【BL】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

梅花

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55話

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「えーと…先ずはゆっくり話が先か。個室でお茶を飲みながらだな…」
「此処からなら帰宅した方が早い」
「じゃあ、1回帰るか」

リルとレヴィが何やら話し合ってから頷くと帰るぞと手を引かれた。
少し真面目な堅い表情になったふたりを交互に見てからこくりと頷く。

「何処かで飲み物買って帰るか」

わざとのんびりとした口調でリルが告げ、レヴィもそうだなと笑った。
レヴィさんの笑顔って貴重。

「リクトは何がいい?」
「ジュースかな、お茶なら帰ればあるから」

果実のジュースは外で飲む。
来年もいるなら、漬けて自宅で楽しめばいいんだけど、果実や抗菌の瓶とか、氷砂糖や焼酎とか色々と必要なんだ。
良く実家で親がちょっとだけ漬けていたのを思い出した。

「じゃあ、帰りながらの店でいいな」
「うん」

お腹もいっぱいだし、晴れた空は青くて綺麗だし。
ざわざわした活気も嫌いじゃない。
それに、行き交う人が全部獣人。
服装は独特だけど、黒目がちの人が多くて可愛い。
インコの鳥(?)人だろうか、綺麗な黄色の髪に時折黄緑が混ざり、手の甲には羽根の名残だろうか数枚の突起がある店員さんのお店で3人分の飲み物を買って家に向かった。
紙コップのようなものに入れてくれるけれど、某ファーストフードショップのようなスタンドに入れてくれる訳ではないから1人1杯を持たなきゃいけない。
今度、スタンドみたいなのをお願いしてみようかな。
そうしたら、コップは全部サイズ統一しなきゃ駄目だよねぇ。

「また、何か考えていないか?」
「あ、ははは…あったらいいなぁって思うものかな…」
「それについても話さなきゃならねぇか…なぁレヴィ」
「そうだな」

また、ふたりで頷くと、やんわり俺の背中に触れて先を急ぐ。
リルもレヴィも優しいけれど、ちょっとだけ言葉が足りなくない?
俺、この世界の人間じゃないんだよ?
って、俺が聞かないのもいけないのか。
よし、帰ったら色々と聞いてみよう。
そう思いながら歩く。
次の角を曲がればふたりの自宅が見えてきた。
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