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7・8話
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……うん?
なんとなく想像していたけど……マジか。
俺はゆっくりと辺りを見回して、俺が持っていた常識が崩れていくのを感じた。
ふたりに続くように『紅玉の山猫亭』という看板を見ながら店に入る。
……あぁこちらの世界の文字はカタカナと数字でできているから、何とか俺も読めたのだ。
それに、料理の名前も知っているものはほぼ一緒。
ハンバーグとか、シチューとか。
で、二人が慣れたように頼んだものの量がおかしい、これでもかと言うくらいところ畝ましとテーブルに並べられていくのを見ているだけでお腹いっぱいになりそうだ。
しかも、ほぼ肉!
ふたりに恐る恐る聞いたところによると、肉は俺たちのいた世界とほぼ同じで、鶏や牛などは食べるために飼っているらしい。
共食い? とは口が裂けても言えないのだけれど。
ステーキ、フライドチキン、ハンバーグ、ビーフシチュー……。
でも、店員さんが驚かないからこれが二人の通常なんだろう。
「俺、サラダ……ドレッシングは甘めので」
そう注文すると、ふたりはいつの間にか追加でビールを頼んでいた。
来たビールはどう見てもジョッキじゃなくてピッチャーだよね!ってサイズ。
それをいただきますと同時に水のように飲む!
大丈夫なの?それ。
俺はと言うと、とりあえず水をお願いした。
一瞬お酒は大人になってからだぞ?と、言われた気がしたが俺は成人済みなのにとは言わずに水を貰う。
酔ったら迷惑をかけるといけないとの配慮からだ。
ちなみに此処の店員さんは全員猫。
スレンダーで艶かしい。
俺はふたりの間で山盛りのサラダをチマチマ食べている。
かかっているドレッシングはゴマみたいな風味で凄く美味い。
それと、俺の目の前に取り分け皿にと置いてくれた中皿に二人がせっせと一口ずつ取り分けてくれたものか乗っていくが山盛りに近い。
食いきれるかなぁ。
「リクト、食べて美味いなら追加も頼めるし、早く食わねぇと冷めちまうぞ?」
それはどうも。にこりと愛想笑いをしながら少しずつ俺も食事をしていく。
それにしても結構いっばいあるぞ!?
恐る恐る食事を口にすると匂いは薄いが味は……美味い!
やっぱり鼻が良い動物なら香辛料とか苦手なんだろうかなんて思いながらゆっくり食事を楽しんだ。
「ご馳走さま」
両手を合わせると、ふたりにきょとんとされてからふたりが同じように手を合わせた。
あ、こっちじゃ手を合わせるなんてことないのか。
日本でも今の若い子はやらない動作だよねぇ。
「お腹いっぱいです」
「ちょっとしか食べていないだろ?あれっぽっちで足りるのか?」
リルさん、それは本気ですか?
俺のお腹、はち切れそうですよ?
「腹も膨れたし、次はリクトの服とかだな。まずは既成のもので多目に持っていた方がいいし、寝るときも着る派だろ?」
うん?
リルは裸族、レヴィはパンイチっぽいな。
なんとなくだけど……いや、リルはガウンとかも似合いそう…⋯いやいや、そんなことは…⋯
とりあえず俺はこくりと頷いた。
服なんて着ているこれしかない。
夏場だったらバッグの中に着替えのシャツくらいはあったんだろうけど…⋯
「あまり買ってもお返しできないから、最低限でいいよ…⋯」
「気にするな、俺たちはそれなりに困らないくらいは持っているから…⋯」
持っているって、お金ですか?レヴィさん?
冒険者って、儲かるの?
俺でもできるかな…⋯いや、きっとふたりのように逞しくなければできないだろう。
「悪いな、会計だ」
リルが支払いをしてくれると、レヴィが行こうかと促してくれた。
店員の猫さん達がリルとレヴィの一挙手一投足を見ている。
同じ猫科の獣人だから、惹かれるんだろうな。
獣人でない俺からしても、ふたりはとても魅力的だから。
ワイルドだけど気配りができて…⋯惚れない理由がないもんね。
そんなこんなで店を出てから、ふたりに連れられて行った先はこじんまりした一軒家で、ドアを引くと中には色鮮やかな服が並んでいる。
え?鮮やかすぎないか?
ちょっとだけ目がチカチカするのを見ながら、ふたりはノシノシと店に入っていく。
ラックに掛けられた服や棚に並べられた服を見ながら俺はもうちょっと無難な色の物はないかと探す。
明らかにティーンエイジャー向けの色合いだよ?
俺…⋯もしかして若く見られてる?ラッキー?
