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番外編
猫の日用。
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転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。をご覧いただきありがとうございます。
猫の日のため、SSを書かせていただきましたが、こちらは限定公開のため、公開は月末までとさせていただきます。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
月末を過ぎたら収納しますので、しおりは挟まないようお願いできればと思います。
昨年書いたSSです。
☆☆☆☆☆☆☆
『にゃぁん~』
可愛らしい声がして俺は目を覚ました。
『んにゃぁん』
猫?
何処にいるのかと辺りを見回すが、何故かいつもより家具の配置がおかしい。
見慣れた家具の筈なのに見慣れない角度で見上げている。
『にゃ、うん?』
手をのばそうとして目に入ったのは黒の猫脚。
握ったり開いたりすると、爪が出入りする。
あれ?
慌てて起き上がってみたが、其処は見慣れた寝室だった。
リルもレヴィもいない。
それが不安になって、俺は慣れない身体で部屋を出た。
幸いにも扉はL字型のノブだったため、上手く飛び付いて開いたのだ。
リル、レヴィ。
名前を呼んでも俺の喉からはにゃあにゃぁと、猫の鳴き声しか出ないのだ。
歩いても歩いてもたどり着かないリビング。
走ったら傷をつけてしまいそうでゆっくりと歩くだけになってしまう。
「何処から入ったんだ!?」
ふと、上から降ってきた声に俺は硬直した。
怖い。
何時もは優しいと感じる声が、圧迫を感じる低温に聞こえる。
『ふにゃっ!』
どうしよう、怖いと本能で後ずさりをしようとした瞬間、ふわりと抱き上げられた。
「可愛いなぁ、黒猫か」
圧迫感が消えて優しい緑の眼差しに見つめられた。
『ん』
リルの腕にすっぽり抱かれてしまうとそのあたたかさが伝わってきて無意識にゴロゴロと喉が鳴った。
人の時に鳴らす部分など無いのに、自然と鳴ってしまう喉。
呼吸をするのと同じような自然な行為。
「お、どうしたリル」
近寄ってきたのはレヴィで、こちらからも少しの圧があったが、頭を撫でられるとやはりゴロゴロしてしまう。
「リクトを探しているんだが、見当たらなくてな……代わりにこの猫がいてさ」
「困ったな、俺たち獣人の獣化なら言葉がわかるが、純粋な動物とは会話ができないからな」
ふぅん、そうなんだ?と思いながらものばされたレヴィの手にすりすりっと頭を擦り寄せる。
撫でられる感覚が気持ちいい。
すると、驚いた様子のレヴィは破願して俺の耳の後ろや喉の下をゆっくりと撫でてくれた。
「すげぇ可愛いんだけど、リクトがいいって言えば飼っても……」
「いや、俺たちよりもこの子中心になるかもしれないぞ?」
「それは困るな……」
「でも、追い出せないしな……本当に何処から来たんだ?」
『うにゃあん』
俺がリクトだって。
聞いてよ!と、レヴィの指をカプリと噛むも、痛くは無いらしくレヴィは笑っている。
暫くかぷりかぷりとしていたが、リルの体温に瞼が落ちる。
何でこんなにも眠くなるのだろうか。
くぁっと欠伸をしてから目を閉じた。
暫くしてから頭から背中にかけて、何かざらざらした櫛で髪をとかされるような不思議な感覚も感じたが、嫌な感じではなくむしろ幸せを感じながらも目は開かない。
『可愛いな、一口でくっちまえそうな大きさだな』
『やめておけ起きるぞ?』
『おっと……そりゃまずい』
何やら耳元で喋られて、煩いとばかりにくりだしたパンチはなにやら柔らかい物に触れただけだった。
猫の姿でも気持ちいいが、やっぱりリルとレヴィには直接触って貰うか、獣化した姿をもふるのがいいなぁ。なんて思いながら微睡んでいく。
次に起きたときはどうなっているのだろうか。
くしくも俺のスマホは猫の日を差していたのを知ったのは、翌日だった。
猫の日のため、SSを書かせていただきましたが、こちらは限定公開のため、公開は月末までとさせていただきます。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
月末を過ぎたら収納しますので、しおりは挟まないようお願いできればと思います。
昨年書いたSSです。
☆☆☆☆☆☆☆
『にゃぁん~』
可愛らしい声がして俺は目を覚ました。
『んにゃぁん』
猫?
