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44話

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丁寧にブラッシングをすると、毛並みが艶々になる。
座り心地も文句ない。
リルも、ゴロゴロと喉をならしていた。
何で猫科のゴロゴロってこんなに幸せなんだろ。

あれ、でもあっちの世界じゃ虎ってゴロゴロ言わない…よね?

深いことは考えちゃいけないかなと思いながらも、ゴロゴロされると、つい喉の下を撫でてあげたくなっちゃうのは、猫好きだからだよね。
気の済むまでブラッシングさせて貰ってからふたりの肉球のケア。
どちらともあの猫の肉球を大きくした感じ。
リルの肉球は綺麗なピンクで、レヴィの肉球は鮮やかな黒だった。

「ふぅ…」

満足しながら息を吐くとふたりはベッドの上でぐったりしていた。

『リクトのマッサージ、ヤバいな…ダレる』
『昇天…する』

ふたりがなにやらぶつぶつ喋っているのを聞いて俺は固まった。
まさか、俺の勘違い?

「俺の存在、ヤバい?」
『あぁ、ヤバい…俺とレヴィがこんなに骨抜きにされるなんてな…』
『かなり気持ち良くて何も考えたくない』

あのとき聞こえてきていたのは、この会話かもしれない。
俺が邪魔じゃなかったのかな…それだったならいいんだけど。

「ね、ふたりとも…俺が毎日マッサージするって言ったら?」
『『是非!!』』

綺麗に声が重なると、ふたりの腕ががっしりと俺を掴む。
もちろん爪は立てないから怖くはないんだけど。

「わかった、ふたりの好きな固さのブラシ買おうか…明日のお出掛けはレヴィ?
一緒に選ぼうね?」
『おう』
『狡い…俺も欲しいが、今日は…』
「やっぱり、毛並みが違うから好みも違う?」

ふたりの背中を撫でながら問い掛ける。
温かい。
ふたりに包まれてしまうと眠気がやってくるのが早い。

「レヴィ、重くない?」
『気にするな』
「リルも蹴ったらごめん」
『蹴ったら…どうしようか』

えぇ、寝相悪い方じゃないんたけどな…

「ふたりは寝るときはいつもこの格好?」
『いや、その時によってだな…』
「じゃあ…」
『リクトが安心てきるだろう?』

確かに癒される。
動物は大好きだ。
ふたりの気遣いなのだと思うと、気持ちがほっこりした。

「ありがとう」

ぎゅっとふたりを抱き締めてから薄手の毛布を引き上げる。
今日もぐっすり眠れる…かな。
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