そんな事ないかと考えた自分に自己嫌悪した。
なんとなく想像していたけど……マジか。
俺はゆっくりと辺りを見回して、俺が持っていた常識が崩れていくのを感じた。
ふたりに続くように『紅玉の山猫亭』という看板を見ながら店に入る。
……あぁこちらの世界の文字はカタカナと数字でできているから、何とか俺も読めたのだ。
それに、料理の名前も知っているものはほぼ一緒。
ハンバーグとか、シチューとか。
で、二人が慣れたように頼んだものの量がおかしい、これでもかと言うくらいところ畝ましとテーブルに並べられていくのを見ているだけでお腹いっぱいになりそうだ。
しかも、ほぼ肉!
ふたりに恐る恐る聞いたところによると、肉は俺たちのいた世界とほぼ同じで、鶏や牛などは食べるために飼っているらしい。
共食い? とは口が裂けても言えないのだけれど。
ステーキ、フライドチキン、ハンバーグ、ビーフシチュー……。
でも、店員さんが驚かないからこれが二人の通常なんだろう。
「俺、サラダ……ドレッシングは甘めので」
そう注文すると、ふたりはいつの間にか追加でビールを頼んでいた。
来たビールはどう見てもジョッキじゃなくてピッチャーだよね!ってサイズ。
それをいただきますと同時に水のように飲む!
大丈夫なの?それ。
俺はと言うと、とりあえず水をお願いした。
一瞬お酒は大人になってからだぞ?と、言われた気がしたが俺は成人済みなのにとは言わずに水を貰う。
酔ったら迷惑をかけるといけないとの配慮からだ。
ちなみに此処の店員さんは全員猫。
スレンダーで艶かしい。
俺はふたりの間で山盛りのサラダをチマチマ食べている。
かかっているドレッシングはゴマみたいな風味で凄く美味い。
それと、俺の目の前に取り分け皿にと置いてくれた中皿に二人がせっせと一口ずつ取り分けてくれたものか乗っていくが山盛りに近い。
食いきれるかなぁ。
「リクト、食べて美味いなら追加も頼めるし、早く食わねぇと冷めちまうぞ?」
それはどうも。にこりと愛想笑いをしながら少しずつ俺も食事をしていく。
それにしても結構いっばいあるぞ!?
恐る恐る食事を口にすると匂いは薄いが味は……美味い!
やっぱり鼻が良い動物なら香辛料とか苦手なんだろうかなんて思いながらゆっくり食事を楽しんだ。
「ご馳走さま」
両手を合わせると、ふたりにきょとんとされてからふたりが同じように手を合わせた。
あ、こっちじゃ手を合わせるなんてことないのか。
日本でも今の若い子はやらない動作だよねぇ。
「お腹いっぱいです」
「ちょっとしか食べていないだろ?あれっぽっちで足りるのか?」
リルさん、それは本気ですか?
俺のお腹、はち切れそうですよ?
「腹も膨れたし、次はリクトの服とかだな。まずは既成のもので多目に持っていた方がいいし、寝るときも着る派だろ?」
うん?
リルは裸族、レヴィはパンイチっぽいな。
なんとなくだけど……いや、リルはガウンとかも似合いそう…⋯いやいや、そんなことは…⋯
とりあえず俺はこくりと頷いた。
服なんて着ているこれしかない。
夏場だったらバッグの中に着替えのシャツくらいはあったんだろうけど…⋯
「あまり買ってもお返しできないから、最低限でいいよ…⋯」
「気にするな、俺たちはそれなりに困らないくらいは持っているから…⋯」
持っているって、お金ですか?レヴィさん?
冒険者って、儲かるの?
俺でもできるかな…⋯いや、きっとふたりのように逞しくなければできないだろう。
「悪いな、会計だ」
リルが支払いをしてくれると、レヴィが行こうかと促してくれた。
店員の猫さん達がリルとレヴィの一挙手一投足を見ている。
同じ猫科の獣人だから、惹かれるんだろうな。
獣人でない俺からしても、ふたりはとても魅力的だから。
ワイルドだけど気配りができて…⋯惚れない理由がないもんね。
そんなこんなで店を出てから、ふたりに連れられて行った先はこじんまりした一軒家で、ドアを引くと中には色鮮やかな服が並んでいる。
え?鮮やかすぎないか?
ちょっとだけ目がチカチカするのを見ながら、ふたりはノシノシと店に入っていく。
ラックに掛けられた服や棚に並べられた服を見ながら俺はもうちょっと無難な色の物はないかと探す。
明らかにティーンエイジャー向けの色合いだよ?
俺…⋯もしかして若く見られてる?ラッキー?
そんな事ないかと考えた自分に自己嫌悪した。
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