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9・10話
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えっと……さすがにここまで明るいカラーのは抵抗があると、俺はそそっと入口の辺りの服は避けて、そこから少し奥にあった暗めのカラーの服を見始める。
うん。カーキとか、紺とかが無難だよねって思いながらちらりと横目でリルを見る。
リルさん?それ、誰が着るんですか?まさか……俺?
リルが手にしているのは、モコモコした白い生地のパーカー。
可愛い女の子が着るなら……って、レヴィさん?それ、明らかに貴方入らないでしょう?
逆を見るとそちらにはレヴィがいて、レヴィが手にするのはマイクロミニのホットパンツ。
恋人に買ってあげるのはいいかもしれないけどねっ!
俺はブラックデニムみたいな厚地のズボンと、水色のシャツ。
下着はボクサーパンツみたいなのを二枚選んだ。
どれも尻尾を通す穴があるから、それは縫わなきゃいけないなと思いながら、縫うなら針と糸も買わなくちゃ。
「リル、レヴィお待たせ。これを買いたいんだが、悪い……お金を貸してくれるか?」
「えっ!?もう決まったのか?ぱ、パジャマもいるだろう?えぇと、これはどうだ?」
そう言いながらリルが差し出してきたのは。
リルさん。それはさっきから貴方が持っているモコモコパーカーですね?
却下!
「パジャマにするなら……こっちもどうだ?」
レヴィさん?そっとホットパンツ薦めてこないで!
却下!
俺は溜め息を吐くと、チュニックとハーフパンツを選んで追加した。
何だか残念そうにしているふたりは諦めてくれ。
今度は支払いをレヴィがしてくれたが、金額は教えてくれない。
安かったからの一点張りだ。
紙袋も持ってくれて、何故か手も繋いでいる。
「ふたりは明日の朝御飯は何がいい?パンとかパスタとか、俺のいつもの朝食ならバゲットがあると嬉しい…それと、調味料もあったら嬉しいな」
ベーコンと玉子、チーズはあったから、チーズオムレツとベーコンを焼きたい。
できればバターや塩やコショウも欲しいし、ケチャップは無いかなぁ?無いならトマトとか欲しい。
サラダは食べなさそうだから、野菜スープとかどうだろう。
野菜なんて全然無かったから、できれば買いたいけど、結構な額になっちゃいそうだし。
悩みながら歩くと、レヴィが足を止める。
看板を見るとパン屋のようだった。
入ってもいいの?
レヴィに聞くと、リルが扉を引いてくれる。
其処はリスの獣人のパン屋だった。
「よう、パンをくれ」
リルが店内に声を掛けると、カウンター内からくるりと振り向いたリスさんの背中には大きな尻尾が揺れていた。
可愛い。
それに、獣人さんって皆美形。
リスさんはちょっと小柄で俺よりは少し小さいかな?
くりくりっとした黒目で、小作りな顔。
白いコックシャツとコックタイ、帽子の可愛い出で立ちだ。
「いらっしゃいませ!」
元気な声が気持ちいい。
「リクト、どんなのがいいんだ?」
「えっと……ふたりが朝食に良く食べるのはどんなパン?」
二人を交互に見てから好みを聞く。
それによって今後は作るものも変わってくるし。
食パンみたいなのとバゲットみたいの、バターロールなんかがあったら嬉しいなとガラスのケースを覗き込む。
美味しそうなパンが並んでいたが、この世界には菓子パンと言うのは無いようだ。
どれも小麦たっぷりだったり、木の実が入っていたり干した果実が入っていたりはするが。
食事に特化したとは言い過ぎかもしれないが、そんなパンばかり。
「俺は四角いのがいい」
「俺もだ」
どうやらふたりは食パンっぽいのが好きらしい。
じゃあそれをとお願いしたら、リスさんは当然のように1斤を3つ普通に袋に入れ始める。
なん……だと……。
ちょっと待って!1斤って、どれだけあると思ってるの?
パンだけじゃなくて他にもおかずあるんだよ?
ま、まぁ……残れば次の食事にまわせばいいし、最悪はパン粉にして揚げ物やハンバーグのつなぎにできるからよしとしようと思ったけれど、全く3斤じゃ足りなかったのは後のお話。
「レヴィそんなに食べられるの?」
「朝飯だろ?そのくらいは普通に食うぜ?」
あー……おかずって残ってた薫製と玉子で足りるかな。
食材を確認して追加しよう。
ごめん……この人たちのエンゲル係数、やたら高いよ。
信じられないものを見るようにしながらバゲットも足してもらって支払いを任せ、次はお肉だと荷物を抱えようとしたが、リルがパンを持ってくれる。
パンくらいは持てるんだけど。
お肉やさんではソーセージをたっぷりと、それとベーコンを買い足して、ついでに鶏肉を買った。
明日にでも、調味料を見て回りたい。
トマトソースで煮込んでもいいし、調味料があれば唐揚げもいいよね。
取り敢えず荷物が多くなったから、それで家に帰る。
やばっ!野菜買い忘れた。
仕方ないかぁ。
もう一回外出は……難しいかも。
残っていた野菜で何とかするか。と言ったって、ジャガイモやタマネギみたいな日持ちのする野菜だけだったし、そもそもがあれがいつのものかもわからない。
包丁を入れて大丈夫かを確認しなきゃならないから、そのあたりも勝負どころ。
頑張ろう。
俺は腕捲りをしながら気合いを入れた。
うん。カーキとか、紺とかが無難だよねって思いながらちらりと横目でリルを見る。
リルさん?それ、誰が着るんですか?まさか……俺?
リルが手にしているのは、モコモコした白い生地のパーカー。
可愛い女の子が着るなら……って、レヴィさん?それ、明らかに貴方入らないでしょう?
逆を見るとそちらにはレヴィがいて、レヴィが手にするのはマイクロミニのホットパンツ。
恋人に買ってあげるのはいいかもしれないけどねっ!
俺はブラックデニムみたいな厚地のズボンと、水色のシャツ。
下着はボクサーパンツみたいなのを二枚選んだ。
どれも尻尾を通す穴があるから、それは縫わなきゃいけないなと思いながら、縫うなら針と糸も買わなくちゃ。
「リル、レヴィお待たせ。これを買いたいんだが、悪い……お金を貸してくれるか?」
「えっ!?もう決まったのか?ぱ、パジャマもいるだろう?えぇと、これはどうだ?」
そう言いながらリルが差し出してきたのは。
リルさん。それはさっきから貴方が持っているモコモコパーカーですね?
却下!
「パジャマにするなら……こっちもどうだ?」
レヴィさん?そっとホットパンツ薦めてこないで!
却下!
俺は溜め息を吐くと、チュニックとハーフパンツを選んで追加した。
何だか残念そうにしているふたりは諦めてくれ。
今度は支払いをレヴィがしてくれたが、金額は教えてくれない。
安かったからの一点張りだ。
紙袋も持ってくれて、何故か手も繋いでいる。
「ふたりは明日の朝御飯は何がいい?パンとかパスタとか、俺のいつもの朝食ならバゲットがあると嬉しい…それと、調味料もあったら嬉しいな」
ベーコンと玉子、チーズはあったから、チーズオムレツとベーコンを焼きたい。
できればバターや塩やコショウも欲しいし、ケチャップは無いかなぁ?無いならトマトとか欲しい。
サラダは食べなさそうだから、野菜スープとかどうだろう。
野菜なんて全然無かったから、できれば買いたいけど、結構な額になっちゃいそうだし。
悩みながら歩くと、レヴィが足を止める。
看板を見るとパン屋のようだった。
入ってもいいの?
レヴィに聞くと、リルが扉を引いてくれる。
其処はリスの獣人のパン屋だった。
「よう、パンをくれ」
リルが店内に声を掛けると、カウンター内からくるりと振り向いたリスさんの背中には大きな尻尾が揺れていた。
可愛い。
それに、獣人さんって皆美形。
リスさんはちょっと小柄で俺よりは少し小さいかな?
くりくりっとした黒目で、小作りな顔。
白いコックシャツとコックタイ、帽子の可愛い出で立ちだ。
「いらっしゃいませ!」
元気な声が気持ちいい。
「リクト、どんなのがいいんだ?」
「えっと……ふたりが朝食に良く食べるのはどんなパン?」
二人を交互に見てから好みを聞く。
それによって今後は作るものも変わってくるし。
食パンみたいなのとバゲットみたいの、バターロールなんかがあったら嬉しいなとガラスのケースを覗き込む。
美味しそうなパンが並んでいたが、この世界には菓子パンと言うのは無いようだ。
どれも小麦たっぷりだったり、木の実が入っていたり干した果実が入っていたりはするが。
食事に特化したとは言い過ぎかもしれないが、そんなパンばかり。
「俺は四角いのがいい」
「俺もだ」
どうやらふたりは食パンっぽいのが好きらしい。
じゃあそれをとお願いしたら、リスさんは当然のように1斤を3つ普通に袋に入れ始める。
なん……だと……。
ちょっと待って!1斤って、どれだけあると思ってるの?
パンだけじゃなくて他にもおかずあるんだよ?
ま、まぁ……残れば次の食事にまわせばいいし、最悪はパン粉にして揚げ物やハンバーグのつなぎにできるからよしとしようと思ったけれど、全く3斤じゃ足りなかったのは後のお話。
「レヴィそんなに食べられるの?」
「朝飯だろ?そのくらいは普通に食うぜ?」
あー……おかずって残ってた薫製と玉子で足りるかな。
食材を確認して追加しよう。
ごめん……この人たちのエンゲル係数、やたら高いよ。
信じられないものを見るようにしながらバゲットも足してもらって支払いを任せ、次はお肉だと荷物を抱えようとしたが、リルがパンを持ってくれる。
パンくらいは持てるんだけど。
お肉やさんではソーセージをたっぷりと、それとベーコンを買い足して、ついでに鶏肉を買った。
明日にでも、調味料を見て回りたい。
トマトソースで煮込んでもいいし、調味料があれば唐揚げもいいよね。
取り敢えず荷物が多くなったから、それで家に帰る。
やばっ!野菜買い忘れた。
仕方ないかぁ。
もう一回外出は……難しいかも。
残っていた野菜で何とかするか。と言ったって、ジャガイモやタマネギみたいな日持ちのする野菜だけだったし、そもそもがあれがいつのものかもわからない。
包丁を入れて大丈夫かを確認しなきゃならないから、そのあたりも勝負どころ。
頑張ろう。
俺は腕捲りをしながら気合いを入れた。
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