【ＢＬ】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

241話

「よぉ、そろそろ来ると思っていたからプレートは作っておいたぜ？」
ゾウさんが声を掛けてくれた。
「悪いな、助かる」
レヴィがルスを見せている。
「可愛いなぁ、こっちはリル似か？」
わしわしっと大きな手でルスを撫でるとルスは嬉しそうに笑う。
ライは、我関せずなのかリルの腕の中で大人しくしていた。
「ほらよ、これでいいんだろ？チェーンもつけてやったから、後は彫るにしろその辺は３人で決めろよ？」
つるりとした滑らかなプレートにはまだ何も彫られていない。
これから大きくなるにつれて書き込まれていく情報。
親子の関係、職業、伴侶。
ふたりがどうやって育っていくのかが楽しみだと。
「でも、どうして俺達がプレートを？」
「だって、お前ら有名人じゃねぇか。Ａランクの冒険者ふたりが同じ伴侶を娶ったから始まって、子供を諦めた番に子供を与えたとかな。そんな３人が３人の名前でリボンを結んだらどんな子供が生まれるか気になるじゃねぇか。そしたら実から双子だってな。今まで初めてじゃねぇか？」
ゾウさんはからりと笑う。
「え？」
「あー……リクトは気づかなかったか？」
「１つの実から双子なんて聞いたことねぇんだよ、前に聖樹で１つの幹に２つ実が成っているから双子だって話をしたことあったろ」
レヴィが言い掛けたが、リルがレヴィの視線を受けて喋り出す。
「え……あ、うん？」
俺はあまり記憶がないが、そう言われればそうだったかもしれない。
曖昧に返事をすると、気にしないならいいんだけどなと笑われた。
「通常なら、実にひとりだから俺もレヴィも何も疑わなくひとりぶんの支度しかしていかなかったんだけどよ、蓋を開ければルスとライを授かった。今までに無い事だが今のところは元気そうだしまぁいいかなってさ。リクトも気にしてなかったから」
レヴィも、リルの話に静かに頷いていた。
「そっか、今のところは元気そうだし……どんな子でも俺達の子だから大丈夫だと思うよ？」
「で、だ。リルからプレート頼むと言われていたし流石に慌ててもう１枚作る羽目にはなったけど、出来上がったからな」
間に合ったぞと、ゾウさんは胸を逸らせた。
本当にありがたい。
少しも引っ掛かりが無くつるりと磨きあげられた美しいプレートを預かりそっと双子に触れさせた。
後日にでも書くことを決めて行こうと言われて頷くと、此所の店はレヴィが支払いをしてくれるらしい。
次は俺が払うと宣言しながら店を出た。