3 / 407
5・6話
しおりを挟む
「えっと……こんな大きな部屋を借りていいの?」
2階に上がるとリルが案内してくれた部屋の扉を開ける。
其処にあった部屋は俺が独り暮らしをしているアパートの部屋全体より大きかった。
マジですか?それともこれは獣人サイズなの?
大きめのベッドに机、椅子、本棚等。
「あぁ、冒険者仲間が泊まる時に貸してる部屋だからな。随分使ってねぇからちょっと埃臭いけど我慢してくれ」
リルが奥の窓を開けてくれると気持ちいい風が入ってきた。
窓を開けても壁じゃない!そんなことにびっくりした。
しかも、横スライドではなくて、中から外に開く観音開き。
あれ、でも最大限開いたら俺の手は届くかな……
「ありがとう。リルさんもレヴィさんも……本当に助かる……」
にっこりと笑うと、リルは気にするなと手を振った。
この世界は電気ガス水道は無いが、それを補う魔道具があり、ボタン1つで部屋が明るくなったり、火が付いたり水が出たりする。
そんな説明を受けて便利だなと思う。
だって魔道具があれば使用するときにお金はいらないんだって。
魔道具は、少しお高いが長く使えるらしい。
「リルさん、飯とかどんなのを食べてるのかな?俺、作れるなら作るよ?」
まずはこの世界での食事がどんなものか知りたい。
あと、この家に来るまでにすれ違ったけれど、この世界の獣人の事とかも詳しく知りたい……ウサギの獣人さんとか可愛かったなぁ。
「マジか!あー……俺もレヴィも肉がありゃ大概は大丈夫!なぁレヴィ?」
「あぁ」
入口の扉からひょっこりと顔を出したのはレヴィで、可愛い耳がピピッと動いた。
「飯もいいが、リクトが大丈夫なら、服とか買わないと。歩けないなら抱いてく」
レヴィの低音が腰にくる。
すげー好みの声なんだよなぁ。
「や、もう大丈夫だから!少しゆっくりさせてもらったら大丈夫になった」
「そうか……」
ん?何故かレヴィが残念そうに見えるんだけど。
気のせいか。うん、気のせいだな!
「レヴィが嫌なら俺が抱いてくぞ?」
「いやとかじゃなくて、大丈夫だって!」
何だ此処の住人は……抱っこ好きか!
なんて顔には出さないけどさ、やっぱり恥ずかしいって……成人済みの男が…さ。
リルもレヴィも、何だかちょっと過保護だよね。
「俺さ、お金無いし……やれることもあまりないだろうけど、やって欲しいことがあったら言ってね?料理は口に合うように頑張るし、掃除とか洗濯なら少しはできるかもだし……」
2階から降りて、ダイニングを通り抜けるとキッチンに入った。
皿や調理器具は一通り揃っているようで、お湯も水も出るし、冷蔵庫みたいに食材を冷やす箱もあった。
無いのは食材。
お米とか、醤油、味噌が無いのは仕方ないよなぁ……俺に作るスキルは無いし。
小説とかだと、味噌を作るスキルを持っていて大豆発見!味噌できた!なんて簡単にやるけど、豆を炊いたりしなきゃいけないから自力でなんて絶対無理。
肉も魚も捌けないし……そもそも獣人さんの食べる肉って何の肉なの?
そんなことを考えながら俺はキッチンを見ていくも、あるのは玉子とバゲット。
砂糖や塩はあるみたいだった。
ん。これ……ベーコンやチーズ?ナッツもある。
それに、何だこの酒の量!
セラーを開けた瞬間飛び込んできたのは同じラベルの貼られた大量の瓶。
無意識に二人をじと目で見る。
「お酒とツマミは充実してるんですね」
「やっ……ま、まぁ俺もリルも飲む……から……」
レヴィさんの言い訳に俺は苦笑して。
「飲みすぎないでね?程々に」
そう釘を刺してから、収納扉を閉めた。
こちらの食事は1日2食、朝晩だけらしい。
でもきっとふたりは肉体を酷使しそうだから、お昼とか持って行ってもらった方がいいかも。
あと、俺ができるのは簡単な料理。
独り暮らしをしてからだいぶ経つし、まかり間違って恋人ができたら食べさせたいと思っていたから少し練習したけれど、それが何処まで通用するかはわからないけど。
この世界の食事、食べて判断しようと、二人が食事に連れていってくれると言うので、全てをお任せした。
2階に上がるとリルが案内してくれた部屋の扉を開ける。
其処にあった部屋は俺が独り暮らしをしているアパートの部屋全体より大きかった。
マジですか?それともこれは獣人サイズなの?
