【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

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57話

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「商業ギルドの水晶が白っぽく光ったのは見ていただろ?」

リルがどう説明しようかと口を開く。
綺麗な顔がちょっと歪む。

「うん」
「あれが、白く光ったのが問題…と言うか、なぁ…」
「あぁ」

顔を合わせて何かを言い淀んだが、リルが何とか口を開く。

「白く光るのは、俺達にとって癒し系になるんだ。
何て言ったらいいかな…撫でられたり寄り添ったりするだけで気持ち良くなるっつーかさ…そういう適性を持った奴が多くて、皆から好かれるんだ…
時期になれば取り合いになったり…意味がわかるか?」

言葉を濁したリルに、ピンときた。

「発情期?」

おそるおそる聞いてみる。

「そうだ。今はまだ大丈夫だろうが、今のままなら時期になれば求婚が増える…させるつもりもないが、何処かに連れ込まれて…と言うことも無くもない」
「んんっ、俺…男」

わかりきったことだが言ってみる。

「連れ込むのは雌にだってできることだ。リクトが抗えるならば大丈夫だと思うが、発情した怖さを知っているか?」

リルの問い掛けに、俺は頭を振った。
ペットショップで扱う子たちは発情期を知らなかったり、発情期を迎える前に避妊や去勢をしてしまっていた子たちのため、そこまで大変ではなかったが…
野良猫とかが時期になると騒いでいたのを思い出す。
あれは大変だったし、ごく稀に手術より先に発情期を迎えてしまう個体もいて、それはそれで扱いが大変だった。
人間は発情期はたぶん無いので…一年中発情期なのかもしれないけれど…わからないし。

だから、どうなるかわからない。

「1つは誰かのものになること。これは恋人や伴侶を作ってしまってマーキングしてもらうことだな?
もう1つは、誰のものにもならずに来た全員を受け入れること。
もう1つは薬でその性質を抑え込むこと…だな」

リルが指を折りながら説明をしてくれるのを聞きながら、言われたことが頭の中をぐるぐると回る。

「ね、発情期って…だいたいいつ…なの?」
「一年中なのはウサギとかだが、俺らは年に2回だな…近いのはあと3ヶ月…くらいか?」
「そうだな…ただ、個体差があるからな…」
「でも、あれっ!?それって俺が何かの誘惑物質を出してるってこと?」

動物の発情は雌からで…それで、えぇと…。
でも、獣人さんは動物とは違って…。
自分が得ていた常識が通用しないのだ。

「ごめん、ちょっと考えさせて…」

俺は頭の中を整理したいとふたりにお願いしたのだった。
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