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1章 旅立ち
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どうしてこうなった?
自分はルディアスの手に再び包まれて飛竜騎士団の訓練場に逆戻りをしている。
但し、なぜかアイヴィスと一緒にだ。
「そう言えば、ルディアスには愛称で呼ばせるようにしたのだな?」
しっかりと腰を抱かれ、かなり密着した体制で、見上げた先には端整な美貌。
慣れたようにルディアスの指を掴み支えているアイヴィスの身体はびくともしない。
服越しに伝わるしっかりとした筋肉質の感触と体温。
ふわりと香るのは草木の香りにも似ていて。
「呼びづらいと…言われたので…」
『うむ、羨ましかろう?』
「あぁ、羨ましい。私もセラと、愛称で呼びたいのだが」
アイヴィスとルディアスが会話が成り立つのは、飛竜同士は会話ができるが、飛竜と騎士は契約をした間では頭のなかに声が聞こえ、会話ができるがそれ以外の飛竜と騎士では会話が成り立たないとのこと。
俺がルディアスに触れて言葉がわかる理由がわからない。
「陛下?」
「私もセラと呼びたいし、私の事も名前で呼んで欲しい。友達のようだろう?」
少し拗ねたような可愛らしい口調は、本当にこの人は皇帝なのかと耳を疑う。
『アイヴィス、セラが困っている。無理を言うな』
陛下の事をアイヴィスと、飛竜は名前で呼ぶのかと驚くと、それが伝わったのか、ルディアスがくくっと笑う。
『人の理など知らぬ。契約を交わすのは、我らが同等と認めた人間に請われたため。けして我らが劣っているわけではないからな?』
それはそうだ。
こんな崇高な存在であり、人であればその牙や爪で簡単に命を奪えるものなのだ。
『ヒトは、我ら愛すべき存在でもあるのだ』
優しげな口調で紡がれる飛竜の言葉。
もしかしたら、飛竜からすると、自分達の方が愛玩動物なのかもしれない。
「セラフィリーア王子、下降に入りますから掴まっていてください」
アイヴィスの声に考え事をしていたセラフィリーアは、こくりと頷く。
眼下には飛竜や騎士達が集まっているのか見えた。
「陛下、どうぞセラとお呼びください…それに、言葉もどうか普通に」
ルディアスとの会話は普通にしているが、自分に対しては丁寧に喋るアイヴィスに気付いて、ふとそう告げると、見下ろしてくる視線が甘くとろけ、絡められた腕に少し力が入った気がした。
自分はルディアスの手に再び包まれて飛竜騎士団の訓練場に逆戻りをしている。
但し、なぜかアイヴィスと一緒にだ。
「そう言えば、ルディアスには愛称で呼ばせるようにしたのだな?」
しっかりと腰を抱かれ、かなり密着した体制で、見上げた先には端整な美貌。
慣れたようにルディアスの指を掴み支えているアイヴィスの身体はびくともしない。
服越しに伝わるしっかりとした筋肉質の感触と体温。
ふわりと香るのは草木の香りにも似ていて。
「呼びづらいと…言われたので…」
『うむ、羨ましかろう?』
「あぁ、羨ましい。私もセラと、愛称で呼びたいのだが」
アイヴィスとルディアスが会話が成り立つのは、飛竜同士は会話ができるが、飛竜と騎士は契約をした間では頭のなかに声が聞こえ、会話ができるがそれ以外の飛竜と騎士では会話が成り立たないとのこと。
俺がルディアスに触れて言葉がわかる理由がわからない。
「陛下?」
「私もセラと呼びたいし、私の事も名前で呼んで欲しい。友達のようだろう?」
少し拗ねたような可愛らしい口調は、本当にこの人は皇帝なのかと耳を疑う。
『アイヴィス、セラが困っている。無理を言うな』
陛下の事をアイヴィスと、飛竜は名前で呼ぶのかと驚くと、それが伝わったのか、ルディアスがくくっと笑う。
『人の理など知らぬ。契約を交わすのは、我らが同等と認めた人間に請われたため。けして我らが劣っているわけではないからな?』
それはそうだ。
こんな崇高な存在であり、人であればその牙や爪で簡単に命を奪えるものなのだ。
『ヒトは、我ら愛すべき存在でもあるのだ』
優しげな口調で紡がれる飛竜の言葉。
もしかしたら、飛竜からすると、自分達の方が愛玩動物なのかもしれない。
「セラフィリーア王子、下降に入りますから掴まっていてください」
アイヴィスの声に考え事をしていたセラフィリーアは、こくりと頷く。
眼下には飛竜や騎士達が集まっているのか見えた。
「陛下、どうぞセラとお呼びください…それに、言葉もどうか普通に」
ルディアスとの会話は普通にしているが、自分に対しては丁寧に喋るアイヴィスに気付いて、ふとそう告げると、見下ろしてくる視線が甘くとろけ、絡められた腕に少し力が入った気がした。
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