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18話

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「ニクス様、最後まで交わらなければダメだと思うのですが」
「まっ……」
その、綺麗な顔で何て事を言うのだと、開いた口が塞がらない。
これは、本当にラーサティアなのだろうか。
「すみません、ニクス様の心の準備もありますでしょうから、今夜は一旦帰ります……また後日お声を掛けて下さると嬉しいです」
腰を上げたラーサティアを無意識に掴んでしまう。
困ることを言われたのにだ。
「いや、悪い……作法を知らんのだ……騎士団に入るときに知識としては、わかっている……が、こんな俺を好きになってくれる人間がいるとは思わなかったからな」
掴んでしまった腕を離すと、ラーサティアはすとんとまた隣へと座り直してくれた。
「ニクス様、私は王族の端くれですからその辺りの作法も習ってはおりますので、心配はなさらないでいただけると」
作法等と言うラーサティアに頭を抱えそうになるが、その辺りは一般とは少し違うのかもしれない。
「ニクス様、私も経験はありませんからふたりで少しずつ学んでいくのはいかがでしょうか」
そう微笑まれてしまうと、何も言えなくなってしまった。
「そう、だな……よろしく頼む」
それ以外の答えがあっただろうか。
「はい」
花が咲き綻ぶという単語はラーサティアには似つかわしくない。
もう既に満開の大輪の花だろう。
「あの、ニクスさま?」
ラーサティアの戸惑うような声に我にかえると腕の中にラーサティアがいた。
無意識に抱き締めてしまっていたらしい。
「悪い」
「いえ、少しだけ力を弛めていただけますか?ニクスさまに抱き締められるのは包まれているようで嬉しいですが……少し苦しくて」
身体を預けてくるラーサティアの手が少し震えていた。
緊張からだろうか。
「なら、慣れるまでこうしているか?だが、あまり遅くなると同室の者に不信がられるだろうか」
騎士になると与えられる部屋はふたり部屋。
恋人と同室になるのならば、それは少し羨ましくもある。
「それは、大丈夫かと思いますが、ニクスさまがお嫌でなければこちらのお部屋にお泊まりしたい……ので、シャワーを浴びて着替えて参ります」
「それは構わないが」
「では、少し戻って参ります、ゆっくりニクスさまとゆっくりお話ができるのは嬉しいですから」
そっと触れるだけのキスをラーサティアからされると、その身体が離れていった。
「何かお食事も一緒にお持ちしますね?」
そう言われると、急に空腹を感じた。
「食事は俺が行ってこよう。その方がゆっくりとできるだろう?」
「では、行って参ります」
立ち上がったラーサティアを下から見上げるような形になるが、どの角度から見ても美形は美形なのだなと変なとことに感心してしまった。
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