【BL】空と水の交わる場所~ゲーム世界で竜騎士になりました。

梅花

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9章 これから

9-9 ★

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3日間の宴が終わり、セラフィリーアは窓辺の椅子に腰掛けていた。
宴が終わったと同時に婚姻が発表され、その準備に国を上げてとりかかる幸せムードだった。
婚姻の義は1年後。
ただ、実質セラフィリーアを皇后とする旨を発表したアイヴィスに、セラフィリーア驚いてしまったが
近しい周囲は聞かされていたらしく騒ぎにもならずにいた。

どうやって宴から帰ってきたのかがわからない。
ドレスを脱いで湯あみをして着替えさせられる。
アスランがいれてくれたハーブティーも味がわからなかった。
震える指先は緊張からだ。
一人になるとあれこれ考えてしまう。
本当にアイヴィスは自分でいいのかと。
開け放った窓からは気持ちよい風か入ってくる。

「セラ、待たせた」

静かに入ってきたアイヴィス。
ふわりと香るコロンに胸が痛くなる。

「お疲れ様でした」

立ち上がると、お茶をいれてもらおうとベルに手を伸ばしたのをアイヴィスにやんわりと止められる。

「悪い…セラ…余裕がない」

少し掠れたアイヴィスの声と包まれた体温に腰が砕けそうになった。
やることはわかっている。
けれど、歓喜と恐怖が襲ってきて身体が上手く動かない。

「はい…アイヴィス様…」

寝台へと案内しなければならないのに、足が動かないのだ。

「セラ、抱いて行っても?」

「はい…」

強い力で抱き上げられると隣の部屋に移される。
今夜の為にと侍従達が整えてくれた寝室。
優しくも甘やかな香りのフレグランス。

「アイヴィス様…この部屋を使ってしまって良かったのでしょうか」

軟らかな寝台に横たえられるとセラフィリーアは呟く。
この部屋は皇帝とその妃の為の寝室。
豪奢な作りの寝台にかけられた天蓋は絵画のような刺繍がされていた。

「勿論だ。セラ以外と使うつもりはない」

アイヴィスが体重を掛けても軋むことすらしない寝台はふわりと沈むだけでセラフィリーアはぼんやりとアイヴィスを見上げる。

「嬉しいですアイヴィス様…」

耳朶に嵌められた耳飾りに触れてそっとそれに口吻けを贈る。
それと同じことを返された。

「アイヴィス様…こんなこと初めてなので…上手くできなかったらすみません…」

「えぇ、私も舞い上がってしまっていて抑えがきくか」

「ふふ、構いません…アイヴィス様になら何をされても」

手を伸ばすとしっとりとしたアイヴィスの肌に触れた。
いつもの肌より少し熱く感じるのはセラフィリーアの気のせいだろうか。

「セラ…」

名前を呼ばれて顎を上げられるとそっとセラフィリーアは目を閉じる。
今まで何度かしてきたことのある唇での口吻。
少し乾いたアイヴィスの唇が触れてから何度も啄むようにしてそれから軟らかい舌がセラフィリーアの唇を撫でた。

「んぅ」

驚きに目を開くと、そこには細められたアイヴィスの瞳。
優しげに細められたその瞳はゆらりと揺れている。
セラフィリーアも、ちろりと舌を出してちょんとアイヴィスの舌に舌先を触れさせるとそのまま押されるようにして舌が絡め取られた。
するりと引かれた夜着の腰紐。
柔肌の上に纏うだけのそれはセラフィリーアの全身を直ぐにさらけ出させる。
下から現れたのはアスランとリオルと3人で選んだ薄い水色のベビードール。
セラフィリーアの身体を飾るようにたっぷりのレースが使われていた。
胸の下のリボンを外せば簡単に脱げてしまう
小さな下履きだけになってしまうと、セラフィリーアはそっとアイヴィスの夜着の腰紐に手を掛ける

「私だけでは…恥ずかしいです」
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