何処にいるのかと辺りを見回すが、何故かいつもより家具の配置がおかしい。
見慣れた家具の筈なのに見慣れない角度で見上げている。
『にゃ、うん?』
手をのばそうとして目に入ったのは黒の猫脚。
握ったり開いたりすると、爪が出入りする。
あれ?
慌てて起き上がってみたが、其処は見慣れた寝室だった。
リルもレヴィもいない。
それが不安になって、俺は慣れない身体で部屋を出た。
幸いにも扉はL字型のノブだったため、上手く飛び付いて開いたのだ。
リル、レヴィ。
名前を呼んでも俺の喉からはにゃあにゃぁと、猫の鳴き声しか出ないのだ。
歩いても歩いてもたどり着かないリビング。
走ったら傷をつけてしまいそうでゆっくりと歩くだけになってしまう。
「何処から入ったんだ!?」
ふと、上から降ってきた声に俺は硬直した。
怖い。
何時もは優しいと感じる声が、圧迫を感じる低温に聞こえる。
『ふにゃっ!』
どうしよう、怖いと本能で後ずさりをしようとした瞬間、ふわりと抱き上げられた。
「可愛いなぁ、黒猫か」
圧迫感が消えて優しい緑の眼差しに見つめられた。
『ん』
リルの腕にすっぽり抱かれてしまうとそのあたたかさが伝わってきて無意識にゴロゴロと喉が鳴った。
人の時に鳴らす部分など無いのに、自然と鳴ってしまう喉。
呼吸をするのと同じような自然な行為。
「お、どうしたリル」
近寄ってきたのはレヴィで、こちらからも少しの圧があったが、頭を撫でられるとやはりゴロゴロしてしまう。
「リクトを探しているんだが、見当たらなくてな……代わりにこの猫がいてさ」
「困ったな、俺たち獣人の獣化なら言葉がわかるが、純粋な動物とは会話ができないからな」
ふぅん、そうなんだ?と思いながらものばされたレヴィの手にすりすりっと頭を擦り寄せる。
撫でられる感覚が気持ちいい。
すると、驚いた様子のレヴィは破願して俺の耳の後ろや喉の下をゆっくりと撫でてくれた。
「すげぇ可愛いんだけど、リクトがいいって言えば飼っても……」
「いや、俺たちよりもこの子中心になるかもしれないぞ?」
「それは困るな……」
「でも、追い出せないしな……本当に何処から来たんだ?」
『うにゃあん』
俺がリクトだって。
聞いてよ!と、レヴィの指をカプリと噛むも、痛くは無いらしくレヴィは笑っている。
暫くかぷりかぷりとしていたが、リルの体温に瞼が落ちる。
何でこんなにも眠くなるのだろうか。
くぁっと欠伸をしてから目を閉じた。
暫くしてから頭から背中にかけて、何かざらざらした櫛で髪をとかされるような不思議な感覚も感じたが、嫌な感じではなくむしろ幸せを感じながらも目は開かない。
『可愛いな、一口でくっちまえそうな大きさだな』
『やめておけ起きるぞ?』
『おっと……そりゃまずい』
何やら耳元で喋られて、煩いとばかりにくりだしたパンチはなにやら柔らかい物に触れただけだった。
猫の姿でも気持ちいいが、やっぱりリルとレヴィには直接触って貰うか、獣化した姿をもふるのがいいなぁ。なんて思いながら微睡んでいく。
次に起きたときはどうなっているのだろうか。
くしくも俺のスマホは猫の日を差していたのを知ったのは、翌日だった。
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