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2章 幼竜との出逢い
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セラフィリーアが建物の外に出ると、飛竜達だけでなく騎士達の視線も集まり、ざわめきが走り抜けるのがわかった。
ピイピイ鳴くシュクラが、鳴き止むと、次にはふんふんと鼻を鳴らして空気を吸う。
クルルと、頭上で鳴いたのはルディアスだった。
シュクラから片手を離し上に上げると、ルディアスはちょんと器用にその顎を乗せる。
『ありがとうセラ、シュクラは我が伴侶だ』
「えぇっ!ちょっ、ディア伴侶ってまだシュクラは産まれたばか…」
ルディアスを見上げていると、ざわざわとしていた周りが凪いだように静かになっていた。
「あれ…陛下?」
どうしたのかとアイヴィスを見ると、アイヴィスも苦笑を浮かべていた。
あれ、俺、何かしちゃった?
「めでたい事に、セラフィリーア王子が飛竜の契約者となった。
産まれたのは今までも文献にも乗ったことのない白い飛竜だ。
それにまだ幼くもあり、ルディアスの言によれば、ルディアスの伴侶となる個体のようだ
そうなれば、アルトリアが全力で護らねばならない。
皆も心しておけ」
静まり返った平原。
それがややあって揺れるような歓喜に沸いた。
『セラ、良く見せてくれ…』
ルディアスが前肢を差し出すと、セラフィリーアはそこにそっとシュクラを置く。ルディアスなら傷付けないとわかっているからだ。
それに、ルディアスが幸せそうで、それも嬉しかった。
ルディアスの腕の中でコロンとしていたシュクラだったが、少しの間があってから、叫ぶように鳴き始める。
「うわ、シュクラ!ごめんディアちょっと借りるね?」
かなりの、音量に驚き、何があったのだろうとルディアスからシュクラを受けとると、その鳴き声が止んでクルクルと嬉しそうに喉を鳴らす。
「シュクラ、どうしたの?ルディアスだよ?シュクラの旦那様になる立派な竜だから、泣かないでね?
大丈夫みたい、はい、ディア」
もう一度ルディアスに渡すと、また火が付いたように鳴き始める。
ルディアスがダメなのかと、アイヴィスではなく傍に来てくれたネイトに渡しても駄目だった。
「陛下、シュクラが慣れるまでは私が面倒を見ますので、どなたか飛竜に詳しい方に師事したいので、お願いできますか?できれば仔竜に詳しい方を…ディアも、誰か竜で教えてくれそうな子がいたらお願いします。契約している子でも、していなくてもいいから…一番いいのはシュクラのお母さんなんだけど…いる…かな」
『わかった、聞いておこう』
「陛下、馬車を用意しましたので、一旦宮までお戻りを」
ネイトがそう告げてきた。
アイヴィスがそれに頷いて、ルディアスと何かを会話したあと、行こうと促された。
先程の大泣きが嘘のようにシュクラがピスピスと腕の中で寝息をたてはじめる。
セラフィリーアは愛しい飛竜の額に触れて優しく撫でてやるのだった。
ピイピイ鳴くシュクラが、鳴き止むと、次にはふんふんと鼻を鳴らして空気を吸う。
クルルと、頭上で鳴いたのはルディアスだった。
シュクラから片手を離し上に上げると、ルディアスはちょんと器用にその顎を乗せる。
『ありがとうセラ、シュクラは我が伴侶だ』
「えぇっ!ちょっ、ディア伴侶ってまだシュクラは産まれたばか…」
ルディアスを見上げていると、ざわざわとしていた周りが凪いだように静かになっていた。
「あれ…陛下?」
どうしたのかとアイヴィスを見ると、アイヴィスも苦笑を浮かべていた。
あれ、俺、何かしちゃった?
「めでたい事に、セラフィリーア王子が飛竜の契約者となった。
産まれたのは今までも文献にも乗ったことのない白い飛竜だ。
それにまだ幼くもあり、ルディアスの言によれば、ルディアスの伴侶となる個体のようだ
そうなれば、アルトリアが全力で護らねばならない。
皆も心しておけ」
静まり返った平原。
それがややあって揺れるような歓喜に沸いた。
『セラ、良く見せてくれ…』
ルディアスが前肢を差し出すと、セラフィリーアはそこにそっとシュクラを置く。ルディアスなら傷付けないとわかっているからだ。
それに、ルディアスが幸せそうで、それも嬉しかった。
ルディアスの腕の中でコロンとしていたシュクラだったが、少しの間があってから、叫ぶように鳴き始める。
「うわ、シュクラ!ごめんディアちょっと借りるね?」
かなりの、音量に驚き、何があったのだろうとルディアスからシュクラを受けとると、その鳴き声が止んでクルクルと嬉しそうに喉を鳴らす。
「シュクラ、どうしたの?ルディアスだよ?シュクラの旦那様になる立派な竜だから、泣かないでね?
大丈夫みたい、はい、ディア」
もう一度ルディアスに渡すと、また火が付いたように鳴き始める。
ルディアスがダメなのかと、アイヴィスではなく傍に来てくれたネイトに渡しても駄目だった。
「陛下、シュクラが慣れるまでは私が面倒を見ますので、どなたか飛竜に詳しい方に師事したいので、お願いできますか?できれば仔竜に詳しい方を…ディアも、誰か竜で教えてくれそうな子がいたらお願いします。契約している子でも、していなくてもいいから…一番いいのはシュクラのお母さんなんだけど…いる…かな」
『わかった、聞いておこう』
「陛下、馬車を用意しましたので、一旦宮までお戻りを」
ネイトがそう告げてきた。
アイヴィスがそれに頷いて、ルディアスと何かを会話したあと、行こうと促された。
先程の大泣きが嘘のようにシュクラがピスピスと腕の中で寝息をたてはじめる。
セラフィリーアは愛しい飛竜の額に触れて優しく撫でてやるのだった。
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