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136話
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「ミラ、可愛いね」
柔らかいほっぺを指先でつつくと、それが面白いのかキャッと声を上げたミラ。
そう言えば、ミルクとかどうするのかなぁ。
不思議に思った俺はミトさんに声を掛けた。
「ミラの食事って何を食べさせますか?」
もしかして、産まれて直ぐに自分達と同じものを食べられるとは思わないが、ミトさんが産む訳じゃないからミルクが出るとも……出るのかな。
そうは思えなくて首を傾げる。
「今、ダーリンが買い出しに行ってるの」
「何をですか?」
「ミルクの実をよ?」
そんな話をしていると、静かにルーファスさんが戻ってくる。
「リクトおはよう」
「おはようございますお父さん」
ミトさんも素敵だが、ルーファスさんの艶やかな美貌は朝からも健在で、手には袋にたっぷりの頭くらいの果物?が、入っていた。
「ミラはリクトに抱かれてご機嫌だな?」
ルーファスさんの指先がミラを撫でてからキッチンに向かう。
袋の中の実をミトさんが1つ受け取ると、鉈に似た刃物を振り下ろした。
ガツンと凄い音がして俺は一瞬目を瞑るが、それ以上の音はせずに、ミトさんが器を差し出してきた。
話を聞くと、ココナッツのような果実で、外の殻が凄く硬く、それを割ると中には軟かな液体が入っており、乳白色をしたその液体は栄養価満点で赤ちゃんの免疫力を高める母乳のようなものだった。
それを聞くだけでここはやはり違う世界なのだなと思う。
「リクトちゃん、出来たわよ?」
ミトさんが運んできてくれたのは、大量のソーセージ。
分厚いオムレツ……これ、玉子何個分?
トーストにはバターやハチミツ、ジャム。
飲み物にはハーブティー。
美味しそうな野菜たっぷりのスープはスープボウルで。
「3人で足りるかしら……」
大皿に山になった料理は良い香りがしている。
「貴方たちも食べなさい」
リルとレヴィがキッチンから出てくると、手には皿を1枚ずつ持っている。
その皿の上には形の崩れたオムレツと、黒焦げのソーセージ。
ミトさんにミラを渡すと、ルーファスさんが手にしたボウルからミラに液体をあげていた。
「リクト、食うか」
焦げたソーセージを自分の前に置いたリルと、崩れたオムレツを置いたレヴィ。
俺の前には綺麗な取り分け皿が置かれる。
「リルもレヴィもそれ食べたい。頂戴?」
きっと、ふたりが俺の為に焼いてくれたもの。
ミトさんの作ったのが美味しいのはわかるけど、ふたりが焼いてくれたものだから、それを食べたい。
「いや、これは……」
「リルとレヴィが焼いたから美味しいと思う。だから、頂戴?」
俺は手を伸ばして取り皿を交換する。
俺がちゃんと食べられる量をわかって作ってくれたのが嬉しくてほっこりした。
自分のために作ってくれたのが美味しくないわけがない。
「いただきます」
お約束になった挨拶をしてから俺はさっさと食べ始める。
焦げてはいるけど、炭になっている訳じゃないソーセージはパリッとしていたし、形は崩れていたが焼き加減も味も申し分ないオムレツ。
「美味しいよ?ありがとう」
俺はそうふたりに言うと、トーストを手にバターをたっぷり。
いつもより食べ過ぎて動けなくなってしまうと、ミトさんに、笑われた。
「ミラと同じお腹ぽっこりね?」
幸せそうだわと笑うミトさんに、俺は「はい」と、頷いた。
柔らかいほっぺを指先でつつくと、それが面白いのかキャッと声を上げたミラ。
そう言えば、ミルクとかどうするのかなぁ。
不思議に思った俺はミトさんに声を掛けた。
「ミラの食事って何を食べさせますか?」
もしかして、産まれて直ぐに自分達と同じものを食べられるとは思わないが、ミトさんが産む訳じゃないからミルクが出るとも……出るのかな。
そうは思えなくて首を傾げる。
「今、ダーリンが買い出しに行ってるの」
「何をですか?」
「ミルクの実をよ?」
そんな話をしていると、静かにルーファスさんが戻ってくる。
「リクトおはよう」
「おはようございますお父さん」
ミトさんも素敵だが、ルーファスさんの艶やかな美貌は朝からも健在で、手には袋にたっぷりの頭くらいの果物?が、入っていた。
「ミラはリクトに抱かれてご機嫌だな?」
ルーファスさんの指先がミラを撫でてからキッチンに向かう。
袋の中の実をミトさんが1つ受け取ると、鉈に似た刃物を振り下ろした。
ガツンと凄い音がして俺は一瞬目を瞑るが、それ以上の音はせずに、ミトさんが器を差し出してきた。
話を聞くと、ココナッツのような果実で、外の殻が凄く硬く、それを割ると中には軟かな液体が入っており、乳白色をしたその液体は栄養価満点で赤ちゃんの免疫力を高める母乳のようなものだった。
それを聞くだけでここはやはり違う世界なのだなと思う。
「リクトちゃん、出来たわよ?」
ミトさんが運んできてくれたのは、大量のソーセージ。
分厚いオムレツ……これ、玉子何個分?
トーストにはバターやハチミツ、ジャム。
飲み物にはハーブティー。
美味しそうな野菜たっぷりのスープはスープボウルで。
「3人で足りるかしら……」
大皿に山になった料理は良い香りがしている。
「貴方たちも食べなさい」
リルとレヴィがキッチンから出てくると、手には皿を1枚ずつ持っている。
その皿の上には形の崩れたオムレツと、黒焦げのソーセージ。
ミトさんにミラを渡すと、ルーファスさんが手にしたボウルからミラに液体をあげていた。
「リクト、食うか」
焦げたソーセージを自分の前に置いたリルと、崩れたオムレツを置いたレヴィ。
俺の前には綺麗な取り分け皿が置かれる。
「リルもレヴィもそれ食べたい。頂戴?」
きっと、ふたりが俺の為に焼いてくれたもの。
ミトさんの作ったのが美味しいのはわかるけど、ふたりが焼いてくれたものだから、それを食べたい。
「いや、これは……」
「リルとレヴィが焼いたから美味しいと思う。だから、頂戴?」
俺は手を伸ばして取り皿を交換する。
俺がちゃんと食べられる量をわかって作ってくれたのが嬉しくてほっこりした。
自分のために作ってくれたのが美味しくないわけがない。
「いただきます」
お約束になった挨拶をしてから俺はさっさと食べ始める。
焦げてはいるけど、炭になっている訳じゃないソーセージはパリッとしていたし、形は崩れていたが焼き加減も味も申し分ないオムレツ。
「美味しいよ?ありがとう」
俺はそうふたりに言うと、トーストを手にバターをたっぷり。
いつもより食べ過ぎて動けなくなってしまうと、ミトさんに、笑われた。
「ミラと同じお腹ぽっこりね?」
幸せそうだわと笑うミトさんに、俺は「はい」と、頷いた。
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