156 / 407
162話
しおりを挟む
「では、お父さんお母さん、ミラ」
行きますねと、挨拶をする前にぎゅうっと、ミトさんに抱き締められた。
優しく甘やかな香りに包まれた。
「ミラが大きくなったら遊びに来てください。俺もたまに遊びに来ますから」
「いつでも来て頂戴!」
「はい」
ルーファスさんの腕の中で獣のままのミラが前肢を伸ばしてくる。
それに触れてから軽く鼻先を合わせて頭を撫でてやる。
これ以上すると、やはり離れがたくなってしまうとそっと離れると、リルがそっと抱き締めてくれた。
「じゃあ親父、お袋また来る」
ひらりと手を振ったリルに、ぺこりと頭を下げたレヴィ。
リルに抱かれながらひょいと魔獣に乗せて貰った。
今回はふたりの間に色々とあったようで、俺はリルと一緒に乗る。
ミトさんが沢山の食事を持たせてくれたから、数日は心配しなくても大丈夫そうで、欲しかった調味料やお米はルーファスさんが調達してくれた。
何度も何度もお礼を言って俺たちは街を出発する。
そして、数日かけて3人の家に戻ったのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
「ただいま」
扉を開けて声を掛ける。
誰もいないのはわかっているのだが。
だって、家主は一緒に帰ってきたのだから。
「ただいま」
「あぁ」
帰ってきたら約束のただいまのキス。
チュッ、チュッとふたりと交わしてから家に入った。
長い間空けてしまった家は少し空気が隠っている気がして、窓を開けて欲しいとふたりに頼む。
まだ、昼を過ぎた辺りで食事はまだ。
「リル、レヴィお昼はどうしようか」
すっかり1日3食に慣れたふたりの耳が動く。
「リクトが大変だろうから外食するか?」
「持ってきて貰ってもいいぜ?」
そう言うふたりは軽装になって、砂を落としていた。
「スープと玉子料理くらいならできるけど?」
「大丈夫か?」
「いいよ、ミトさんに負けないくらいの料理はできないけどね」
アイテムボックスには、沢山の食材が入っている。
時間が止まるため、玉子も新鮮なままなのだ。
「オムレツがいいな」
「俺は玉子焼き」
「わかった、どっちも作るね?」
そう言うと、ふたりはいそいそと窓を開けに行った。
俺も上着を脱いで手を洗うとふたりのリクエストを作り始める。
先ずは簡単にキッチン回りを掃除してからミトさんのスープをアイテムボックスから出して火に掛ける。
残りはあまり無いが、野菜やソーセージを足してから味を整えて放置した。
続いて主食はパン。
トーストにチーズやトマトソースを乗せて焼いてピザトースト風にする。
旅の途中で食べたくなって、でもトースターがなかったから我慢していたんだ。
それに、オムレツと甘めの玉子焼きを多目に作る。
じゅうじゅうと焼ける音とバターの香りが食欲をそそる。
気付いたらふたりは既にテーブルについていた。
行きますねと、挨拶をする前にぎゅうっと、ミトさんに抱き締められた。
優しく甘やかな香りに包まれた。
「ミラが大きくなったら遊びに来てください。俺もたまに遊びに来ますから」
「いつでも来て頂戴!」
「はい」
ルーファスさんの腕の中で獣のままのミラが前肢を伸ばしてくる。
それに触れてから軽く鼻先を合わせて頭を撫でてやる。
これ以上すると、やはり離れがたくなってしまうとそっと離れると、リルがそっと抱き締めてくれた。
「じゃあ親父、お袋また来る」
ひらりと手を振ったリルに、ぺこりと頭を下げたレヴィ。
リルに抱かれながらひょいと魔獣に乗せて貰った。
今回はふたりの間に色々とあったようで、俺はリルと一緒に乗る。
ミトさんが沢山の食事を持たせてくれたから、数日は心配しなくても大丈夫そうで、欲しかった調味料やお米はルーファスさんが調達してくれた。
何度も何度もお礼を言って俺たちは街を出発する。
そして、数日かけて3人の家に戻ったのだった。
☆☆☆☆☆☆☆
「ただいま」
扉を開けて声を掛ける。
誰もいないのはわかっているのだが。
だって、家主は一緒に帰ってきたのだから。
「ただいま」
「あぁ」
帰ってきたら約束のただいまのキス。
チュッ、チュッとふたりと交わしてから家に入った。
長い間空けてしまった家は少し空気が隠っている気がして、窓を開けて欲しいとふたりに頼む。
まだ、昼を過ぎた辺りで食事はまだ。
「リル、レヴィお昼はどうしようか」
すっかり1日3食に慣れたふたりの耳が動く。
「リクトが大変だろうから外食するか?」
「持ってきて貰ってもいいぜ?」
そう言うふたりは軽装になって、砂を落としていた。
「スープと玉子料理くらいならできるけど?」
「大丈夫か?」
「いいよ、ミトさんに負けないくらいの料理はできないけどね」
アイテムボックスには、沢山の食材が入っている。
時間が止まるため、玉子も新鮮なままなのだ。
「オムレツがいいな」
「俺は玉子焼き」
「わかった、どっちも作るね?」
そう言うと、ふたりはいそいそと窓を開けに行った。
俺も上着を脱いで手を洗うとふたりのリクエストを作り始める。
先ずは簡単にキッチン回りを掃除してからミトさんのスープをアイテムボックスから出して火に掛ける。
残りはあまり無いが、野菜やソーセージを足してから味を整えて放置した。
続いて主食はパン。
トーストにチーズやトマトソースを乗せて焼いてピザトースト風にする。
旅の途中で食べたくなって、でもトースターがなかったから我慢していたんだ。
それに、オムレツと甘めの玉子焼きを多目に作る。
じゅうじゅうと焼ける音とバターの香りが食欲をそそる。
気付いたらふたりは既にテーブルについていた。
187
お気に入りに追加
5,257
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる