【ＢＬ】転生したら獣人の世界で何故か肉食獣に愛されています。

34話

「そんなことは無いぞ？」

レヴィが立ち止まり俺を見下ろしてくる。
手を繋いだままでいるレヴィを見上げると、自分の髪や耳を空いている手で触った。

「人族っているのか？」
「わからない、話には聞いたことかあるが…」
「そっか…帰ったら、リルとレヴィに聞いてもらいたいこともあるし…」
「わかった、気にしなくていい。さぁ、行こうか」

レヴィに促されて歩き出す。
食材を沢山買い込んで自宅に戻るときに、新人冒険者を連れたリルに出逢った。

「よう、ふたりで買い出しか？」
「リル、お疲れ様。食事を作って待ってるからね」

リルがサンドイッチ美味かったと言ってくれた。
良かったと安堵しながら手を振る。

「レヴィ、行こうか」

荷物を運んで自宅に着くと、レヴィが何にする？と、興味津々で覗いてくる。
最近、ふたりとも料理が気になっているらしい。
いつものようにたっぷり野菜とソーセージのスープ。
毎日届けてくれることになっているパンを切り分けて、卵液に浸けてクロックムッシュにする。
肉は何にしようかと考えてしょうが焼きと、スタミナ漬けにした。
少し薄く切ってもらっている肉に味をつける。
リルが帰ってきてから焼こうと思いながら、リビングのソファーに座ったらついうとうとしてしまった。

「うわっ！」

うとうとしながら見た夢はあの時。
車が迫ってきたライトの光しか目に入らなくてビクッとした。
変な汗をかいて目が覚めると、レヴィが心配そうに抱き締めてくれていた。

「大丈夫か？」
「うん…こっちの世界に来たときの事を思い出して…ね。ごめん。ありがとう…レヴィ、ちょっとだけギュッてしていていい？」
「あぁ」

安心するレヴィの大きさ。
昔欲しかった大きな熊のぬいぐるみ。
抱き締めているのは、硬いガチガチの筋肉だけどね。
深呼吸をしてレヴィから離れると、ちょうどリルが帰ってきた音がした。