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38話

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「なら、他におすすめがありますか?」

ラーサティアは残念そうにしていたが、無いものは仕方無いと切り替えたらしく、他のものがあればと店員に聞いている。

「試飲ができますか?」
「はい、こちらへどうぞ?」

奥のソファーへ案内されると、ラーサティアは案内されるままソファーに腰掛け俺はその隣に座る。
何点か話をして、店員がいくつかの茶葉を持ってくると小さなカップに紅茶を注いだ。
立ち上るのはフルーツの香り。
オレンジ、ピーチ、マスカット……それ以外にも色々な香りが混ざっている。
それを嗅いだ瞬間、慣れた吐き気が込み上げてくる。
口許を押さえた俺にナーサティアが気付き、店員に手洗いを聞いてくれ俺は立ち上がると其処へと向かった。

「……っは」

ぱたりぱたりと花を吐いて、まだ完治していなかったことに気付いた。

「ニクス……様、大丈夫ですか」

背後から声が掛かって振り替えるとラーサティアが心配そうに立っていた。

「これをお使いください」

握りしめていたハンカチを差し出してきて俺はそれを受け取った。
水で口を濯いでから、ハンカチで口を拭う。

「洗って返す」

ラーサティアのハンカチをポケットにしまうと無意識に息を吐いていた。
何故治らないのだろうか……やはり、仮定はあくまでも仮定であり治ることはないのかもしれない。

「……ニクス様、戻ったらお願い事があります……」
「此処では言えないことか?」

ふらふらと危なっかしい足取りで近付いてきたラーサティアを抱き寄せてから問いかける。
お願い事など珍しいなと思いながら、頷いたラーサティアの背中を軽く叩いた。

「いくつか茶葉と、果物を買ってから帰ろう」
「はい」
「気に入る茶葉がありそうか?ミルクと合わせるならそれも考慮しないとな」
「オレンジかピーチで悩んでいます」
「悩むなら両方少しずつ頼んでもいい。サティが飲むものだし、俺もサティが好きなものを知りたいからな?ゆっくりテイスティングして決めて構わない」
「ありがとうございます」

戻ろうかとラーサティアを促し、先程のソファーに戻る。
ラーサティアがお茶に入れる蜂蜜も買わなければならないなと提案していると、店員が蜂蜜の専門店を教えてくれ、おすすめの蜂蜜を教えてくれた。
ラーサティアはたくさんある紅茶の中から2種類を購入すると缶の中にたっぷりと詰めて貰い、可愛らしい紙袋に入れて貰うと次の店へと向かうのだった
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