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128話
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あれから数日、ルーファスさんの家の一部屋を借りて3人で泊まっている。
ふかふかなベッド、備え付けの風呂。
貴賓室と呼んでも遜色のない豪華な部屋を貸して貰った。
リルとレヴィの部屋もあると聞いて見せて貰った。
ふたりらしい部屋が残っている。
リルの部屋はごちゃっと色々な物が並べられていてライトブラウン系の色彩だった。
レヴィの部屋は綺麗に整えられたダークブラウン系の色彩だった。
俺の部屋はどうだっただろうか。
4畳半の広さの部屋にベッドと机。
本棚とオーディオ。
教科書や辞典が並んで…
持ってはいるけれど、スマホスタンドがあったり…と、思いながらふとスマホを随分と触っていないことに気づいた。
もう充電は切れているだろう。
だけど、リル、レヴィ、ルーファスさん、ミトさんの写真を撮りたいとふと思ってしまう。
今回は仕方ないけれど。
それに、新しく家族になる子の写真も欲しい。
けど、この世界に写真なんてないから、嫌がられはしないだろうか。
それでも皆の笑顔を写し取りたい。
できれば、子供の産まれた瞬間も撮影できたらいいなぁ。
「ね、リル、レヴィ…1度家に帰って戻ってくるにはどのくらい日にちがかかるかなぁ?新月までに間に合う?」
「急にどうした?」
リルが不思議そうに聞いてくる。
帰ってくる理由がわからないのだろう。
「ルーファスさんとミトさんが許してくれたらなんだけど、子供の産まれる瞬間を映像に残したいんだ」
「映像?」
「写真でもいいんだ」
「しゃしん?何だそれは……」
「うんと……絵画?」
「それは、時間がかかるぞ?」
リルとの会話にレヴィも交ざる。
「俺が持ってきた道具が使えたら一瞬なんだよ?」
「行って戻ってだと、最短で3日だな……魔獣を使っても同じくらいだろう……」
「新月までは、ギリギリかぁ……でも、行きたい……レヴィ、魔獣を貸して?」
「お前が行くのか?」
「だって……」
「なら、俺が行ってきてやる。何を持ってくればいい?」
まさか、レヴィが行ってくれるとは思っていなかった。
「レヴィ……リュック……えぇと、俺の部屋の椅子に掛けてある大きな袋?それごと持ってきてくれれば……」
「わかった、直ぐに出る」
「えっ!?」
「早い方がいいだろう?大丈夫だ」
「レヴィは魔獣の扱いが俺より格段に上手いからな。下手に俺やリクトが行くより早いかもしれない」
「でも、レヴィにだけ」
「大丈夫だ、気にするな。リクトはミトさんたちに話をしておいてくれ。リル」
「おう」
行ってこいとばかりにひらひらと手を振るリル。
レヴィは着替えをひっつかんで手早く支度を始める。
「レヴィありがとう」
「あぁ、リクトのためだからな、行ってくる」
ぎゅっとレヴィに抱き締められて抱き締め返した。
ふかふかなベッド、備え付けの風呂。
貴賓室と呼んでも遜色のない豪華な部屋を貸して貰った。
リルとレヴィの部屋もあると聞いて見せて貰った。
ふたりらしい部屋が残っている。
リルの部屋はごちゃっと色々な物が並べられていてライトブラウン系の色彩だった。
レヴィの部屋は綺麗に整えられたダークブラウン系の色彩だった。
俺の部屋はどうだっただろうか。
4畳半の広さの部屋にベッドと机。
本棚とオーディオ。
教科書や辞典が並んで…
持ってはいるけれど、スマホスタンドがあったり…と、思いながらふとスマホを随分と触っていないことに気づいた。
もう充電は切れているだろう。
だけど、リル、レヴィ、ルーファスさん、ミトさんの写真を撮りたいとふと思ってしまう。
今回は仕方ないけれど。
それに、新しく家族になる子の写真も欲しい。
けど、この世界に写真なんてないから、嫌がられはしないだろうか。
それでも皆の笑顔を写し取りたい。
できれば、子供の産まれた瞬間も撮影できたらいいなぁ。
「ね、リル、レヴィ…1度家に帰って戻ってくるにはどのくらい日にちがかかるかなぁ?新月までに間に合う?」
「急にどうした?」
リルが不思議そうに聞いてくる。
帰ってくる理由がわからないのだろう。
「ルーファスさんとミトさんが許してくれたらなんだけど、子供の産まれる瞬間を映像に残したいんだ」
「映像?」
「写真でもいいんだ」
「しゃしん?何だそれは……」
「うんと……絵画?」
「それは、時間がかかるぞ?」
リルとの会話にレヴィも交ざる。
「俺が持ってきた道具が使えたら一瞬なんだよ?」
「行って戻ってだと、最短で3日だな……魔獣を使っても同じくらいだろう……」
「新月までは、ギリギリかぁ……でも、行きたい……レヴィ、魔獣を貸して?」
「お前が行くのか?」
「だって……」
「なら、俺が行ってきてやる。何を持ってくればいい?」
まさか、レヴィが行ってくれるとは思っていなかった。
「レヴィ……リュック……えぇと、俺の部屋の椅子に掛けてある大きな袋?それごと持ってきてくれれば……」
「わかった、直ぐに出る」
「えっ!?」
「早い方がいいだろう?大丈夫だ」
「レヴィは魔獣の扱いが俺より格段に上手いからな。下手に俺やリクトが行くより早いかもしれない」
「でも、レヴィにだけ」
「大丈夫だ、気にするな。リクトはミトさんたちに話をしておいてくれ。リル」
「おう」
行ってこいとばかりにひらひらと手を振るリル。
レヴィは着替えをひっつかんで手早く支度を始める。
「レヴィありがとう」
「あぁ、リクトのためだからな、行ってくる」
ぎゅっとレヴィに抱き締められて抱き締め返した。
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