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8章 命

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「失礼致します、セラフィリーア参りました」

陣営の天幕の中でひときわ大きな天幕の入口の騎士に声を掛けると中に入るように促される。
入口の騎士に背負っていた弓矢と矢筒を外し手渡すとセラフィリーアは中に入った。
すると其処にはアイヴィス達がいた。
大きなテーブルと椅子が8脚。
アイヴィス以外に各飛竜騎士団副団長と、知らない顔が四人。
各々が騎士団長と騎士団副団長、兵士団長と兵士団副団長とのことだった。

「遅くなりまして申し訳ありません」

「いや、良く来てくれた」

いつもの丁寧な言葉ではなく、王と臣下の会話。

「今、此処にいるのは各師団長だ。これから簡単に作戦の為の会議をする」

「畏まりまして」

セラフィリーアは空いている椅子に腰掛けたが、何故かアイヴィスの隣だった。

「まずは、皆のわかっている情報を纏めたい」

「飛竜騎士団からです。スタンピードはゲートが現れて少しずつ開きを見せています。
小さな魔獣は現れたら迎撃を始めていますが、現れる数が少しずつ増えているようです」

「兵士団です、歩兵が漸く城門を出ました。此処に到着するまでは一刻、休息を挟めば戦闘参加が可能かと」

「騎士団も、騎馬はほぼ到着済みで、出撃可能です」

各々の報告を聞くとアイヴィスが頷いた。

「今回のスタンピードについて、予測をしたのはセラフィリーア副騎士団長だ。おおよその時期を予測してくれたため、兵の増強等が事前にできた。国を代表してまずは感謝を伝えたい」

「いえ、当然のことです」

…アイヴィス様、俺を副騎士団長って言ったよな…間違ってるよ…俺、騎士じゃないぞ?
首を傾げながらもあえて訂正せずに話を聞く。

「兵士団の最後が城門を出たことで、この後にアルトリアの城を中心に防御壁を展開する。
また、スタンピードへの攻撃は飛竜騎士団を中心に行い、取りこぼした大小の魔獣の迎撃を騎士団や兵士団で担う。
各団はそれぞれ3部隊に編成を組み迎撃にあたって貰いたい。セラフィリーア副団長の予測によると、7日凌げばゲートは無くなるとのこと。
過去の記述を見れば確かにその通りだ。
また、スタンピードで魔獣の殲滅を終えた場合もゲートは閉じるようだ」

「アイヴィス陛下、1つお願いを」

セラフィリーアは悩んだ末に手を上げる。

「3部隊を4部隊に編成していただけますでしょうか。恐らく3部隊にするのは、朝昼夜の交代をするためかと思われますが、それですと夜の担当に不満が出るでしょう。
ですので4部隊あれば担当時間に不満がなくなるかと。また、もし負傷者が出た場合も補充がしやすいかと
長丁場になりますので、無理をするのが一番問題です。
食事と睡眠が十分にと言うのは無理ですができるだけとることができるようにお願いいたします」

「わかった、各団は編成をしなおすように」

アイヴィスの言葉で各々が動き始める。
もう少しだけ余裕はありそうだ。

「それと、可能性はわかりませんが、小型魔獣が多い場合は天災級の大型魔獣の出現が考えられます…その際は飛竜全頭の一斉攻撃が必要になるかと思われます」

どのくらいで小型魔獣を殲滅できるたろうか…セラフィリーアはアイヴィスをじっと見詰めていた。
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