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116話
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音かする度、ヒヤヒヤして目を瞑ってしまう。
それはそれは楽しそうなふたり。
鳴り響く剣戟
怪我をしないでくれと握り締めた拳。
打ち合ってから力が均衡した所で漸くふたりが武器をさげる。
怪我がなくてよかったとホッとしたが、すとんと力が抜けて座り込んだ。
「大丈夫か」
レヴィが俺の腕を掴んで立ち上がらせてくれるが、恐怖からかいまいち上手く立てないでいて、笑ったレヴィに腰を抱かれた。
「2回目だけど、やっぱり怖いよ……怪我をしないで欲しいもん……」
武器なんて使うこと等無かったし、使っているのを見ることも無かった。
「リクト、俺にもぎゅってしてくれよ、レヴィだけ狡い」
おいでとばかりに手を開いたリル。
レヴィが頷いて離してくれると、リルの腕の中に抱き込まれた。
リルとレヴィだとやっぱり抱き心地が違う。
どっちも安心する感覚なのだけれど。
「そろそろいいか?」
随分とリルにぎゅうぎゅうされていたが、レヴィがそろそろと横槍をいれると、リルも仕方ないなと離してくれた。
これでそろそろ帰る時間かと時計を見ると、ふたりもそろそろ帰るかと頷いた。
「リクトは街の外に出てみたいか?魔獣がいれば必ず護ってやるから、少しだけ外に出てみないか?」
リルの提案に俺は顔を上げる。
いいの……かな?
邪魔にならない?
「大丈夫だ、俺もリルもいる」
レヴィも頷いてくれた。
「じゃあ、ピクニックだな!」
ピクニックと言う単語にふたりの首が傾げられるのが可愛い。
帰ろうかと促しながら、ピクニックの説明をすると、ふたりがとても嬉しそうに笑う。
お弁当は何がいいかと問い掛けると、おにぎりとサンドイッチ、唐揚げの塩と醤油、卵焼き。
うん、定番だね。
ただ、ふたりはかなり食べるからバスケットを新しいのと、レジャーシート…は、無いか。
飲み物は冷たいコーヒーか麦茶があればいいかな。
ミトさんたちともピクニックに行きたかったなぁと思いながら、ふと思ってしまう。
もしかして俺がちょっと落ち込んでたから、外出を考えてくれたのかな。
そう思ってしまうと、本当に大切にされているのだなと再認識する。
ふたりとも大好き。
それはそれは楽しそうなふたり。
鳴り響く剣戟
怪我をしないでくれと握り締めた拳。
打ち合ってから力が均衡した所で漸くふたりが武器をさげる。
怪我がなくてよかったとホッとしたが、すとんと力が抜けて座り込んだ。
「大丈夫か」
レヴィが俺の腕を掴んで立ち上がらせてくれるが、恐怖からかいまいち上手く立てないでいて、笑ったレヴィに腰を抱かれた。
「2回目だけど、やっぱり怖いよ……怪我をしないで欲しいもん……」
武器なんて使うこと等無かったし、使っているのを見ることも無かった。
「リクト、俺にもぎゅってしてくれよ、レヴィだけ狡い」
おいでとばかりに手を開いたリル。
レヴィが頷いて離してくれると、リルの腕の中に抱き込まれた。
リルとレヴィだとやっぱり抱き心地が違う。
どっちも安心する感覚なのだけれど。
「そろそろいいか?」
随分とリルにぎゅうぎゅうされていたが、レヴィがそろそろと横槍をいれると、リルも仕方ないなと離してくれた。
これでそろそろ帰る時間かと時計を見ると、ふたりもそろそろ帰るかと頷いた。
「リクトは街の外に出てみたいか?魔獣がいれば必ず護ってやるから、少しだけ外に出てみないか?」
リルの提案に俺は顔を上げる。
いいの……かな?
邪魔にならない?
「大丈夫だ、俺もリルもいる」
レヴィも頷いてくれた。
「じゃあ、ピクニックだな!」
ピクニックと言う単語にふたりの首が傾げられるのが可愛い。
帰ろうかと促しながら、ピクニックの説明をすると、ふたりがとても嬉しそうに笑う。
お弁当は何がいいかと問い掛けると、おにぎりとサンドイッチ、唐揚げの塩と醤油、卵焼き。
うん、定番だね。
ただ、ふたりはかなり食べるからバスケットを新しいのと、レジャーシート…は、無いか。
飲み物は冷たいコーヒーか麦茶があればいいかな。
ミトさんたちともピクニックに行きたかったなぁと思いながら、ふと思ってしまう。
もしかして俺がちょっと落ち込んでたから、外出を考えてくれたのかな。
そう思ってしまうと、本当に大切にされているのだなと再認識する。
ふたりとも大好き。
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