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8章 命
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リヴァイアサンの上顎に刺さった矢。
口を閉じることができなくなったリヴァイアサンは何がおこったのかわからずに混乱したようにただただ閉じない口を動かしていたが、どうにもならないとわかると、いっそう口を開く。
ヤバいと思った瞬間、自分に向かって放たれたドラゴンブレス。
見えていないはずなのに真っ直ぐとブレスが吐き出される。
あぁ、もう駄目だなと思った瞬間、ぐいっと後ろに身体が引っ張られ、倒れかけながら振り向くと、そこには下がった筈のコズミがいた。
何やってるの…危ないっていったでしょう…
気付かなかった自分も相当間抜けだが、言うことを聞かなかったコズミを怒ることもできなくて、セラフィリーアは逃げてと叫ぼうとして目を見開く。
コズミの口から放たれたブレスが、リヴァイアサンのブレスとぶつかるが、体格の差か種族の差か、コズミのブレスだけでは消しきれない。
コズミだけは守りたい。
そうセラフィリーアは願った。
「シュクラ…コズミだけでも助けて…」
無意識のうちに呼んだ名前。
シュクラ…『白と金を冠する私の竜』
その瞬間、辺りは光に包まれる。
暗視スコープごしでは目も開けられないくらいの強い光にセラフィリーアは目を瞑ったまま暗視スコープを外すも、目を開いてから刹那。
次の瞬間には全てが終結していた。
光を纏うコズミの黒い鱗がゆっくり剥がれ落ちて現れたのは白い肢体。
ふるりと身体を震わせた白い飛竜は口を開いてブレスを放つ。
『シュクラ』の放ったブレスはリヴァイアサンの消しきれなかったブレスを消滅させ、さらにはその開いた口の中に2発目のブレスを叩き込むとリヴァイアサンの身体は体内から焼き尽くされ、悲鳴すら上がらないまま消し炭となった。
「えっ…」
どういうこと?
『ママ、誉めて誉めてっ!』
可愛らしい声と、擦り寄ってくる姿。
「シュクラ…?」
『うん…ごめんね…コズミもいるんだけど…』
「そっか…二人ともありがとう…」
黒い姿はコズミ、白い姿はシュクラなのだろう。
二重人格かと思ったけれどそうではないらしい…
詳しくはわからないが、セラフィリーアの中に溢れてきた記憶があり、ずきりとこめかみが痛む。
自分のだけではなく、シュクラやコズミの記憶まで流れ込んでくると痛みの走る頭を抱えて膝をつく。
『ママ!?』
「大丈夫、シュクラ…ごめんね…忘れてて…」
慌てるシュクラの鼻先を撫でてやるも、セラフィリーアは意識を手放した。
口を閉じることができなくなったリヴァイアサンは何がおこったのかわからずに混乱したようにただただ閉じない口を動かしていたが、どうにもならないとわかると、いっそう口を開く。
ヤバいと思った瞬間、自分に向かって放たれたドラゴンブレス。
見えていないはずなのに真っ直ぐとブレスが吐き出される。
あぁ、もう駄目だなと思った瞬間、ぐいっと後ろに身体が引っ張られ、倒れかけながら振り向くと、そこには下がった筈のコズミがいた。
何やってるの…危ないっていったでしょう…
気付かなかった自分も相当間抜けだが、言うことを聞かなかったコズミを怒ることもできなくて、セラフィリーアは逃げてと叫ぼうとして目を見開く。
コズミの口から放たれたブレスが、リヴァイアサンのブレスとぶつかるが、体格の差か種族の差か、コズミのブレスだけでは消しきれない。
コズミだけは守りたい。
そうセラフィリーアは願った。
「シュクラ…コズミだけでも助けて…」
無意識のうちに呼んだ名前。
シュクラ…『白と金を冠する私の竜』
その瞬間、辺りは光に包まれる。
暗視スコープごしでは目も開けられないくらいの強い光にセラフィリーアは目を瞑ったまま暗視スコープを外すも、目を開いてから刹那。
次の瞬間には全てが終結していた。
光を纏うコズミの黒い鱗がゆっくり剥がれ落ちて現れたのは白い肢体。
ふるりと身体を震わせた白い飛竜は口を開いてブレスを放つ。
『シュクラ』の放ったブレスはリヴァイアサンの消しきれなかったブレスを消滅させ、さらにはその開いた口の中に2発目のブレスを叩き込むとリヴァイアサンの身体は体内から焼き尽くされ、悲鳴すら上がらないまま消し炭となった。
「えっ…」
どういうこと?
『ママ、誉めて誉めてっ!』
可愛らしい声と、擦り寄ってくる姿。
「シュクラ…?」
『うん…ごめんね…コズミもいるんだけど…』
「そっか…二人ともありがとう…」
黒い姿はコズミ、白い姿はシュクラなのだろう。
二重人格かと思ったけれどそうではないらしい…
詳しくはわからないが、セラフィリーアの中に溢れてきた記憶があり、ずきりとこめかみが痛む。
自分のだけではなく、シュクラやコズミの記憶まで流れ込んでくると痛みの走る頭を抱えて膝をつく。
『ママ!?』
「大丈夫、シュクラ…ごめんね…忘れてて…」
慌てるシュクラの鼻先を撫でてやるも、セラフィリーアは意識を手放した。
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