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3章 騎士団に
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「ふぅ…」
夜風が気持ちいい。
シュクラが眠ったままでいるため、食事と湯あみを済ませ、夕闇が空を覆う頃、そっと部屋を出た。
明るい時間には見たことがあるが、暗くなってからはなかなか室外に出たことは無かったため、この離宮に来て夜の散歩は初めてだ。
ちょっと歩くだけのつもりが、騎士様一人がそっと後を着いてくる。
申し訳ないなと思いながら軽く頭を下げると、道の両脇に並べられた光る石を便りに歩く。
建物から建物へ続く道を浮かび上がらせるそれは、イルミネーションのようだなと思いながら少し懐かしさを感じていた。
「セラ?」
かかった声に足を止める。
この少し低い声は
「アイヴィス様?」
ゆっくり辺りを見回すと、ちらりとカンテラの明かりらしきものが見えた。
そちらへ向かいながら、なぜこんな場所にいるのだろうかと気になった。
「どうか、されましたか?」
「いや、少し時間ができて…直ぐに帰るつもりだったのですが」
普段よりは近付かないと、その顔は見えないが、その恵まれた体躯や、穏やかな話し方などアイヴィス以外にはなく、そもそもこの離宮に来れるのは限られた人物なのだ。
「お食事は?」
「軽く済ませてきた…よかったらこれを」
アイヴィスが差し出してきたのは小さな包み。
触ると中にはいくつもの丸くコロコロしたものが入っているのを感じた。
「ありがとうございます。何だろ…アイヴィス様、お時間があればお茶でもいかがですか?
あ、まだ騎士服でいらっしゃいます?」
暗さになれてきた目が金色の飾帯に気付き、夕飯もゆっくりとは食べてないのだろうとなんとなく感じた。
日中にあったことはイレギュラーでも、色々と大変だっただろう。
「あぁ、着替えてくれば良かったが…」
「アイヴィス様、宮に連絡を取りますから、こちらで湯と着替えをされますか?たまには気分転換も良いかもしれませんから」
そっとアイヴィスの手を掴んで、宮の中に招き入れる。
あまり来たことがないだろう離宮だったが、アイヴィスは慣れた足取りで中に入る。
「この離宮は、昔、私が母と生活をしていた離宮だ…調度は変えたが…やはり懐かしいな」
足を踏み入れた瞬間、アイヴィスが呟く。
そんな場所に自分を受け入れてくれたのかと思うと感謝しかない。
シュクラも大切にしてくれる。
優しいのだ。
だが、優しいだけでは国王ではいられない。
自分の知らない顔を持っているのだろうけれど…
疲れたり気が張っていたりするのはしかたないが、少しでもリラックスしてくれる場になりたいと思った。
「アイヴィス様、先に湯あみをどうぞ?着替えを持ってきてもらいます。他に何か必要なものがありますか?」
話し声に気付き顔を出したアスランに、王宮に行ってハワードに頼んでアイヴィスの着替えを一式持ってきてもらうよう伝えた。
「アイヴィス様、さ、背中を流しますから脱ぎましょうか」
自分の髪を軽く纏めてから薄着になり、腕捲りをして浴室に向かう。
掛け流しのお湯がたっぷりした風呂のため、いつでも綺麗なので、アイヴィスが使っても大丈夫だろう。
うん。
他人と風呂なんて、かなり久し振りだ。
**********
次回、アイヴィスとの軽いお風呂シーンが出てきます。
苦手な方は回れ右をしてください!
いや、一緒には入りませんが。
夜風が気持ちいい。
シュクラが眠ったままでいるため、食事と湯あみを済ませ、夕闇が空を覆う頃、そっと部屋を出た。
明るい時間には見たことがあるが、暗くなってからはなかなか室外に出たことは無かったため、この離宮に来て夜の散歩は初めてだ。
ちょっと歩くだけのつもりが、騎士様一人がそっと後を着いてくる。
申し訳ないなと思いながら軽く頭を下げると、道の両脇に並べられた光る石を便りに歩く。
建物から建物へ続く道を浮かび上がらせるそれは、イルミネーションのようだなと思いながら少し懐かしさを感じていた。
「セラ?」
かかった声に足を止める。
この少し低い声は
「アイヴィス様?」
ゆっくり辺りを見回すと、ちらりとカンテラの明かりらしきものが見えた。
そちらへ向かいながら、なぜこんな場所にいるのだろうかと気になった。
「どうか、されましたか?」
「いや、少し時間ができて…直ぐに帰るつもりだったのですが」
普段よりは近付かないと、その顔は見えないが、その恵まれた体躯や、穏やかな話し方などアイヴィス以外にはなく、そもそもこの離宮に来れるのは限られた人物なのだ。
「お食事は?」
「軽く済ませてきた…よかったらこれを」
アイヴィスが差し出してきたのは小さな包み。
触ると中にはいくつもの丸くコロコロしたものが入っているのを感じた。
「ありがとうございます。何だろ…アイヴィス様、お時間があればお茶でもいかがですか?
あ、まだ騎士服でいらっしゃいます?」
暗さになれてきた目が金色の飾帯に気付き、夕飯もゆっくりとは食べてないのだろうとなんとなく感じた。
日中にあったことはイレギュラーでも、色々と大変だっただろう。
「あぁ、着替えてくれば良かったが…」
「アイヴィス様、宮に連絡を取りますから、こちらで湯と着替えをされますか?たまには気分転換も良いかもしれませんから」
そっとアイヴィスの手を掴んで、宮の中に招き入れる。
あまり来たことがないだろう離宮だったが、アイヴィスは慣れた足取りで中に入る。
「この離宮は、昔、私が母と生活をしていた離宮だ…調度は変えたが…やはり懐かしいな」
足を踏み入れた瞬間、アイヴィスが呟く。
そんな場所に自分を受け入れてくれたのかと思うと感謝しかない。
シュクラも大切にしてくれる。
優しいのだ。
だが、優しいだけでは国王ではいられない。
自分の知らない顔を持っているのだろうけれど…
疲れたり気が張っていたりするのはしかたないが、少しでもリラックスしてくれる場になりたいと思った。
「アイヴィス様、先に湯あみをどうぞ?着替えを持ってきてもらいます。他に何か必要なものがありますか?」
話し声に気付き顔を出したアスランに、王宮に行ってハワードに頼んでアイヴィスの着替えを一式持ってきてもらうよう伝えた。
「アイヴィス様、さ、背中を流しますから脱ぎましょうか」
自分の髪を軽く纏めてから薄着になり、腕捲りをして浴室に向かう。
掛け流しのお湯がたっぷりした風呂のため、いつでも綺麗なので、アイヴィスが使っても大丈夫だろう。
うん。
他人と風呂なんて、かなり久し振りだ。
**********
次回、アイヴィスとの軽いお風呂シーンが出てきます。
苦手な方は回れ右をしてください!
いや、一緒には入りませんが。
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