大きめのベッドに机、椅子、本棚等。
「あぁ、冒険者仲間が泊まる時に貸してる部屋だからな。随分使ってねぇからちょっと埃臭いけど我慢してくれ」
リルが奥の窓を開けてくれると気持ちいい風が入ってきた。
窓を開けても壁じゃない!そんなことにびっくりした。
しかも、横スライドではなくて、中から外に開く観音開き。
あれ、でも最大限開いたら俺の手は届くかな……
「ありがとう。リルさんもレヴィさんも……本当に助かる……」
にっこりと笑うと、リルは気にするなと手を振った。
この世界は電気ガス水道は無いが、それを補う魔道具があり、ボタン1つで部屋が明るくなったり、火が付いたり水が出たりする。
そんな説明を受けて便利だなと思う。
だって魔道具があれば使用するときにお金はいらないんだって。
魔道具は、少しお高いが長く使えるらしい。
「リルさん、飯とかどんなのを食べてるのかな?俺、作れるなら作るよ?」
まずはこの世界での食事がどんなものか知りたい。
あと、この家に来るまでにすれ違ったけれど、この世界の獣人の事とかも詳しく知りたい……ウサギの獣人さんとか可愛かったなぁ。
「マジか!あー……俺もレヴィも肉がありゃ大概は大丈夫!なぁレヴィ?」
「あぁ」
入口の扉からひょっこりと顔を出したのはレヴィで、可愛い耳がピピッと動いた。
「飯もいいが、リクトが大丈夫なら、服とか買わないと。歩けないなら抱いてく」
レヴィの低音が腰にくる。
すげー好みの声なんだよなぁ。
「や、もう大丈夫だから!少しゆっくりさせてもらったら大丈夫になった」
「そうか……」
ん?何故かレヴィが残念そうに見えるんだけど。
気のせいか。うん、気のせいだな!
「レヴィが嫌なら俺が抱いてくぞ?」
「いやとかじゃなくて、大丈夫だって!」
何だ此処の住人は……抱っこ好きか!
なんて顔には出さないけどさ、やっぱり恥ずかしいって……成人済みの男が…さ。
リルもレヴィも、何だかちょっと過保護だよね。
「俺さ、お金無いし……やれることもあまりないだろうけど、やって欲しいことがあったら言ってね?料理は口に合うように頑張るし、掃除とか洗濯なら少しはできるかもだし……」
2階から降りて、ダイニングを通り抜けるとキッチンに入った。
皿や調理器具は一通り揃っているようで、お湯も水も出るし、冷蔵庫みたいに食材を冷やす箱もあった。
無いのは食材。
お米とか、醤油、味噌が無いのは仕方ないよなぁ……俺に作るスキルは無いし。
小説とかだと、味噌を作るスキルを持っていて大豆発見!味噌できた!なんて簡単にやるけど、豆を炊いたりしなきゃいけないから自力でなんて絶対無理。
肉も魚も捌けないし……そもそも獣人さんの食べる肉って何の肉なの?
そんなことを考えながら俺はキッチンを見ていくも、あるのは玉子とバゲット。
砂糖や塩はあるみたいだった。
ん。これ……ベーコンやチーズ?ナッツもある。
それに、何だこの酒の量!
セラーを開けた瞬間飛び込んできたのは同じラベルの貼られた大量の瓶。
無意識に二人をじと目で見る。
「お酒とツマミは充実してるんですね」
「やっ……ま、まぁ俺もリルも飲む……から……」
レヴィさんの言い訳に俺は苦笑して。
「飲みすぎないでね?程々に」
そう釘を刺してから、収納扉を閉めた。
こちらの食事は1日2食、朝晩だけらしい。
でもきっとふたりは肉体を酷使しそうだから、お昼とか持って行ってもらった方がいいかも。
あと、俺ができるのは簡単な料理。
独り暮らしをしてからだいぶ経つし、まかり間違って恋人ができたら食べさせたいと思っていたから少し練習したけれど、それが何処まで通用するかはわからないけど。
この世界の食事、食べて判断しようと、二人が食事に連れていってくれると言うので、全てをお任せした。
353
お気に入りに追加
5,257
あなたにおすすめの小説
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
本編完結しました!
時々おまけを更新しています。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目
カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる