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3章 騎士団に

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「うわっ!だ、大丈夫シュクラ!!」


ぽてんと地面に落ちてから、慌てたのは人間だけで、当の本人はキャッキャッと嬉しそうにしている。
痛くはないようだ。
それにホッとすると、今度はヨチヨチと歩き出そうとしている。
だ、大丈夫なのかな。


「大丈夫、ルディアスが見ていてくれるそうだ」


うしろから掛かった声に振り向くと、大丈夫だとアイヴィスが笑っていた。


「少しくらいじゃ怪我などしませんよ?うちのサーシャもそうでしたが、結構活発に動き回りますから。
ただ、シュクラ様は少し早いですね…ほかの幼竜をあまりしりませんが…さぁ、お二方座って軽食にしましょう?」


カラクの促しに四阿に入るとアイヴィスが椅子を引いてくれる。


「団長、それは場目だわ。
セラフィリーア副団長は今は騎士なんたからさ?」


目ざとく口にしたのはルシウスで、アイヴィスもどうやら無意識だったようだ。
悪いと誰に謝ったのかはわからなかったが、せっかく引いてくれた椅子にセラフィリーアは腰掛ける。
アイヴィスがカップに口をつけるのを待ってから、置かれた焼き菓子を取り分けた。
甘味は、アイヴィス陛下は少しだけ、ネイトは普通に、ルシウスは全く食べずにカラクとセラフィリーアは好き。
飛竜の卵が選ぶのは甘いものが好きな騎士なのかと笑いながらも、今後の話し合いを繰り返しながら、セラフィリーアは軍師ポジションにと言うことで収まった。
陛下がルディアスを通じて全ての飛竜に伝達をしてくれて、飛竜から契約者に話が行く。
素早い伝達にぽかんとしながら、セラフィリーアはクッキーを1枚口にした。


「便利だな…飛竜」


心の声が漏れてしまう。
その声に周りが固まる。


「なぁ、セラフィリーア副団長?それが素?」


ルシウスが問いかける。何の事かと首をかしげると、言葉遣いだと、ルシウスが自分の唇をちょんちょんと触る。


「え、あー…はい。公の場では気を付けていますが、つい何かあると言葉が崩れてしまって…すみません」

「いや、セラフィリーア副団長は…」

「あ、呼びづらいでしょう?セラで構いませんよ?」

好きなキャラから取った名前だし、イケメンボイスにフルネームで呼ばれるのは時々するが、愛称で呼ばれるのも好きだから。
で、やっぱりこの中だと一番好みの声は陛下だったりする。
ゲームしている最中は声は聞こえないから、こうしていると違うんだよなぁなんて思ってしまう。
それ以外の三人も、騎士をしているからか、声は良く通るし聞きやすい。

「あー…セラ副団長?は、王子様…だろ?」

「え、あ…一応?それでも5人兄弟の一番下ですから結構自由に育てられましたから…」

「うーん…いいんだけどな、騎士団の中では素でいいとおもうぜ?なぁ?」

「ルシウスは砕けすぎだ」

カラクの呟きにアイヴィスが確かになと乗る。
ひでぇと笑ったルシウスに今度はネイトがちゃちゃを入れる。
楽しそうに会話をしながら打ち合わせを終えると、緊張が解けているのがわかる。

「ネイト、セラに騎士団宿舎などの案内をしてやってくれ。今まであまり中までは入っていないだろうから。
警備がしっかりしていれば宿泊もできるようになるが、まだ部屋が整わないからな…」

「わかりました、セラ副団長、お茶をいただいてしまったら行きましょうか。シュクラ様は…ルディアス様にお願いしてくださいますね?団長?」

「あぁ、伝えておく」


ネイトがお茶を飲み干すのを見ながら慌ててセラフィリーアもカップを空けた。


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