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61話

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「リクト、ブラッシングしてくれ。レヴィからでいいからな?」

ひょこっと顔を出したリルに、はいと、果実水を差し出す。

「お風呂上がりに飲んで?レヴィも…そうしたら、拭きながらブラッシングするから…リビングていい?」

取り敢えずと果実水を飲ませてからタオルを広げて獣体になって貰う。
レヴィから先と言うことで、俺はレヴィ用のブラシを手に座って待つ。
ふたりは下着1枚の姿でうろうろし、惜し気もなくその綺麗な肉体美を晒している。

「うわぁ…いいな」

目の前に座ったレヴィの盛り上がった筋肉は、どうやったって俺にはつけられないもの。
羨ましいななんて思っていると、徐に下着を脱ぎ初めて俺は顔を背ける。
やっぱり全裸は慣れないよ。

『リクト…頼む』

少し響くような、くぐもったような不思議な声に顔を上げると、其処には巨大な熊。
可愛い姿に抱き付きたくなりつい手をわきわきと動かしてしまう。

『どうした?』
「ぎゅっとしたい…レヴィ可愛い」
『構わんが』

ちょこんと足を広げて座る黄色い熊のスタイルに、俺は我慢できなくなってそのお腹へと抱き付いた。
少し硬い毛が、風呂上がりだから柔らかくなっているのが気持ちいい。

「ありがとう、さぁやろっか」

買ってきたブラシを引き寄せてから、手の届くところ。首周りからブラシを入れる。
犬や猫のトリミングにブラシを入れる順番がある。
その順番でブラッシングすると、安心して身を任せてくれるらしい。

『いいな、気持ちいい…』

首の辺りから胸、それから背中に。
ごろんと寝転がって貰ってゆっくりとブラッシングしていく。

「レヴィ、終わり…お疲れ様」
『ありがと、眠い…』

気持ち良かったのだろう、うとうとし始めたレヴィをそのままにリルを呼ぶ。

『ぎゅうがいい…』
「ふふ、いいよハグさせて」

リルの獣体にも触れさせて貰う。
しなやかな筋肉を楽しみながら、その腹部にもふっと顔を埋めさせて貰う。
さわさわと撫でてから俺はブラシを手にしたのだった。
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