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173話
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「とりあえず、焼いただけだがリクト少しでも食べた方がいい」
レヴィが皿に大量の野菜や肉を焼いたものを運んでくる。
鼻孔を擽るスパイシーな香りは食欲を増幅させた。
「美味しそう」
くうっとお腹が鳴った気がしたが、恥ずかしいとは思わずに、それを食べたいと手を伸ばす。
ソファーの左右にリルとレヴィが座り、いつものポジションかなと思いながら手を伸ばしたが、それよりも先にレヴィが皿からフォークで肉の欠片を刺すと口許に運んできた。
「リクト、食べてくれ」
一口大の欠片をぱくりと口に入れると、凄く軟らかくじゅわりと脂が溶けた。
今まで食べたことのないような甘美な食事にもっと欲しいと思ってしまう。
「美味いか?」
「うん……」
「リクト、果実水もあるからゆっくり食べて飲んでしような?」
「リルとレヴィは?」
「俺たちは麦酒たが」
「俺も飲みたい……ちょっとだけでいいから」
なんとなくお酒を飲みたい気がして、それをねだる。
大きなジョッキをリルが渡してくれて、それに口を付けるとレヴィが慌てたように止めようとする。
俺はこくりと麦酒を飲み込むと、優しい苦味が喉を嚥下していくのを感じる。
苦手だった筈のその味がまるで甘露の雫のように身体に染み渡る。
「リクト、酒もいいが先に食べてからにしろ」
「ん」
かぱっと口を開けると、リルとレヴィが交互に何かを口に入れてくれる。
肉だったり野菜だったりするのだけれど、どれも凄く口に合う美味しさでいつも以上に食べている気がする。
「リルとレヴィは食べないの?」
「食ってるから大丈夫だ」
食べるよりは飲んでいるように見えて、リルの動く喉仏に触れてみる。
自分があまり喉仏が見えないから、リルやレヴィのそれは凄くセクシーに感じたりするのだ。
こう言うところは人間の男性と同じなのだなと思うし、そう言えばリルは猫化なのに交わる部分は人と同じなのだと下世話な事を思ってしまう。
「レヴィも、焼いてくれてありがとう。美味しいね」
「あぁ、まだまだあるからな?」
ソーセージもあるし、炒飯のようなものも作られている。
野菜も様々な物が火を通して甘くなっており、美味しいのだ。
だけどさすがにお腹がいっぱいになってくると、少しだけ眠くなる。
船を漕いでしまうと笑ったふたりのレヴィが隣から退いて、リル抱き寄せられるところりとリルの膝を枕にさせてもらった。
レヴィが運んできてくれた毛布だろうか、そっと身体に掛けてくれて俺はそのまま眠りに落ちる。
凄く気持ちがいいのだ。
眠ってはいけないような気がするのに、俺は眠気に勝てなかった。
レヴィが皿に大量の野菜や肉を焼いたものを運んでくる。
鼻孔を擽るスパイシーな香りは食欲を増幅させた。
「美味しそう」
くうっとお腹が鳴った気がしたが、恥ずかしいとは思わずに、それを食べたいと手を伸ばす。
ソファーの左右にリルとレヴィが座り、いつものポジションかなと思いながら手を伸ばしたが、それよりも先にレヴィが皿からフォークで肉の欠片を刺すと口許に運んできた。
「リクト、食べてくれ」
一口大の欠片をぱくりと口に入れると、凄く軟らかくじゅわりと脂が溶けた。
今まで食べたことのないような甘美な食事にもっと欲しいと思ってしまう。
「美味いか?」
「うん……」
「リクト、果実水もあるからゆっくり食べて飲んでしような?」
「リルとレヴィは?」
「俺たちは麦酒たが」
「俺も飲みたい……ちょっとだけでいいから」
なんとなくお酒を飲みたい気がして、それをねだる。
大きなジョッキをリルが渡してくれて、それに口を付けるとレヴィが慌てたように止めようとする。
俺はこくりと麦酒を飲み込むと、優しい苦味が喉を嚥下していくのを感じる。
苦手だった筈のその味がまるで甘露の雫のように身体に染み渡る。
「リクト、酒もいいが先に食べてからにしろ」
「ん」
かぱっと口を開けると、リルとレヴィが交互に何かを口に入れてくれる。
肉だったり野菜だったりするのだけれど、どれも凄く口に合う美味しさでいつも以上に食べている気がする。
「リルとレヴィは食べないの?」
「食ってるから大丈夫だ」
食べるよりは飲んでいるように見えて、リルの動く喉仏に触れてみる。
自分があまり喉仏が見えないから、リルやレヴィのそれは凄くセクシーに感じたりするのだ。
こう言うところは人間の男性と同じなのだなと思うし、そう言えばリルは猫化なのに交わる部分は人と同じなのだと下世話な事を思ってしまう。
「レヴィも、焼いてくれてありがとう。美味しいね」
「あぁ、まだまだあるからな?」
ソーセージもあるし、炒飯のようなものも作られている。
野菜も様々な物が火を通して甘くなっており、美味しいのだ。
だけどさすがにお腹がいっぱいになってくると、少しだけ眠くなる。
船を漕いでしまうと笑ったふたりのレヴィが隣から退いて、リル抱き寄せられるところりとリルの膝を枕にさせてもらった。
レヴィが運んできてくれた毛布だろうか、そっと身体に掛けてくれて俺はそのまま眠りに落ちる。
凄く気持ちがいいのだ。
眠ってはいけないような気がするのに、俺は眠気に勝てなかった。
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