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13話
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「は……ぁ」
こみ上げてきた花を一頻り吐いて落ち着くと、口を拭う。
花を吐く事に最近は随分と慣れてしまった。
それにしても、先程のラーサティアは随分と剣の腕が上達していた。
王族であるから、それなりの手解きはされているだろうが騎士団に来たときはやはり本業である騎士団の剣技には劣っていたのだ。
それが、やはり努力家なのだろう、いくら新人だとしてもそれなりの強さにはなっていた。
また、その剣を振るう姿も美しい。
きっと剣舞を舞わせたら誰もが見惚れる美しさだろう。
騎士団に毎年王族と一緒に殉職をした仲間の御霊を鎮めるための式典がある。
そこで数名が剣舞を行うのだ。
自分も若いときにはそれを舞った記憶があるし、今も教えるために舞う事はできる。
いくつか舞う種類があるが、この体躯のため似合わない舞いもあったのだ。
きっとそれはラーサティアに似合うだろう。
もしラーサティアがやる気があるのであれば、推薦をしてみてもいいと思った瞬間、また吐き気がこみ上げてきた。
どうして。
1度吐いてしまえば大概は良くなったのに。
口から出たのは先程とは違う大ぶりの白い花だった。
その花弁には一筋金色の線がはしる珍しいもの。
「……悪化しているのだろうか」
考えたくないが、そう呟いて息を吐く。
「まさか、俺がラーサティアの事を好きだからか?」
以前言われた想い人を思うと花を吐くと言うことを思い出して口許に自嘲の笑みがのぼる。
そんなこと、あるはずがない。
確かに彼は愛らしくも美しいが、騎士であり王族でもあるのだ。
自分とは違う。
それに、ラーサティアには想い人がいるのだろう。
以前夜に遠目で見たその相手がそうなのかもしれない。
自分の気持ちがわかっていないのに、相手をどうすることもできない。
先ずは、自分の気持ちに向き合ってみなければならないだろう。
ラーサティアを好きだと思っているのは気の迷いかもしれないのだから。
考えなければならないなと唇を拭い、花を片付けると部屋に向かおうと歩き出す。
その姿を誰かが見ていることをニクスは気付いていなかった。
こみ上げてきた花を一頻り吐いて落ち着くと、口を拭う。
花を吐く事に最近は随分と慣れてしまった。
それにしても、先程のラーサティアは随分と剣の腕が上達していた。
王族であるから、それなりの手解きはされているだろうが騎士団に来たときはやはり本業である騎士団の剣技には劣っていたのだ。
それが、やはり努力家なのだろう、いくら新人だとしてもそれなりの強さにはなっていた。
また、その剣を振るう姿も美しい。
きっと剣舞を舞わせたら誰もが見惚れる美しさだろう。
騎士団に毎年王族と一緒に殉職をした仲間の御霊を鎮めるための式典がある。
そこで数名が剣舞を行うのだ。
自分も若いときにはそれを舞った記憶があるし、今も教えるために舞う事はできる。
いくつか舞う種類があるが、この体躯のため似合わない舞いもあったのだ。
きっとそれはラーサティアに似合うだろう。
もしラーサティアがやる気があるのであれば、推薦をしてみてもいいと思った瞬間、また吐き気がこみ上げてきた。
どうして。
1度吐いてしまえば大概は良くなったのに。
口から出たのは先程とは違う大ぶりの白い花だった。
その花弁には一筋金色の線がはしる珍しいもの。
「……悪化しているのだろうか」
考えたくないが、そう呟いて息を吐く。
「まさか、俺がラーサティアの事を好きだからか?」
以前言われた想い人を思うと花を吐くと言うことを思い出して口許に自嘲の笑みがのぼる。
そんなこと、あるはずがない。
確かに彼は愛らしくも美しいが、騎士であり王族でもあるのだ。
自分とは違う。
それに、ラーサティアには想い人がいるのだろう。
以前夜に遠目で見たその相手がそうなのかもしれない。
自分の気持ちがわかっていないのに、相手をどうすることもできない。
先ずは、自分の気持ちに向き合ってみなければならないだろう。
ラーサティアを好きだと思っているのは気の迷いかもしれないのだから。
考えなければならないなと唇を拭い、花を片付けると部屋に向かおうと歩き出す。
その姿を誰かが見ていることをニクスは気付いていなかった。
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