが周囲を見渡すと、其所には無数の騎士や侍従たちが静かに頭を垂れていた。
「おめでとうございます、言祝ぐ事をお許しください」
騎士団長だろうか、銀の髪をひとつに後ろで括った男性が顔を上げて話している。
それを王様も王妃様も静かに聞いていた。
だが、次の瞬間王妃様の身体がふらりと揺れたかと思うと、倒れそうになるのを慌てて俺が抱き止める。
疲労と極度の緊張が解けたのだろう。
「王妃っ!」
「大丈夫……少し疲れたのかもしれませんわ、リクトもありがとう……母親になったのだから、しっかりしなきゃね」
そう笑う王妃様の顔色は悪かった。
「リクト、子を頼む。俺が王妃を連れていく」
王様から子供を渡されると、王様は王妃様を抱き上げる。
波が割れるようにして並んでいた人たちが道を作り、王様が先を歩く。
ついてこいと言われ、俺はそれに追随した。
王妃様に笑いかけると、王妃様もにこりと笑ってくれる。
あの、萎んだ実と今の状態を知っている王妃様は早くと王様を手招いた。
「レオン、貴方の子になるのよ、来て頂戴」
もうすぐだろう。
夜の月明かりで開く実ではなく、明るい陽の光に輝く子供がきっと生まれる。
「ほら、リルも来て?」
リルを呼ぶと、俺が抱いていたルスをひょいと抱き上げて、ルスと一緒に幹に触れた。
王様も柵を越えて、王妃様の腰を抱くように寄り添いながら触れると、ざわざわと揺れていた聖樹の枝が薄く発光する。
太陽の光に掻き消されてしまいそうなくらい弱い光だが、確かに光っている。
「王妃様、大きくなってきましたね、きっと生まれますよ?」
頑張れと心の中で応援すると、大きくなった実に亀裂が入り、花が開くようにその亀裂が開いていく。
その中にはルスやライと同じような大きさのライオンの子供が姿を見せた。
「レオン、ほら生まれたぞ!」
リルの言葉にハッとした王様は慌てたようにその子を手で受け取った。
「あぁ……」
ほっとしたのだろう、泣き崩れてしまいそうな王妃様を支えながらも王様は嬉しそうに笑っている。
「王妃様、ミルクを」
声を掛けてきたのは侍従長だろうか、年配の獣人で、その手には小さな金のスプーンを持っている。
「おい、誰か鋏で果実を落としてやれよ、大丈夫だろ?」
リルの声に侍従長が更に金の鋏までどこからともなく取り出してくる。
「レオン、その子をお預かりいたしますから」
王妃様がスプーンを戻すとライオンの子を受け取り、王様が実を落とした。
そして、再び子供を王様が抱きその中の液体を王妃が掬って飲ませると、こくこくと嚥下した次代の王は目を開けると晴れやかに笑った。
「王様、王妃様おめでとうございます」
待望の子供なのだ。
「レオン、今日くらい仕事休んで三人で過ごせよ、家臣も文句言わねぇだろな?」
ちらりとリルが周囲を見渡すと、其所には無数の騎士や侍従たちが静かに頭を垂れていた。
「おめでとうございます、言祝ぐ事をお許しください」
騎士団長だろうか、銀の髪をひとつに後ろで括った男性が顔を上げて話している。
それを王様も王妃様も静かに聞いていた。
だが、次の瞬間王妃様の身体がふらりと揺れたかと思うと、倒れそうになるのを慌てて俺が抱き止める。
疲労と極度の緊張が解けたのだろう。
「王妃っ!」
「大丈夫……少し疲れたのかもしれませんわ、リクトもありがとう……母親になったのだから、しっかりしなきゃね」
そう笑う王妃様の顔色は悪かった。
「リクト、子を頼む。俺が王妃を連れていく」
王様から子供を渡されると、王様は王妃様を抱き上げる。
波が割れるようにして並んでいた人たちが道を作り、王様が先を歩く。
ついてこいと言われ、俺はそれに追随した。
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