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8章 命
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ガアァァ…苦しそうにもがくリヴァイアサン。
目を背けたくなるがそれは許されない。
魔獣の命を奪うこと。
自分たちの命を繋ぐこと。
それは紙一重。
アイヴィスの剣が左翼を切り落とす。
ドウッと地面に翼が落ちて音をたてた。
ルシウスの剣が右翼を切り落とすかに見えたが、少しの角度の違いからだろうか、翼の根本に刺さって引き抜けなくなる。
その痛みにリヴァイアサンは狂ったように身体を波打たせる。
明るければその辺りに見えるのは血溜まりだろう。
「っ!」
ガキンと嫌な音がして、ルシウスの剣が動かなくなる。
「ルシウス離れて!」
リヴァイアサンは痛みに狂いながら、見えない目で攻撃相手を探すように首をもたげて口を開く。
次の瞬間、検討外れの方ではあったが、口からドラゴンブレスが放たれた。
近くの草木が熱で枯れる。
かろうじてルディアスの放ったドラゴンブレスで相殺されたがその熱波は辺りを焦がした。
竜同士の戦いを目の当たりにしたのはセラフィリーアは初めてだった。
人の力では容易に攻撃できない。
『ママ、大丈夫僕が守るから』
擦り寄ってきたコズミを撫でてから弓を構える。
「ありがとう…」
さて、どうしたものか。
下手に刺激をするのが良くはない。
自分の力では致命傷を与えることはできないからだ。
セラフィリーアは弓を構える。
セラフィリーアが狙うことができるのは。
「コズミ…何かあったら危険だからうしろにはいないでね?それと、ルディアスとヤト、イリスに離脱するように伝えて?」
コズミに頼むと、コズミは飛竜の言葉で伝達をする。
じりじりと下がりだした3頭と契約騎士が一定の距離をとると、コズミに話しかける。
「コズミも離れてね?あっちに待機してる騎士団と飛竜達にも防御壁とドラゴンブレスの相殺が必要なときが出てくるかもしれないから、気は抜かないでと伝えて?」
『ん』
じりっとコズミが下がった気配を感じながら、セラフィリーアは番えた矢をリヴァイアサンの眉間に向けて放つ。
続けて鼻先。
硬い鱗に弾かれることもあるが、隙間に刺さる度にリヴァイアサンは声をあげた。
「うん、いいね…こっちだよ」
セラフィリーアの戦術は1つだけ。
リヴァイアサンの口を開かせること。
そのために一方向から攻撃を加えて口を開かせる。
攻撃する方向を示すためだ。
後ろに誰もいないようにと言ったのは、何かあっても大丈夫なように。
何本目かの矢が刺さった後にリヴァイアサンはセラフィリーアに向かって口を開く。
ドラゴンブレス。
「いけ」
ブレスが来る前にと、ギリギリまで矢を引き絞って放つ。
リヴァイアサンの上顎にセラフィリーアの矢が刺さったのをセラフィリーアは確認した。
目を背けたくなるがそれは許されない。
魔獣の命を奪うこと。
自分たちの命を繋ぐこと。
それは紙一重。
アイヴィスの剣が左翼を切り落とす。
ドウッと地面に翼が落ちて音をたてた。
ルシウスの剣が右翼を切り落とすかに見えたが、少しの角度の違いからだろうか、翼の根本に刺さって引き抜けなくなる。
その痛みにリヴァイアサンは狂ったように身体を波打たせる。
明るければその辺りに見えるのは血溜まりだろう。
「っ!」
ガキンと嫌な音がして、ルシウスの剣が動かなくなる。
「ルシウス離れて!」
リヴァイアサンは痛みに狂いながら、見えない目で攻撃相手を探すように首をもたげて口を開く。
次の瞬間、検討外れの方ではあったが、口からドラゴンブレスが放たれた。
近くの草木が熱で枯れる。
かろうじてルディアスの放ったドラゴンブレスで相殺されたがその熱波は辺りを焦がした。
竜同士の戦いを目の当たりにしたのはセラフィリーアは初めてだった。
人の力では容易に攻撃できない。
『ママ、大丈夫僕が守るから』
擦り寄ってきたコズミを撫でてから弓を構える。
「ありがとう…」
さて、どうしたものか。
下手に刺激をするのが良くはない。
自分の力では致命傷を与えることはできないからだ。
セラフィリーアは弓を構える。
セラフィリーアが狙うことができるのは。
「コズミ…何かあったら危険だからうしろにはいないでね?それと、ルディアスとヤト、イリスに離脱するように伝えて?」
コズミに頼むと、コズミは飛竜の言葉で伝達をする。
じりじりと下がりだした3頭と契約騎士が一定の距離をとると、コズミに話しかける。
「コズミも離れてね?あっちに待機してる騎士団と飛竜達にも防御壁とドラゴンブレスの相殺が必要なときが出てくるかもしれないから、気は抜かないでと伝えて?」
『ん』
じりっとコズミが下がった気配を感じながら、セラフィリーアは番えた矢をリヴァイアサンの眉間に向けて放つ。
続けて鼻先。
硬い鱗に弾かれることもあるが、隙間に刺さる度にリヴァイアサンは声をあげた。
「うん、いいね…こっちだよ」
セラフィリーアの戦術は1つだけ。
リヴァイアサンの口を開かせること。
そのために一方向から攻撃を加えて口を開かせる。
攻撃する方向を示すためだ。
後ろに誰もいないようにと言ったのは、何かあっても大丈夫なように。
何本目かの矢が刺さった後にリヴァイアサンはセラフィリーアに向かって口を開く。
ドラゴンブレス。
「いけ」
ブレスが来る前にと、ギリギリまで矢を引き絞って放つ。
リヴァイアサンの上顎にセラフィリーアの矢が刺さったのをセラフィリーアは確認した。
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