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9章 これから
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「お待たせしました…」
シャーリングの入ったシャツにリボンタイ、ベストにトラウザーズという商家のお坊ちゃん風の格好にあまり目立たない飴色のウィッグ。
ハワードと一緒に確認したから変なところは無い筈だ。
「大丈夫だ」
そう言って待っていたアイヴィスは、いつぞやの紺のウィッグにシャツにロングジレ。
どちらかというと、セラフィリーアのお付きに見えなくもない質素な佇まいだ。
「おう、その姿も面白いな」
ひらひらと手を振ったのはルシウス。
いつの間に来ていたのだろうか。
ルシウスもシャツにトラウザーズという軽装だが、腰には長刀を履いている。
ちなみに、髪色は銀。
雇われ護衛の風体だが、いかんせん二人ともかなりのイケメンなのだ。
二人に挟まれるとかなり圧迫感があるだろう。
「あ、アイヴィス様、失礼な事をお聞きしますが…アルトリアには近衛騎士団みたいなものはないのでしょうか」
ふと、ルシウスが付くということは、ルシウスは職務中だと言うこと。
それに今までを思い出すと護衛と言うと、何故か飛竜騎士がつくことが多い気がした。
「飛竜騎士が近衛騎士を兼ねるな…見映えも必要だし…そもそも飛竜最強だろ?」
くくっと笑うルシウスに、それはそうだと頷く。
確かに。ある意味近衛騎士が束になるよりルディアスがいるだけで、アイヴィスは充分だろう。
それだけ飛竜の力は強い。
普段、どんなに穏やかでも、そこはやはり竜なのだ。
騎士も、飛竜に選ばれた騎士は大概が見目が麗しい。
「納得しました」
「ではセラ行こうか」
アイヴィスの合図を受けて3人はゆっくりと王宮を人目につかないように移動し、王族に伝わる秘密の脱出口より貴族街の一画にでると、少し歩けば綺麗な街並みが見える。
スタンピードで焼かれる事もなく、無事だった美しい街並み。
石畳が小気味良い音をさせる。
「わぁ、綺麗ですね…あまりこうして見たことがなくて」
「祭りだからな、飾り立てていることもあるし、人手も多い。はぐれないようにな?」
「まぁ、はぐれても騎士団がうろうろしているから脇道に連れ込まれなきゃ大丈夫だろ」
のほほんと言うルシウスだが、辺りを見る目付きは鋭い。
ついつい気安く接してしまうがルシウスはセラフィリーアと違い生粋の武人なのだ。
アイヴィスも、戦闘力は高い。
「気を付けます」
「折角だから手を繋ごうかセラ」
差し出された手にそっと手を乗せる。
「はいはい、あんまり浮かれすぎるなよ?」
ルシウスの忠告に苦笑をするとともにセラフィリーアは表情を引き締めた。
シャーリングの入ったシャツにリボンタイ、ベストにトラウザーズという商家のお坊ちゃん風の格好にあまり目立たない飴色のウィッグ。
ハワードと一緒に確認したから変なところは無い筈だ。
「大丈夫だ」
そう言って待っていたアイヴィスは、いつぞやの紺のウィッグにシャツにロングジレ。
どちらかというと、セラフィリーアのお付きに見えなくもない質素な佇まいだ。
「おう、その姿も面白いな」
ひらひらと手を振ったのはルシウス。
いつの間に来ていたのだろうか。
ルシウスもシャツにトラウザーズという軽装だが、腰には長刀を履いている。
ちなみに、髪色は銀。
雇われ護衛の風体だが、いかんせん二人ともかなりのイケメンなのだ。
二人に挟まれるとかなり圧迫感があるだろう。
「あ、アイヴィス様、失礼な事をお聞きしますが…アルトリアには近衛騎士団みたいなものはないのでしょうか」
ふと、ルシウスが付くということは、ルシウスは職務中だと言うこと。
それに今までを思い出すと護衛と言うと、何故か飛竜騎士がつくことが多い気がした。
「飛竜騎士が近衛騎士を兼ねるな…見映えも必要だし…そもそも飛竜最強だろ?」
くくっと笑うルシウスに、それはそうだと頷く。
確かに。ある意味近衛騎士が束になるよりルディアスがいるだけで、アイヴィスは充分だろう。
それだけ飛竜の力は強い。
普段、どんなに穏やかでも、そこはやはり竜なのだ。
騎士も、飛竜に選ばれた騎士は大概が見目が麗しい。
「納得しました」
「ではセラ行こうか」
アイヴィスの合図を受けて3人はゆっくりと王宮を人目につかないように移動し、王族に伝わる秘密の脱出口より貴族街の一画にでると、少し歩けば綺麗な街並みが見える。
スタンピードで焼かれる事もなく、無事だった美しい街並み。
石畳が小気味良い音をさせる。
「わぁ、綺麗ですね…あまりこうして見たことがなくて」
「祭りだからな、飾り立てていることもあるし、人手も多い。はぐれないようにな?」
「まぁ、はぐれても騎士団がうろうろしているから脇道に連れ込まれなきゃ大丈夫だろ」
のほほんと言うルシウスだが、辺りを見る目付きは鋭い。
ついつい気安く接してしまうがルシウスはセラフィリーアと違い生粋の武人なのだ。
アイヴィスも、戦闘力は高い。
「気を付けます」
「折角だから手を繋ごうかセラ」
差し出された手にそっと手を乗せる。
「はいはい、あんまり浮かれすぎるなよ?」
ルシウスの忠告に苦笑をするとともにセラフィリーアは表情を引き締めた。
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