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8章 命
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高い場所が怖いなど言ってられない。
手綱を握る手に嫌な汗をかく。
できるだけ下を見ないようにしながらセラフィリーアは馬を操る。
「セラフィリーア様、相乗りをしますか?」
ネイトの申し出に頭を振ると、大丈夫と無理矢理笑みを作る。
「ありがとうございます、お気遣いなく。
それよりも、早く現地に向かわないと…私に合わせるようなかたちになり申し訳ありません」
「いえ、では行きましょうか」
ネイトと一緒に城内を駆ける。
人々は窓を閉ざし、道を行くのは騎士や兵士。
列を成しているのを追い抜いて行く。
頭上にはネイトの飛竜が飛んでいた。
城門を抜けて開けた視界の端に黒い点が見える。
「セラフィリーア様、あちらです」
ネイトが指したのは騎士達が作った陣営。
此処を拠点にスタンピードを迎え撃つ。
「兵士達が全員城門を出たら王都は結界に包まれます。それを解除できるのはアイヴィス様だけとなっておりますので」
「それが一番ですね。本当はアイヴィス様には城に残っていていただきたいですが…無理でしょうね」
残してきた人は大丈夫ですよと、城を振り返ったセラフィリーアに笑う。
アイヴィスに何かあったら跡継ぎがいない。
それは、アイヴィスに何かあれば国の根幹が揺らぐことになる。
だが、何故か正妃だけでなく側妃すらいないのだ。
他国の人間であるセラフィリーアが心配する事ではないが…チクリと胸がなぜか痛んだ。
騎士団の陣営に入ると、ネイトの飛竜が降りてくる。
ネイトは、ちょっと行ってきますと馬から降りてその飛竜に一人で手際よく鞍を掛けると一気に空に上がった。
やはりセラフィリーアの警護の為の行動だったのだろう。
セラフィリーアも馬から降りると一旦休憩の為に馬を繋ごうと歩き出す。
ネイトの馬は頭が良い子でセラフィリーアの後をカポカポと着いてきていた。
「おっ!こんなところにいたか、悪いアイヴィスが探しているから来てくれ」
馬を繋いだ先で声をかけてきたのはルシウスだった。
「はい、どうかされましたか?」
「話は天幕の中でだ」
「わかりました、行きます」
馬達に少しの飼い葉と水を置いて立ち上がるとセラフィリーアは天幕に向かっていく。
ざわざわした空気。
始まるスタンピードにセラフィリーアは憂鬱に目を伏せた。
手綱を握る手に嫌な汗をかく。
できるだけ下を見ないようにしながらセラフィリーアは馬を操る。
「セラフィリーア様、相乗りをしますか?」
ネイトの申し出に頭を振ると、大丈夫と無理矢理笑みを作る。
「ありがとうございます、お気遣いなく。
それよりも、早く現地に向かわないと…私に合わせるようなかたちになり申し訳ありません」
「いえ、では行きましょうか」
ネイトと一緒に城内を駆ける。
人々は窓を閉ざし、道を行くのは騎士や兵士。
列を成しているのを追い抜いて行く。
頭上にはネイトの飛竜が飛んでいた。
城門を抜けて開けた視界の端に黒い点が見える。
「セラフィリーア様、あちらです」
ネイトが指したのは騎士達が作った陣営。
此処を拠点にスタンピードを迎え撃つ。
「兵士達が全員城門を出たら王都は結界に包まれます。それを解除できるのはアイヴィス様だけとなっておりますので」
「それが一番ですね。本当はアイヴィス様には城に残っていていただきたいですが…無理でしょうね」
残してきた人は大丈夫ですよと、城を振り返ったセラフィリーアに笑う。
アイヴィスに何かあったら跡継ぎがいない。
それは、アイヴィスに何かあれば国の根幹が揺らぐことになる。
だが、何故か正妃だけでなく側妃すらいないのだ。
他国の人間であるセラフィリーアが心配する事ではないが…チクリと胸がなぜか痛んだ。
騎士団の陣営に入ると、ネイトの飛竜が降りてくる。
ネイトは、ちょっと行ってきますと馬から降りてその飛竜に一人で手際よく鞍を掛けると一気に空に上がった。
やはりセラフィリーアの警護の為の行動だったのだろう。
セラフィリーアも馬から降りると一旦休憩の為に馬を繋ごうと歩き出す。
ネイトの馬は頭が良い子でセラフィリーアの後をカポカポと着いてきていた。
「おっ!こんなところにいたか、悪いアイヴィスが探しているから来てくれ」
馬を繋いだ先で声をかけてきたのはルシウスだった。
「はい、どうかされましたか?」
「話は天幕の中でだ」
「わかりました、行きます」
馬達に少しの飼い葉と水を置いて立ち上がるとセラフィリーアは天幕に向かっていく。
ざわざわした空気。
始まるスタンピードにセラフィリーアは憂鬱に目を伏せた。
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